新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 イタリア編⑩ 病魔克服の象徴として建立された 感謝の教会

2023-08-22 | 心ふるえる風景・イタリア編

 サルーテ教会の主祭壇には 迫力に満ちた彫像が置かれている

 中央に 聖母子がすっくと立ち

 両脇には 擬人法によって表現された2つの像

 向かって左 聖母を尊敬のまなざしで見つめ

 祈りの姿をとるのは ヴェネツィアそのものだ

 そして右側 厳しい追及に遭って 必死で逃げ出そうとする 老婆の姿

 これこそ 当時ヴェネツィア全土に猛威を振るった病魔

 ペストの最期を生々しく表している

 

 17世紀半ば ヴェネツィアではペストの蔓延のため

 当時の人口の3分の1が死亡したという

 そんな悪夢のような時期が過ぎ ようやくペストが収まった時

 感謝の印として建立されたのが サルーテ教会だった

 従ってこの教会は まさにペスト克服の象徴として存在している

 

 現在世界もここ数年 新型コロナによって大変な苦しみを味わったが

 4世紀前の 人類の病魔との闘いの印としての この教会が持つ意味を

 改めて考え直すきっかけにすることも

 意義ある事のように思えた

 

 約10年前に、私もサルーテ教会の祭りに参加した

 長いロウソクを購入してミサに参列

 最も需要なミサが終わった時 前で祈っていた女性が

 突然振り向いて 手を差し伸べた

 参列者がお互いに握手を交わして 健康を喜び合うという恒例行事

 この日1日 私もヴェネツィア市民となれたような

 温かい気分に満たされた

 

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