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カール12世とアレクサンドロス大王(その6)

2010年01月08日 22時58分56秒 | 大北方戦争+軍事史

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オスカー:サンドステッドはカール12世はクルティウスの本を読んだのも含めて、アレクサンドロスの歴史に続くことによって、その偉大な人生を解明しようとしたと言っています。貴方はカール12世が大なり小なり、自分を実際にアレクサンドロスだと見なしていたと感じますか?

ベングト:そうですね。サンドステッドはおそらく一寸ばかり強固な意見ですが、それはある程度は明らかでしょう。アレクサンドロスは交渉などしなかった。それ故に、カール12世も交渉をしなかった。問題なのは、彼らが生きた時代の精神をよく知ろうとすることです。私たちはアレクサンドロスがヘラクレスとアキレスの血を引いていると信じていて、あるいは彼が自らをゼウス・アモンの御子と見なしたと言うことを笑い飛ばすことが出来ますが、この伝説は、とくにアキレスについては、実際にアレクサンドロスにとっては疑いない真実でした。カール12世にもし仮に神を信じていますかと聞くことが出来たならば、彼はその問いかけをまったく以て馬鹿げたものとみなして「何を考えている? 神は存在する!」と断言したでしょう。

オスカー:アレクサンドロスたらんとしたカール12世の姿は誇張されすぎているでしょうか?

ベングト:いいえ。私はそう思いません。サンドステッドはアレクサンドロスとカール12世の類似点を実証しましたし、私も更に調べた結果、多くの場合それが正しいと考えています。ロシア遠征に赴く際、カール12世は戦場兵站監ユーレンクロークにむけて、これは「アジアへの道だ」と言って彼を大いに狼狽させています。また、ヒュダスペス河の戦いとホロウティンの戦いには驚くほどの類似点があります。どちらも雨の降る夜に川を渡り敵を打ち破っています。カール12世はアレクサンドロスの戦術を真似たのです。

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