大丈夫？

夏の修行で使う「法衣」（ほうえ）の着る練習をしました。

「着る練習」って、今頃一体、なにをしているの？
多分、皆さん、そう思われることでしょう。

その通りです。

ナオキチが大学で、ずっと不在でした。
法衣店から、注文していた衣が届いたのはいいけれど、袖を通すとはありませんでした。

夏の修行で着る衣は、今までとは種類が違います。
それこそ、「本格的な？衣」です。

だから、着用も一苦労です。
汗びっしょり。

「この衣、毎朝のお勤めで著るの？
　僕・・・あわてるだろうな・・・」

大丈夫。わからなかったら、「経験者」に尋ねなさい。
教えてくれるから。

「お父さんは、経験者だったよね。
　知らない人に、教えてあげたの？」

困っている人がいたら、僕の方から声をかけたよ。
訊かれなくても、教えてあげた。

「やさしいね」

それが、経験者の義務だと思ったから。
・・・なんていうのは嘘で・・・自然と体が動いたからかな。

どこでもそうだけど、助け合わないとね。

だから、もじもじしないで、君も口に出しなさい。
教えてくださいって・・・。


そして、次は、「行脚」（あんぎゃ）での、衣の着用方法。
これが、また、難しい。

学生時代の僕にとって、できて当たり前のことが、経験のないナオキチはできない。

こんなにちがうんだ・・・。

「教えていないのだから、できなくて当然じゃないの。
　自分の怠慢を棚に上げて、なに威張っているのよ」

家内が、ぼそり。

エアコンがきいているのに、汗びっしょりの、ナオキチ。

こりゃ・・・明日も特訓ですよ。

「ナオキチ。明日、床屋さんで頭を剃ってくるのよ。
　わかった！」

ナオキチ・・・大丈夫？　（僕の心の声）