木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

湯河原の宿

2007-04-16 23:08:52 | Weblog
今日は旅館の活性化の議論で久し振りに湯河原に行った。昼から雨が降り出し冬のような肌寒い日になったが、早川あたりの曇り空に浮かぶ相模湾は、何も見えない故に一層の荒涼感を漂わせる風情を感じさせてくれた。

首都圏にも様々な温泉地があるが、ここ湯河原は古くから温暖な気候と由緒ある別荘地としての名残のおかげで、ランクの高い温泉地として評価を得ている。ただ其の多くは奥湯河原のイメージに引きずられたものが多いが、駅前から千歳川に沿っても、かなりの旅館が並んで湯の町を形成している。

私が湯河原に宿泊施設を設計したのはほぼ10余年前になるが、JR湯河原駅の真裏の小高い地に眺望山荘(ホテルガルニ湯河原)という室数8室のオールスイートホテルであった。(写真)
この周辺の土地を所有されていたオーナーは、その後眺望露天風呂や、展望台等を自分で計画施工され、今は複合化されたホテル眺望山荘となっている。

当時から比べると、それほど変わらないと言いながら旅館街は違う様相を呈している。温泉地ではあるが、保養所や各種団体の保養施設が多い市街地温泉街であるから、時の経済変動を受けやすく変化を受け入れざるを得ないのだろう。
温泉地として戦略的にまちづくりを進めたのは小佐野常夫町長率いる河口湖町であったと思う。ハーブをテーマにした町おこしと従来からの富士山と湖の景観、加えて、与勇輝や久保田一竹をはじめとするテーマ館の建設で心にくいほどの集客であった。

湯河原も現在町長選の最中である。温泉町ではあるが産業は観光業ばかりでなく、漁業、農業、商業と多彩であるから観光最優先とも行かない事情があるようだが対外的には、やはり湯の町湯河原であるから其の振興によって各産業に波及効果が出るような街づくりをして欲しいと思う。

街の推移を10何年かではあるが見てきたものから言えば、湯河原はイメージと現実のギャップを埋める努力をもっとすべきだと今日改めて思う。