槍と銃剣

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アマゾン敗北の余波とタブレットPCとの戦い

2010年02月03日 20時18分45秒 | Kindleや端末など
出版社の圧力に屈したAmazon、Kindleビジネスへの影響は?

マクミラン社の要求を飲んだアマゾンの株価は急落した。
おそらくiPadの影響からくるネガティブイメージも株価下落に拍車を掛けたのだろう。
ロイター通信のこの記事経由のニューヨークタイムズからの報道によると
「Macmillanの主張した価格は、AppleがiPad向けの電子書籍販売に関して出版社6社中5社と合意した条件を反映しているとNew York Timesは伝えている。」
とのこと。

先に、アマゾンが表明の中で
「We don't believe that all of the major publishers will take the same route as Macmillan.私たちは全ての主要な出版社がマクミラン社と同じ道を選択しないと信じています。」
と述べたのは単なる願望に過ぎないということになる。

そして実際の所、おそらく今後、安さを売りに拡大してきたKindleの躍進は停滞するか、少なくとも鈍化するのは避けられない。

株価の急落は、こういったネガティブなイメージが大きく膨らんでいる証拠でもある。
ただ、上の記事によると、ナーバスな反応過ぎると言うことのようだ。

つまり売り上げは減るが利益率は上がるということ。

加えて、アマゾンの覇権を最近揺るがしているiPadについても、Kindleの熱心なユーザーとiPadを支持するユーザーは実は被らないのではという予測もある。
私もこれに賛成である。
電子ペーパーのKindleは読書に特化したデバイスだがiPadは液晶であり、もっと動的なものに理想がある。

こちらの記事にあるように
「活字のKindle」vs「マンガのiPad」――電子書籍端末の勝者は?
キンドルは小説を読むのに、iPadは漫画を読むのに適しているという批評も、その延長線上にある。(個人的には、漫画も電子ペーパーでリズムを損なわずに読めるようになると思っているが)
もっとも、この記事はKindleDXの存在を無視しているし、iPhoneでマンガを読んでいる人間が自宅でもiPhoneでマンガを読んでいると勘違いしているようにも見える。
現状で彼らがマンガを読んでいるのは電車の中や移動中や出先であり自宅ではない。
そして、iPadは、明らかに日本の通勤事情などを考えれば出先での利用は難しい。
果たしてiPadでもiPhoneユーザーがマンガを読むか? 難しいところだ。
やはり、iPadは自宅で気軽にネットや動画を楽しむと言うスタイルが最も適しているのではないかと思う。

もっとも、だからこそ、
マルチタスクやフラッシュ、カメラといったものに対応したとき、気軽なテレビ電話やインターネット、動画端末としてiPadは大きく羽ばたく可能性がある。
さんざん、iPadを貶しているが、タブレットPCには未来があると思っているのはここにある。
これについての詳しい話としてはこんな記事があった。
まだiPadは失敗作だとつぶやいてるあなたへ... その予想は甘い!
大枠としては同意できる。
ただ、これがiPadである必然性はない。HPのスレートでもChromeパッドでも良い。

そしてこの中で、読書に特化したデバイスは生き残れると確信できる。
これまで見たように用途がまったく違うからだ。

だから一時的に、両者は同一分野で戦っても、そのうちに緩やかな共生状態になるのではと思う。アマゾンが、Kindle for iPhoneなどをリリースしているのも(Kindle for iPadという噂すらある)その辺りを読んでのことだろう。

Amazon vs MacMillan騒動、Amazon側が譲歩

2010年02月01日 10時44分12秒 | Kindleや端末など
どうやら「なるいのDRM進化論」の予想通りの結果に収まった模様。


Amazon/MacMillan騒動、Amazon側が一転して譲歩、事態収拾へ

しかしこれは、事実上の大幅値上げです。
果たして、こんなに値段が上がって売れるのでしょうか?

アマゾンの発表を一部抜粋すると
Amazon customers will at that point decide for themselves whether they believe it's reasonable to pay $14.99 for a bestselling e-book. We don't believe that all of the major publishers will take the same route as Macmillan.
「アマゾンの利用者はこの問題で、電子書籍のベストセラーに14.99ドルを支払うのが妥当だと考えるかどうか判断することになるでしょう。私たちは全ての主要な出版社がマクミラン社と同じ道を選択しないと信じています。」(Google翻訳を整形、つまりテキトー)

ということで、まったく納得していないのがよく分かります。

もっとも日本の出版業界にとっては朗報なのでしょう。
(本当の意味で朗報かどうかは別。しかし彼らは目先でしか判断できない)

このまま、電子書籍の値段が高止まりすると、急速に発展した市場にはコピー製品があふれかえることになり、出版業界は壊滅的影響を被るという予測も立てられます。

適正価格でないものが売られる市場ではコピー製品が勝利をおさめるのは自明です。
アニメなどの不正動画を見れば、それは明らか。
30分番組最新話を200円~300円!で数日レンタルしようとする商売は成り立たないのです。
だから最近は、公式チャンネルでも最新話は1週間無料という形態となったのです。

しかしそれでも一度、一線を踏み越えてしまった多くの利用者は継続して全話無料という違法なコピーに流れ続けて、致命的なツケをTV側は払わされ続けています。

このことに、出版社が気がつくのはいつになるのでしょうかね。