木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●信州の宿と台風雨

2011-07-24 10:21:31 | Weblog

 

 

先週は久し振りに信州は茅野へ行った。茅野市と言うといわゆる八ヶ岳の入り口で、この周辺のリゾート地域の拠点となる都市である。

大学を出て黒川紀章さんの事務所に入り、いきなり担当したプロジェクトが八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原の開発プロジェクトだった。

三井不動産が事業主体で、現地のあけぼの開発という会社が様々な調整を行っていた。

 

当時の日本はまだリゾート開発が緒についたばかりで、旧来の有名なリゾートが幾つかあるだけだったが、その中でもこの八ヶ岳地域は、奥蓼科の秘湯地域や白樺湖エリアへ繋がる数少ない高原リゾートの雰囲気を持っていた。

事務所で所有していたアメリカ製のジープで、蓼科地域の高原を走り現地踏査をしたが当時は何も無い鬱蒼とした未開発エリアだった。

その時夢中で計画したリゾートのコンセプトが現実にどの程度生かされたかは不明だが、今ここは”タテシナ三井の森”として著名な別荘地、高原リゾートになってしまった。

 

茅野インターの近くに”カンデオホテルズ茅野”というホテルが出来ており、今回はそこに宿泊した。

ワンランク上のスタイリッシュホテルを目指したデザイナーズホテルで、モダンデザインの綺麗なホテルである。

フロントにヨーロッパ銘柄のビールが置いてあり、屋上に設置されたスカイ・スパで体を温めた後、チェコのピルスナーを1本飲んでみた。

久し振りのほろ苦いピルスナーが心地よい感触で喉を通っていった。

 

客室インテリアも家具や照明器具を含めてよく練られたデザインで、一定の顧客の評価を得ているようだ。朝食の際、今後1週間の部屋の予約をしていた男性がいた。

 

明朝は、甲府に寄り現在改修計画中のホテルの打ち合わせ。

超大型台風の到来で大雨注意報が出て心配したが甲府市内はそれほどの雨は降っていなかった。

打ち合わせで様々な議論をし夕刻には甲府を後にしたが、電車に乗ってすぐ高尾~甲府間でストップしてしまった。

それほどの強い雨ではないのに停車し、例によって車内放送は現在情報を集めておりますの1点張り。

結局4時間は車内に缶詰となり、横浜に帰宅したときは12時近くなっていた次第。

 

最近のJRはとにかく何かというとストップして乗客を待たせる事が多い。

3/11の震災の夜も早々と運転中止を宣言して駅構内を閉じてしまったし、民間交通機関はその日のうちに運転再開したが、JRはあくる日までそのままであった。

東電と同じで、ある種独占企業体なので、又昔の国鉄の雰囲気に似てきたのではないかと思う。

駅ビルの建設や、駅構内の商売にしても利益を独占しているわけだから、台風ぐらいでストップしない強固な安全体制や投資を行って欲しいと思う。

 

4時間も閉じ込められていると様々な事を考えた。

久し振りに信州に行き、地元産業と大手企業との関係や観光との繋がりの強さに改めて思いを馳せる。

東北の震災で、地元の1次産業、特に漁業や農業の再建と将来のため、特区構想を国や県が打ち出し、地元の人たちから反発されている。

 

単純な経済効率からの企業参加だけでなく、歴史ある信州や甲州で今まで蓄積されてきた様々な産業間の繋がり,観光業と地元住民、そして1次産業とのつながりから豊かな地域が育ってくる事を参考にする必要があるのではないかと思う。

 

 


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