オストゥーニの町に次第に夕闇が迫ってきた。
さあ、町全体をカメラに収めよう。
先ほど見つけておいた撮影スポットに向かった。
太陽が彼方に隠れて行った。
空には茜雲。
次第に旧市街の家々に明かりが灯り始めた。
そして、大聖堂もライトアップされた。
外から見ると、大聖堂の塔が見事に町の中心にあるように造られているのがよくわかる。
ふもとの教会にも明かりが灯った。
イタリア半島の南端。踵のあたりのほんの小さな町。
その街を夕闇が包み込んでゆく。
子供のころ、いや大人になってからも、静寂に支配されたこんな場所に立って、イオニア海とアドリア海に挟まれた真っ白な集落を見つめているなどということを、想像もしていなかった。
まるで時が止まったような世界で、ただただ目の前に展開される「ライトアップショー」を独占できる喜びが、じわじわと湧き上がるひと時だった。
でも、ふと我に返るともう最終バスの時間が迫っている。大急ぎでバス停に向かった。
結局バスは10分ほど遅れてきたので、悠々間に合った。
長く、暑く、素晴らしい一日が過ぎて行った。
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