僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

お姉さん

2016年12月21日 | 日記
 「あなたのことは、姉から聞いていましたよ」

マンションのエレベーターの中で、男性はこんな言葉を、私に話しました。

 「明日、〇〇さんの、67日忌のご回向に行くように。
  弟さんが、10時から11時の間に来るから、頼むよ」

兄に、そう言われて私は、「〇〇さんて、どなただったかな・・・?」、と考えていました。

九州にいたころは、よくお伺いしていたのですが、山口にきて、お伺いする機会もなくなりました。
お亡くなりになったと聞いても、実感がわきませんでした。

部屋に入り、遺影を見ました。

  アッ!

思わず声が出ました。

まさか、あのオバチャンが・・・いや、私との年齢差を考えると、お姉さんか・・・
・・・が、亡くなっていたなんて。

しばらく、声が出ませんでした。

 「姉から、あなたのことは、よく聞いていましたよ」

私の横に座った弟さんが、ポツリと言いました。

  聞いていたって、どんなことを・・・?

そんな思いが一瞬浮かびましたが、言葉にはなりませんでした。

日溜りのできた、マンションの、一室。
部屋の雰囲気は、あの時のまま。

今にも、扉の陰から、お姉さんが顔をのぞかせそうで・・・。
私は、安らぎと、悲しみの中で、お経を唱えました。

  お姉さん。
  久しぶりですね。

後は、声になりませんでした。

人は、いつか消えていく。
でも・・・僕は、いつか再び出会えると信じている。

  だから、また会えますよね。
  さよならは、言わないよ。

 「また、来てくださいね」

私を見送る弟さんの、言葉が心に残って、消えようとはしませんでした。

ps
ゴンキチの見舞いに行った家内が、朝の6時に帰ってきました。

 「30分、寝かせて」

そう言うなり、毛布を頭からかぶりました。

 「朝、3時に出てきたの。
  昨日は、一睡もできなかったわ」

九州のお経の途中、何度も車を止めて、短時間の睡眠をとる、家内。

  大丈夫?

そう言いながらも、僕までつられて、コックリ。

時間に追われながらも、不思議な感覚の、一日でした。

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