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カール12世とアレクサンドロス大王(その8)

2010年01月12日 23時22分37秒 | 大北方戦争+軍事史
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オスカー:アレクサンドロスとカール12世はどちらも優れた指揮官でした。しかしその指揮下にあった兵士たちはそのイメージの形成にどれほど貢献したと思いますか? 彼らは偉業を築き上げるのをどのように助けたのでしょうか? どう思われますか?

ベングト:どちらともに非常に重要な個人としての役割に影響を与えたと私は思う。

オスカー:個人としてのアレクサンドロスやカール12世について知ることは非常に難しいですが、何故でしょうか?

ベングト:これは非常に込み入った問題です。特にカール12世についてはね。彼はまるでグレタ・ガルボのようにミステリアスだ。カール12世については嫌になるくらい資料が沢山あるのに、個人としての彼を取り扱ったものはごく希です。同じ事はアレクサンドロスにも言える。全般的にそういったものは少ない。そして怪物としても聖者としてもどちらでも彼ら二人は捉えることが出来てしまう。

オスカー:アレクサンドロスとカール12世には多くの伝説が残されています。どのようにしてこのような伝説の影響を排除しているのでしょうか?

ベングト:歴史家ならば皆が伝説を打ち破ることを使命としている。実際の歴史調査は、これまでのことを見直すことを基本にしています。私たちはつねに、何かしらの新たな、これまで真実と受け入れられていたことを塗り替えるようなものを求めています。なぜ私がカール12世の伝記を書いたかについて言いましょう。ベングトソンとハットンの伝記を読んだ後、私はもしカール12世が、この二つの本にあるような英雄であるならば、どうしてその結末はスウェーデンに悪い結果をもたらしたのかと考えたからです。それは真実の探求と呼ばれる種類のものです。もっとも私はハットンの本を完璧だと考えています。私はおそらく、このようなものを書くことが出来ないでしょう。

オスカー:カール12世は1718年に死んで以後、あらゆる政治的背景のなかで利用されてきました。同じ事はアレクサンドロス大王にも言えるでしょうか?

ベングト:アレクサンドロスはカール12世以上に利用されてきました。ローマ帝国の皇帝たちはアレクサンドロスを支配者の象徴としていました。彼はコーランや聖書の中にも見受けられます。彼は、仏陀やキリストとともに歴史上世界で最も描かれてきた人物です。例えば現代でも、WW2のドイツの「電撃戦」などアレクサンドロスの戦術の応用とも言えます。ノーマン・シュワルツコフは湾岸戦争でアレクサンドロスの兵術を適用したと言っています。というよりも、アレクサンドロス以降のほとんどの軍人は彼に学んでいるのです。それはカール12世も同じです。

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