新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編⑪ コンシェルジェリーに上る朝日を見て フランス革命の歴史の一端を思い出した

2024-08-06 | 心ふるえる風景 パリ編

 寒さがジンと染み透る早朝 目覚めたついでに散歩に出かけた

 セーヌ川の橋を渡ると かすかに夜明けを告げる空が茜色に染まり

 天に向かって針のように尖った屋根を突き出した 建物のシルエットが目に入った

 

 コンシェルジェリー

 ここはフランス革命でルイ16世と共に捕らえられた マリーアントワネットが

 死刑になる直前の2か月 最後の日々を過ごした建物だ

 

 ウイーンハプスブルク王朝の 王妃マリアテレジアの娘として生まれ

 14歳でフランスに嫁ぎ 王妃としての半生を謳歌したものの

 最後はコンコルド広場で 断頭台の露と消えた

 

 突然思い出したのは 彼女の彫像だ

 ちょうど前日に訪れた サンドニ聖堂にある墓の前に

 彼女の像が供えられていた

 胸に手を合わせ 何かを祈るかのようにうつむいて物思う姿が

 背後のステンドグラスからの 光に包まれて

 実に印象的だった

 

 フランス革命時 彼女の遺体は集団墓地に葬られたが

 20数年後の王政復古後 遺体捜索の結果発見され

 改めて歴代フランス国王の眠る サンドニ聖堂に改葬されて

 現在は夫のルイ16世の棺と 並んで安置されている

 

 波乱万丈の生涯を過ごしたのは アントワネットだけではない

 歴史的建物コンシェルジェリーでは 1793年1月から1794年7月まで

 アントワネット以外にも 実に2600人もの貴族や革命家たちが

 最後の日々をここで拘束された後 断頭台へ引かれていった

 

 そんな壮絶な過去を 抱える建物にも今 

 安らかでほのぼのとした朝日が ゆっくりと昇ってゆく 

 身の引き締まる感慨を覚えた 師走の朝まだきだった

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 心ふるえる風景 パリ編⑩ カ... | トップ |   
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

心ふるえる風景 パリ編」カテゴリの最新記事