五月のある夜。
夕食を終えて食後のお茶を飲んでいた時のことです。
家内の携帯に一本の電話がかかりました。
人付き合いの悪い私と違って、
社交的な家内にはいつも電話がかかってきます。
うらやましい。
そう思うときがありますが、自業自得です。
性格だから仕方がありません。
誰だろう?
親しそうに、
それでいて気を使いながらの会話。
時折聞こえる家内の驚いた声。
なんだか重い内容みたい。
私は席を外しました。
しばらくして家内が私の部屋にやってきました。
その表情には、悲し気な感情が浮かんでいました。
「〇〇さんの奥さんからの電話・・・。
〇〇さんが亡くなったって」
一瞬、私は何のことが理解できませんでした。
それでも・・・
もしかして九州の〇〇さんのこと?
「そうよ」
身体が動かない。
何も考えられない。
信じたくない。
いろいろな感情が湧き上がってきました。
彼は私が九州にいた時、とても仲良くしてくれた友だちです。
何事にも一生懸命頑張っていました。
器用でスポーツ万能。
私にとって、うらやましい存在でした。
子供が幼いころ、
お盆が終わると一緒に食事会をしていました。
ボーリングに行ったり、魚釣りをしたり。
子供たちにおもちゃも買ってくれました。
船の上から魚を釣りあげた時の歓声。
子供たちのあんな明るい顔を見たことがなかったよ。
親の僕より親らしい。
なぜだ・・・? 嫉妬してしまう。
了見が狭いい私は真剣に悩んだものです。
別れ際の子供たちのさみしそうな顔ときたら。
その光景を、今も忘れることができません。
そんな彼にも悩みがありました。
奥様と家内の会話から漏れ聞こえる言葉。
家族のこと。健康のこと。
そして将来のこと。
柔らかな笑顔の陰に隠されたもの。
僕には何もできなかった。
ごめんね。
お酒を飲むと、歌を歌ってくれたね。
ニルソンの「ウイズ・アウト・ユー」。
あなたなしでは生きていけない。
甘い歌声が今にも聞こえてくるようだ。
「これからも『星降る街』を送ってね。
私が主人の代わりに読むから」
その言葉に甘えて毎月「星降る街」を送ります。
相変わらずバカやってるよ、と笑っておくれ。
小さかった子供たちもいつの間にか大きくなり、
社会人として頑張っています。
子供たちの胸の中にも、君の面影があることでしょう。
これからも僕は生きていく。
あなたの分まで生きていく。
今は亡き、たくさんの友だちの分まで生きていく。
あがいて、嘆いて。時には笑って歩いていきます。
たいした人生じゃないかもしれない。
それでも、もう少し頑張ってみるよ。
今までありがとう。
そしてまた会える日を楽しみに・・・。
夕食を終えて食後のお茶を飲んでいた時のことです。
家内の携帯に一本の電話がかかりました。
人付き合いの悪い私と違って、
社交的な家内にはいつも電話がかかってきます。
うらやましい。
そう思うときがありますが、自業自得です。
性格だから仕方がありません。
誰だろう?
親しそうに、
それでいて気を使いながらの会話。
時折聞こえる家内の驚いた声。
なんだか重い内容みたい。
私は席を外しました。
しばらくして家内が私の部屋にやってきました。
その表情には、悲し気な感情が浮かんでいました。
「〇〇さんの奥さんからの電話・・・。
〇〇さんが亡くなったって」
一瞬、私は何のことが理解できませんでした。
それでも・・・
もしかして九州の〇〇さんのこと?
「そうよ」
身体が動かない。
何も考えられない。
信じたくない。
いろいろな感情が湧き上がってきました。
彼は私が九州にいた時、とても仲良くしてくれた友だちです。
何事にも一生懸命頑張っていました。
器用でスポーツ万能。
私にとって、うらやましい存在でした。
子供が幼いころ、
お盆が終わると一緒に食事会をしていました。
ボーリングに行ったり、魚釣りをしたり。
子供たちにおもちゃも買ってくれました。
船の上から魚を釣りあげた時の歓声。
子供たちのあんな明るい顔を見たことがなかったよ。
親の僕より親らしい。
なぜだ・・・? 嫉妬してしまう。
了見が狭いい私は真剣に悩んだものです。
別れ際の子供たちのさみしそうな顔ときたら。
その光景を、今も忘れることができません。
そんな彼にも悩みがありました。
奥様と家内の会話から漏れ聞こえる言葉。
家族のこと。健康のこと。
そして将来のこと。
柔らかな笑顔の陰に隠されたもの。
僕には何もできなかった。
ごめんね。
お酒を飲むと、歌を歌ってくれたね。
ニルソンの「ウイズ・アウト・ユー」。
あなたなしでは生きていけない。
甘い歌声が今にも聞こえてくるようだ。
「これからも『星降る街』を送ってね。
私が主人の代わりに読むから」
その言葉に甘えて毎月「星降る街」を送ります。
相変わらずバカやってるよ、と笑っておくれ。
小さかった子供たちもいつの間にか大きくなり、
社会人として頑張っています。
子供たちの胸の中にも、君の面影があることでしょう。
これからも僕は生きていく。
あなたの分まで生きていく。
今は亡き、たくさんの友だちの分まで生きていく。
あがいて、嘆いて。時には笑って歩いていきます。
たいした人生じゃないかもしれない。
それでも、もう少し頑張ってみるよ。
今までありがとう。
そしてまた会える日を楽しみに・・・。