木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●巨大建築とユニットの発想

2012-03-28 22:30:00 | Weblog

 

今週は久しぶりに時間が出来たので、建築会館の図書室で調べ物をした。

海外雑誌の最近のニュースを追ってみるが、特別目に留まるようなプロジェクトはなかった。

 

日本の日経アーキテクチャーの記事を見ると、ほとんどが震災の復興記録や関連記事だが、その中に東京のビッグプロジェクトを集めて紹介した記事があった。

アジアに遅れをとる日本の建設事情と言いながら、見てみると東京のビッグプロジェクトもかなりの数がある。

虎ノ門に建設中のマッカーサー道路を内部化した超高層建築として話題の環二・新橋、虎ノ門再開発事業ビル(写真左)、東京都の再開発事業だが、特定事業者は森ビルである。

東京でははじめての道路の上に建設される超高層で、高さはミッドタウンタワーを抜いて都内で2番目になるという。

 

もう一つは、渋谷駅前の東急文化会館跡地に建設中の”渋谷ヒカリエ”(写真右)34階建てだが、商業施設や劇場、オフィスを含んで、それぞれ縦に積層、分節化した表現を持つ超高層ビルである。

延べ床面積が約15万㎡で、これは新宿高島屋とほぼ同じ面積で巨大な建物である。この4月26日にオープンと聞いた。

いささか気になって、帰りに渋谷に行き駅前のバスターミナルの前に立って建物を見てみた。

渋谷駅前の歩道アーケードからはこのビル全体を見ることは出来ないほど大きく、 以前は広く感じた前のバスターミナルを含むオープンスペースが今日はそれほど広く感じない。

周囲の建物とは比較にならないほど大きな規模で、都市のスカイラインとしては、周りと全く調和が取れていない。

分節化して圧迫感を少なくしたというファサードも、覆いかぶさってくるような感覚で、直感的にこれだけの規模で交通問題は起こらないのだろうかと心配になる。

 

金融のグローバリゼーションを受け、投資が巨大化し、土地さえあれば誰でも巨大建築が可能な時代となった。

もともと都市計画などあってないような日本の大都市、とりわけ東京では資本の増殖作用で、周りの環境とは関係なく超高層建築が処かまわず林立する。

果たしてこれは東京という大都市にとって好ましい状況なのだろうか?

 

以前チーム・テンのアルド・バン・アイクという建築家が語った”都市は大きな住宅で、住宅は小さな都市である”という言葉。

有名な部分と全体は等価であるという例の哲学を披瀝し、巨大化する都市に警告を行なった。

そして日本の高度成長期、メタボリズム・グループは単なる巨大化に対抗してユニット化、あるいは単位を設定し、それが集積して大きくなる場合は、内部に秩序が発生し全体も制御可能なことを、いくつかのプロジェクトで試みていた。

私も当時黒川さんの事務所で教えられ経験したこともある。

 

今の私は、残念ながら現在進行しつつある多くの巨大建築の設計にタッチできる機会はまずない。

しかしあの頃と同じように、小さくても都市の単位、あるいはユニットとなりうるような建築の設計を心がけたいと、眼前に覆いかぶさる渋谷ヒカリエの圧倒的なガラスの塊を見ながら思ったものだった。

 

 

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●春の気配

2012-03-16 19:23:55 | Weblog

 ふと気がついてみるともう3月の中旬である。

3月になったらこれをやりたい、あれをやらねばと寒い2月の末に考えていたのが昨日のことのように感じてしまう。

 

あの忌まわしい東日本大震災の1年目の慰霊祭も済んでしまった。

先週の日曜日のことで、津波に巻き込まれるショッキングな映像が再現されていた。まだガレキ処理もまともに済んでないのだという。

様々な努力が積み重ねられているようだが、入ってくるニュースは順調な復興作業の進捗を伝えてはくれない。

週刊誌でバブル期を思わせる夜の景気などと仙台の夜の街を取材していたが、一部の金が落ちることで潤う業界もあるのだろう。不謹慎なことだと思う。

 

3月に入っても相変わらず寒い日が続いた。

デユーデリの仕事で忙しく地方へ行くことも多い。先週名古屋の豊田市に行ってきたが、オフィスビルはかなり空いている。

初めて見るトヨタの城下町はすごいものだと思う。

地球博の時の愛知環状線と名鉄や地下鉄が乗り入れ立派な街が出来ているのだが、昨今の円高や欧州危機で大変のようである。

と思ったら昨日は1ドル84円になって、ニューヨークの株も活況を呈しているという。ギリシャ問題も債権放棄と新たな基金で一息ついたのか、、、、しかし彼らの金融のこともよくわからない。

昨年末に、欧州危機が深刻なとき、日本のメデイアは一様に、ヨーロッパの政治家や経済をボロクソに言ったものだが、私は友人に春になったらわからないよと言った記憶が何となくよみがえってきた。

それに引き換え我々の周囲の政治と経済は相変わらず動きが鈍いようだ。

 

先週までの慌ただしい仕事が一応の目処が付き、これから又新しい年度に向けてのストラテジーを考えなければならない。

あの日本航空が業績回復したとかで、会長としてそれをリードした京セラの稲盛和夫氏の本を久し振りにひもどいてみる。

状況や人材の悪条件を克服する術を情熱を込めて語る厳しい言葉も懐かしく感じ、襟を正す。

 

今日はまだ風は冷たいが、日は暖かく注ぎ込み、幾分春の訪れを予感させる気候ではあった。

窓を開けても風は冷たく感じない。 

春の気配を少しづつ感じながら、又新しい気持ちで一つづつ取り組んでみようと思う。

 

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●断を下す

2012-02-06 15:15:31 | Weblog

 

もう今年も2月になってしまった。1月は年のはじめで何やかやあり随分長く感じるのだが、2月に入ると時間はあっという間に過ぎてしまうのだろう。

1月中旬に、京都、大阪と出張して関西の雰囲気にひたってきた。京都の錦市場と大阪の黒門市場。よくよく見ると珍しい食材がたくさんある。

夜はミナミなんばに宿を取り、法善寺横丁の小さな店でおでんをつまんで、灘の名酒に舌鼓、しかし例年になく寒い大阪の夜ではあった。

 

昨日の日曜日、朝から久しぶりにテレビをみて過ごしたが、日本は何だか全てが停滞し、落ち込んでいく話ばかりである。 

田中防衛大臣をめぐるお粗末劇、消費増税や値上げばかりの野田政権と東京電力、吃驚するような有名大企業の赤字決算報道、新党騒動に踊らされる政治家連中、円高や欧州危機に何も出来ない金融界、全てに共通することは断を下すトップ・リーダーの不在である。

グズグズしてるうちにいつの間にか事態が悪化し、誰も責任を取らない状況の連続が昨年の大震災から、いやもっと言えばこの失われた20年間続いている。

 

その中で明るいニュースが飛び込んできた。ローザンヌで行われた国際バレエコンクールで日本の高校生17才、菅井円加さんが優勝した(写真)。

これは15~18才の将来性あるダンサーを選出する40回を数える国際コンクールだが、過去熊川哲也、吉田都らが入賞している。

早速youtubeでその踊りを見てみたが、堂々として優雅な踊りである。クラシックとコンテンポラリーの2種類のダイナミックな踊りに従来のバレリーナと違うものを感じてしまう。

聞けば最近のバレリーナは筋力トレーニングもやるのだそうだ。

 

私は姉二人がバレエをやり、中でも長姉はその教師もやっていたので小さい頃から華やかな舞台に接してもきたし、又トウシューズをはいて踊る陰の大変な練習も見てきたので、優雅な踊りの裏に積み重ねた多くのものを容易に感じ取ることが出来た。

ダンスやバレエコンクールはある種思い切りが重要で、迷っていては人を感動させる踊りなど出来はしないだろう。要するに一瞬一瞬が決断の連続で、それをさせるのは積み重ねた練習だけだろうと思う。

 

断を下すこと。

何事も悲観的にならずに、すべからくまずは断を下して進むことが必要である。

しかしその前に断を下せるように修練を積み重ね、考えを深めておく努力がこれまた必要なことは言うまでもないことである。

 

色々な出来事を見ていて、私自身、断を下す重要性を改めて感じている。

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●2012年 明けましておめでとうございます

2012-01-09 19:09:15 | Weblog

 

 今年は暦の関係で、5日を仕事始めとしたのだがすぐ成人の日を含んだ連休と続き、もう今日9日となり、暮れから随分と休みが続いた感覚を受ける。

昨年暮れまでの様々な出来事について、いささかの疲労感とある意味の達成感の中で、年末から新年に掛け、いつものような新しい年の高揚する気分を余り感じなかったので、久しぶりに元気の出る哲学と言われる”ニーチェ”(写真右)を読んでみた。

 

学生時代に”ニヒリズム”や”ツァラトストラかく語りき”などという言葉に惹かれて、読んでは見たが、何のことかさっぱりわからなかった。

ところが建築の勉強をするうちに、ポストモダンやポスト構造主義という新しい思想の源流はニーチェにあることを知り大変驚いた記憶がある。今でもよくわからないのだが最近は元気の出る思想、突破力が付き、運命を味方につける考え方などと若い人にも評判だという。

結局のところ、人は健康でありたいと思い肉体を鍛えるのだが、同時に心のフィットネス、鍛えも必要で、それはニーチェによると苦しみや悩み、心の病をより多く経験しそこから新しい”力への意志”を獲得することだという。その時に伴侶とすべきものとして彼は”芸術”そして”クリエイティビティ”を上げている。

美しいものを見たり接すると人はそれだけで元気になれるのだと、、。

 

もう一つ、このお正月に英国の建築家”ノーマン・フォスター”の最近出版された伝記を読んでみた。

香港にある”香港上海銀行本店”(写真左)のハイテク建築で一躍スターダムに乗り上げ、その後もトップアーキテクトとして世界各地にビッグプロジェクトを完成し続けるこの建築家の現在までを結構分厚い本としてまとめている。

著者はイギリスのデザイン評論家ディヤン・スジック。

 

彼の建築修行の足跡を辿ることにより、その創作原理を明らかにしているがやはりアメリカでの留学経験や英語圏としての様々な人間関係があのような建築を生んでいる。

師匠はイェール大学のホール・ルドルフとフラードームで有名なバックミンスター・フラー。基本的にはテクノロジー志向のモダニストで一時期流行したポストモダン一派とは一線を画している。

その中で、自らの作品に対する執拗なこだわり、クリエイティビティに賭ける異常なまでの意志を感じ取ることができる。あの香港上海銀行のプロジェクトも何度となく暗礁に乗り上げたのだそうだ。

今ではフォスター・アソシエイトは一時期の個人事務所の形態をはるかに超え、1000人を超える大事務所となっているという。そしてこれも当たり前のように昨今の経済変動により経営は不安定だそうだ。それでも彼は前向きに創作活動を続けているようである。

 

今年のお正月、中学時代の先生から年賀状をいただき、そこには3年前から一人住いとなったが、何とか元気で老いを楽しんでいると記されていた。

今年も前向きに一つ一つ、そしてクリエイティブに取り組んでいきたいと思う。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

 

 

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●メリー・クリスマス

2011-12-24 21:26:44 | Weblog

 

今日は24日、クリスマス・イヴ。気がついてみるともう今年もあと1週間を残すのみとなってしまった。そしてほぼ3ヶ月ぶりにキーボードを叩いている。

今年は東日本大震災があり、福島の原発問題が起こり、問題ばかりの菅内閣が退陣し、どうゆうわけかどじょうを推奨する野田政権が誕生したが、よくわからないうちに前途が暗澹としてきたようだ。

今日2012年度予算案が閣議決定されたらしいが、いよいよ借金が1000兆円を超え4年連続で借金が税収を上回る異常事態となった。

 

そんなことはまったく関係がないように、今日の横浜や品川の駅のコンコースや店舗は人混みで通行するのも困難な状況だった。

 

私個人のことで言うと、今年は多くのプロジェクトに参加する機会が得られ大変有意義な一年だったと思う。

更に以前お世話になった施主の方々からお声をかけていただき、私の設計した建物のアフターケアーやリノヴェーションをすることとなった。

お陰様でかなりの忙しさで一年を過ごしこここに至ってはいるが、年の瀬を迎えて蓄積したストレスを少しクールダウンをして調整しようとしてるところである。

 

たまたま今月、日本の代表的な女性ギタリストの村治佳織(写真右)がNHKで、落語家の鶴瓶と一緒に長崎は平戸に旅し、ギターの演奏をする番組を見る機会があった。

私は彼女が15才でデビューした最初のCDを持っているが、”ニコロ・パガニーニ”のカプリスなど印象的で新鮮な音色が未だに記憶に残っている。

あれからほぼ20年の月日が経ち、様々な経験の後の彼女のギターの演奏は又一層心に響くものがあった。

”タンゴ・アン・スカイ”チュニジアのギタリストの”ロラン・ディアンス”の代表曲で彼女の専門のクラシックとは趣が違う曲だが、スパイスの効いたタッチで新しい境地を覗かせるものだった。

聞けばスペインの作曲家、”ホアキン・ロドリーゴ”との様々な縁や出会いもあったようだ。

 

人はやはり自分に今までないものに接した時、それを取り入れ新しい自分を見つけることが出来るものだと思う。

 

芸術の世界と異なり、我々の日常生活や経済活動はどうしても保守的になるものだ。

前述の国家予算の話にしてもバブル崩壊後の20年間で国の借金は500兆円増えた。要するに景気が悪くなり、税収が減ったことと、高齢化その他で社会保障費が増えたのが原因だ。

景気が悪くなると、皆リスクに敏感になり、大胆な行動をせず小さく固まってしまい、さらに縮小するという悪循環となる。

多少リスクはあっても、新しい世界を開くようチャレンジする姿勢が必要だろう。

その意味では今度の大阪ダブル選挙は、有意義な出来事だったと思う。

 

メリー・クリスマス

今宵の私のサンタクロースは何か新しい贈り物をくれるのだろうか

 

 

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●秋の空

2011-09-25 22:16:00 | Weblog

 

 

やっと先週の終わりから朝夕が過ごしやすくなり、秋の訪れを感じるような天候となった。

9月の連休も今日で終わりだが、この一ヶ月まったくこのブログに手がつけられなかった。8月下旬から九州へ出張したり、名古屋や関西方面へ出かけることが多く、重なるときには重なるもので、忙しく過ごした1ヶ月間だった。

 

私がこのブログを書こうと思ったきっかけは、過去に私の事務所で一緒にやったスタッフの人たちに、今自分はこんな事を考えたり、こんな仕事をしてるということを伝えたいと思ってはじめたのが単純な動機なのだが、

そのうち自分のメモリアルな回想になったり、興味のあることを集中して書いてみたり、時には取りとめもないことを書くことで自ら納得したりで、考えてみるとそれだけ時間的に余裕があったということだ。

 

仕事に急がしく追われているとまったく書くことが出来ない。というより書くことがないことに気がついたこの1ヶ月でもあった。

どのみち仕事には必ず守秘義務があり、そのすべてを書く事は出来はしないのだがそれにしても、今行っている幾つかの仕事に没頭すればするほど、記述したい事を見つけることは困難であった。

 

やっと仕事の先が見えてきた2日前に久し振りに近くの本屋で、数冊の本を購入した。

その中の一冊は渡辺昇一”知的余生の方法”この中で氏は、”壮にして学ぶ”ことの意味について書いている。

壮の時とはもっとも働き盛りで仕事も充実し新しい情報も積極的に吸収し勉強する。

勉強すればするほど仕事も更に面白くなり、だから学んでいると思い込む。

しかし往々にして仕事で学ぶ事は会社やその地位を離れた途端まったく役に立たない事も良くある事だと言う。

 

そこで”壮にして学ぶ”事の本当の意味は、忙しく仕事をすることではなく、自分の内発的興味のあることを見つけることだと。

それが仕事と関連があれば一番いいことなのだが、、、。 

それを”内なる知的欲求”と氏は呼んで、これを積み重ね、自らに課し続けることが”壮にして学べば即ち老いて衰えず”という事なのだという。 

言ってみれば自分自身の研究なのだろう。

 

私が没頭し、忙しく行っている今の仕事が、今後の私にとってまったく役に立たないものとは到底思わないが、気ままに書いてきたこれまでのブログのようには、この1ヶ月書き出すことがなかったことも事実である。

それだけ仕事をこなす事に懸命だったということかもしれない。

 

人生の秋は、春や夏といった若々しく溌剌とした時期には見えない物事が、明らかに見えてくるとは人の言うところである。

同じようにこの秋を、忙しく過ごしたこの春や夏の行動を見直して、少しでも実をつける期間に出来ればと思っている。

 

 

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●ハブ・ア・ナイス・ウイークエンド

2011-08-27 09:38:09 | Weblog

 

昨日は嵐のようなゲリラ豪雨が突然都心を襲い、一時期排水管もあふれて混乱し、夕刻まで交通網の混雑も続いたようだ。今日もはっきりしない天候だが、もう8月最後の週末とはなってしまった。

アメリカのニューヨーク州ではハリケーンが発生し、避難勧告も出たようだ。あまり自然災害を聞かない東海岸も今年は地震も起こったりして、何となくおかしなことが続いている。

 

暑い夏もいよいよ終わりに近づいてきたが、色々と忙しい夏だった。

久し振りにデザインを考える仕事が幾つかあり、常に頭の中でシミュレーションすることが多く、気の休まらない日が多かった。

今はそれほどではないが、設計の仕事だけに集中していた頃は、休日と言っても、体は休めていても頭の中は常に幾つかの仕事の設計の構想で回転していて、よくやったとは思うが、経営的、時間的にはあまり効率のよい話ではない。

しかし、長年携わってきた設計、デザイン、プランニングという仕事は、のめりこむときりがなく、又構想から現実に物が出来てくる快感は、何にも変えがたい思いがあって勢い没頭してしまうものではある。

 

ある時期から多少割り切って処理することに切り替えてみたので、今はそのような自分の姿勢を客観的に眺める事ができ、ああ、あの時はこうだったのだなと反省することも多い。

 

この週末、菅総理がやっと退陣して民主党代表戦が行われている。

若い時、政治は魔物という事を聞いたことがある。のめり込むと大変だと。当時はそんな青年が結構いた。

お金をそれに費やす人も多かった。 

今それほど情熱を持って政治に向かう人がどれほどいるのだろう。

 

やはり、権力闘争であろうと、何だろうと、一度はそれにのめりこみ向こう傷を受けて、又考え行動する青年が多く出てこないと政治も活性化しないのかと思う。

政治だけではなく取り分け、皆の意見を左右する報道メディア界等もそうだろう。

特に最近大手メディアの意見がはっきりしない感がある。

 

タレントの島田紳助の引退劇でもわかるように、大衆に人気のあるもの、支持されるものはある面いかがわしいものを含んでいるものだと思う。

こんな事を考えられるのも、少しは涼しくなった週末のひと時だからかも知れない。

 

ハブ・ア・ナイス・ウイークエンド!!

 

 

 

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●忙中閑

2011-08-14 10:14:51 | Weblog

 

 

昨日からお盆休みとなった。お盆前に予定が集中し、片付ける事も多く連日の暑さも手伝って慌しい日々の連続だった。

おまけに今月が私の事務所の決算報告の月にしているものだから気忙しい気持ちが倍加してしまった。

やっと今日の午前中になって精神的にも少し落ち着いてほぼ半月振りにこのキーを叩いている次第である。

 

個人的な仕事でも、高層オフィスのリノベーション、地方ホテルのリノベーション、都心のオフィスの耐震、補修プロジェクト、三浦半島の懸案の商業リゾート・プロジェクトの話が進行しつつあり、それぞれ大きな問題を抱えている。

又しばらく自分の仕事に集中している間にも世間では大きな変化があるようだ。

アメリカの財政問題に端を発した超円高、それに世界的な株安、、、。

イギリスにおける暴動事件等々。停滞している日本の政治も秋にはどうやら何らかの動きがあるようだ。

 

お盆前に東京、横浜のマンションのデューデリを行った。

世田谷の公園に面した幾つかのマンションでは、ペットの声がたくさん聴かれ、廊下にはかっこよい自転車が置かれていた。

このようなマンションは決まっていわゆるデザイナーズ・マンションである。

自転車が多くあるのは駅からの距離が遠いからだと思っていたが必ずしもそうではなく、ある一定の居住層があると思われる。

 

ホテルの設計でも感じるが、最近のビジネスホテルの客室プランの変化が激しい。

マーケットの競争も厳しいせいもあるが、ケイタイ電話の多様化に伴って、仕事のスタイルも変化しそれに対応した新しいハイタッチ、ハイテックの世界が見られるようになった。

携帯電話の充電器等は必須のものとなってきたが、ハイタッチの面でも従来の単一的なユニットバスの世界では中々顧客の支持は得られなくなった。

 

いわゆるデザインが改めて商品価値、ブランド価値を決める、あるいはそんな顧客層が確実にいる時代が始っている事を実感している。

 

翻って東北地方の震災復興の話しは、一向に前向きな話が聞こえてこない。

お盆の特別番組で改めて震災の津波の状況を再現しているが、放射能セシウムの影響も、いよいよ京都の大文字焼きの薪にまで影響して先行き益々不透明になってきた。

 

私の今の日常生活と余りにかけ離れた様々な世間の出来事に、このお盆の休暇で改めて思いを馳せ、又違う目で自らの仕事を見直してみようかと思う。

 

 

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●信州の宿と台風雨

2011-07-24 10:21:31 | Weblog

 

 

先週は久し振りに信州は茅野へ行った。茅野市と言うといわゆる八ヶ岳の入り口で、この周辺のリゾート地域の拠点となる都市である。

大学を出て黒川紀章さんの事務所に入り、いきなり担当したプロジェクトが八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原の開発プロジェクトだった。

三井不動産が事業主体で、現地のあけぼの開発という会社が様々な調整を行っていた。

 

当時の日本はまだリゾート開発が緒についたばかりで、旧来の有名なリゾートが幾つかあるだけだったが、その中でもこの八ヶ岳地域は、奥蓼科の秘湯地域や白樺湖エリアへ繋がる数少ない高原リゾートの雰囲気を持っていた。

事務所で所有していたアメリカ製のジープで、蓼科地域の高原を走り現地踏査をしたが当時は何も無い鬱蒼とした未開発エリアだった。

その時夢中で計画したリゾートのコンセプトが現実にどの程度生かされたかは不明だが、今ここは”タテシナ三井の森”として著名な別荘地、高原リゾートになってしまった。

 

茅野インターの近くに”カンデオホテルズ茅野”というホテルが出来ており、今回はそこに宿泊した。

ワンランク上のスタイリッシュホテルを目指したデザイナーズホテルで、モダンデザインの綺麗なホテルである。

フロントにヨーロッパ銘柄のビールが置いてあり、屋上に設置されたスカイ・スパで体を温めた後、チェコのピルスナーを1本飲んでみた。

久し振りのほろ苦いピルスナーが心地よい感触で喉を通っていった。

 

客室インテリアも家具や照明器具を含めてよく練られたデザインで、一定の顧客の評価を得ているようだ。朝食の際、今後1週間の部屋の予約をしていた男性がいた。

 

明朝は、甲府に寄り現在改修計画中のホテルの打ち合わせ。

超大型台風の到来で大雨注意報が出て心配したが甲府市内はそれほどの雨は降っていなかった。

打ち合わせで様々な議論をし夕刻には甲府を後にしたが、電車に乗ってすぐ高尾~甲府間でストップしてしまった。

それほどの強い雨ではないのに停車し、例によって車内放送は現在情報を集めておりますの1点張り。

結局4時間は車内に缶詰となり、横浜に帰宅したときは12時近くなっていた次第。

 

最近のJRはとにかく何かというとストップして乗客を待たせる事が多い。

3/11の震災の夜も早々と運転中止を宣言して駅構内を閉じてしまったし、民間交通機関はその日のうちに運転再開したが、JRはあくる日までそのままであった。

東電と同じで、ある種独占企業体なので、又昔の国鉄の雰囲気に似てきたのではないかと思う。

駅ビルの建設や、駅構内の商売にしても利益を独占しているわけだから、台風ぐらいでストップしない強固な安全体制や投資を行って欲しいと思う。

 

4時間も閉じ込められていると様々な事を考えた。

久し振りに信州に行き、地元産業と大手企業との関係や観光との繋がりの強さに改めて思いを馳せる。

東北の震災で、地元の1次産業、特に漁業や農業の再建と将来のため、特区構想を国や県が打ち出し、地元の人たちから反発されている。

 

単純な経済効率からの企業参加だけでなく、歴史ある信州や甲州で今まで蓄積されてきた様々な産業間の繋がり,観光業と地元住民、そして1次産業とのつながりから豊かな地域が育ってくる事を参考にする必要があるのではないかと思う。

 

 

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●今年の夏

2011-07-11 14:37:16 | Weblog

 

 

早い梅雨明けで、とうとう今年も暑い夏に突入してしまった。そのせいかどうか先週も暑かった。

改装工事中の現場では高層ビルのおかげで窓の開閉もままならず、又節電で冷房が止まり、まともに仕事が進む状況ではなく、1時間作業をして又1時間休憩するというような具合だった。

流石に大変で次の日から作業階だけでも冷房を入れてもらったようだが、、、。

 

私も埃などで作業環境のよくない状況は過去に良くあったが、こんな状況はしばらく経験したことが無く、その中で納まりの議論をしていてもボーとしてきて、最後は何を話しているのか良くわからない次第ではあった。

 

先週末は、過去に私の設計した九段のビルの建物劣化調査、主として地震による被害調査を構造設計事務所の人たちと一緒に行った。

8階建ての中層ビルであるが、上層階には、住宅が2世帯あり、屋上庭園やプールが設置されているもので、これを丸1日かけて室内は勿論、天井裏の躯体をチェックしたり、外壁の状況を調査した。

土曜日なので一般社員の方は休日、基本的に冷房なしの状況で、8階建てを下から上に上がったり降りたりしているとこれもいささか大変ではあった。

常に水分の補給には気をつけてはいたが、一瞬フラッとする事もあった。

 

先日神奈川県庁に用事でうかがった折、到着して室内に入るとムッと暑さが襲ってくる。

室内でずっと仕事をしている人は28度という設定温度はそれほど気になることではないのかもしれないが、急いで走ってきて室内へ入るとムッとするのは、外の方が風があるから涼しいせいである。

打ち合わせもしばらく落ち着くまでは話していてもうわの空の状況だった。

今まで夏に、室内より屋外の方が涼しい等という経験はほとんど無かったが、今年は変な経験を色々とさせてもらっているものだと思う。

 

それもこれも、福島の原発事故がすべての原因で、様々な節電を余儀なくされている状況があるのだと思う。それに民主党迷走政権がわけのわからない原発再稼動を主導したり、ストップしたりの事も影響が大きい。

一部の政治マスコミは面白おかしくこの状況を伝えているが、現実の経済に与える影響は本当に大きく、私の周りでさえ節電で作業効率は大きく低下し、労働環境の悪化から収益率も落ちているところが多い。

 

我慢強い日本企業はともかく、効率を求めて出稼ぎに来ている外国企業はこのリスクを考えるとまづすぐに撤退を考えるのではないかと思う。

現に私が仕事の範囲としているデューデリゼンスの仕事等は外資系ファンドの話が多いのだが地震以後極端にその数が減ってしまった。

 

この状況を少しも改善出来ない現政権、あるいはしようとしない菅首相。それらの不逞を又刷新する手段を見つけられない日本の現在の政治状況について言う言葉を持たない。

 

連日の冷房無しの作業環境の中で、さすがに私も昨日はダウンして、食欲が減退し体がだるかった。

少し節制して今年の夏を乗り切る対策を考えないといけないと思う。

 

 

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