新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

パリ・モンマルトル紀行② ゴッホの絵が初めて展示されたカフェ

2017-01-07 | パリ・モンマルトル

 朝、三日月の残る青空と共に目覚めた。

 モンマルトル巡りは、地下鉄ブランシェ駅前からスタート。春の柔らかい日差しの下、クリシー大通りは明るい光に包まれている。

 日の昇る東に向かって歩き出す。ほどなく通り左側に、あの黒猫のイラストが見えた。
 キャバレー・シャノワール。1884年にモンマルトルで開業して人気を博し、多くの芸術家が店内に作品を展示した店が、今はカフェに姿を変えて、このクリシー大通りにある。

 黒猫のポスターはテオフォル・スタンランのデザインだ。まだ朝早いため開店前。店員が忙し気に開店準備を進めている。

 そこからすぐ先の角は、カフェ・デュ・タンブランがあった場所。

 建物のたたずまいは今も同じ感じだ。

 今はカフェはなくなり、ケバブの店が入っていた。

 ここから数百メートル北へ入ったルピック街54番地にはゴッホの住んでいたアパートがある。

 1886年3月、オランダからパリに出たゴッホは弟テオの住むこのアパートを訪ね、約2年間生活を共にした。

 この家から坂道を約400m下ると、カフェ・タンブラン。


 店のオーナー アゴスティーナ・セガトーリは、貧乏なゴッホのために食事代を絵で支払うことを認めたり、彼のモデルを務めたりしたこともあった。ゴッホに取って初めての「パリの行きつけの店」となり、彼の絵が公の場で初めて展示されたのもこの店だった。

 ゴッホ最初のパリ生活は2年間で終わりを告げ、1888年2月、南仏のアルルへ旅立っていった。


 滞在中アパートの窓から眺めたパリの街風景が作品となって残されている。「ルピック街からのパリの眺め」。後期のあの強烈なタッチと違って、このころの絵は繊細さが目立つ作品になっていた。

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