槍と銃剣

近世西洋軍事と日々の戯言&宇宙とか色々

ヒトスリエと鐙

2009年02月28日 22時12分58秒 | 歴史の話
チェーザレ、ヴィンランド・サガ、ヒストリエと個人的に現在進行形の西洋歴史漫画三羽烏と思っているわけですが、今月号のアフタヌーンでは後ろ二つが吃驚展開でした。はい。
特にヒストリエは作者の確信犯的な展開に驚きました。
これまでも創意工夫の人としてエウメネスを描いてきたし、英雄伝とかを読むと後に籠城戦でも馬が衰えないように訓練法を編み出したりした史実から、そういうイメージはあながち的はずれなキャラ設定ではないと思っているのだけど、まさか鐙とは。
う~ん、どうするのだろう? 遠征軍のヘタイロイとかは鐙装備で描くのかなぁ。それとも将来のエウメネスが率いる騎兵隊にだけ導入されて差別化をはかるのだろうか? そうすると他の連中が使用しない理由付けがいるなぁ。ともかくも軍事技術的には100年以上は先に進んじゃった。
もっともスキタイ系部族が鐙を発明したはずなので、この頃からちらほら使われ出していてもいいじゃんという想像は決して無茶ではない。実際、考古学的には鐙の発明はいつごろまで幅を持たせて考えられるのだろうか? 遊牧民族の歴史は謎だらけ。
それに関係ないけど、あらためて考えると、パルティアから学べたはずのローマで鐙が導入されなかった理由もわからないな。
今後の展開がますます楽しみだ。

ところでモーニングのチェーザレ、連載再開はいつだろう? もうそろそろだと思うのだが。

新撰組!!

2006年01月04日 00時20分18秒 | 歴史の話
見ました。なんと言いますか……まぁあんなもんでしょうかね。
オイラが大好きな大鳥圭介は相変わらず、馬鹿な描かれ方でした。
だいたい、大鳥が戦好きなんて評価、どうかしてますね。
彼は技術者です! その技術の中にたまたま軍事技術もあっただけなんです。

それに、あんな落ち着きのない奴ではないと思います。
後年の朝鮮半島で見せた行動とか、
負けた負けたと笑って帰ってきて、大将の器があると評されたこととか、
三谷幸喜氏は知らないらしい。
第一、降伏しようと言いだしたのは、榎本ではなく大鳥で、
榎本が切腹しようとして失敗したときに、
死ぬのはいつでも出来る、ここは一つ降伏としゃれ込みましょう。と言ったらしい。
まぁこれは土方の死後の話。
土方が死ぬ前は、まだ降伏の話はあそこまで大きくなってなかったと思うし。

だから、あんな金切り声でわめき散らす大鳥はおかしい。
悔しかったろうけど、それを表に出さず、
明るく常に振る舞っていたというのが真実の大鳥だとおもう。
どうしても土方を光らせようとすると大鳥はあんな感じになってしまうなぁ。

三谷幸喜的には、榎本=近藤、大鳥=山南、って描き方か。
まぁ認識に間違いはないんだけどね。つまり大将、参謀、前線指揮官てな訳。
日本は参謀をあんまり評価しない土壌が、昭和陸軍の暴走の結果、戦後に生まれてしまった。
この辺が、問題なんだよねきっと。

オイラのイメージだと、大鳥と土方の仲もそんなに酷いものではなかったと思う。
なんだかんだと、宇都宮から蝦夷までの戦いをともに戦って、
苦楽をともにしているわけだし。
常に大将は大鳥だったわけだし。嫌だったら、普通、別行動とるでしょ。
別段、一緒にいろって命令が下りてきていたわけでもないんだし。
もし嫌だったとしても、大鳥が軍をとりまとめないと、
みんなバラバラになってしまうからで、
それはつまり、大鳥の器がでかかったってことでしょう。土方よりも。
結局、土方は現場指揮官の器。大鳥は参謀や指揮官の器だったわけ。

でもやっぱり、大鳥は技術者として描いて欲しいなぁ。
結局、技術者ってのは武士じゃないわけで、その辺が嫌われるところなのは間違いない。
土方とも、そこのところは対立していただろうね。
命あっての物種という大鳥の考え方、
戦後、明治新政府に奉職する大鳥の姿、
実に技術者らしい。

蝦夷地の開拓やら、工部大学校の学長。
仕える相手が誰だろうと、作りたいモノが作れる環境を求めるのが技術者。

きっと、蝦夷共和国に加わろうと思ったのも、
蝦夷でやりたいことがやれると思ったからだろう。
で、それが無理なら、新政府でも問題ない。
そりゃ、降伏しますよ。端から見ているものが違う。
武士道も良いけど、夢を達成するには武士道はいかんわけです。

でもドラマの大鳥は武士だった。だから、あんな変なキャラになる。
こまったものだ。