新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 イタリア編⑥ 花々が咲き乱れる「楽園」の島サン・ミケーレ島 でも・・・

2023-08-08 | 心ふるえる風景・イタリア編

 

 島に上陸して最初に目に入ったのは”お花畑”だった。

 緑の芝生を覆いつくすかのように

 花々が 咲き乱れている

 何と晴れ晴れとした 楽園の風景

 

 でも、少し近づくにつれ 

 その第一印象が 全くの外れだったことに 気づいた

 並んでいるのは 墓

 そして 咲いている花は すべて造花

 

 ここはヴェネツィアにある墓の島 サン・ミケーレ島

 後に調べてみると 19世紀に本島各地に散在していた墓を

 一斉にこの無人島に移住させて 

 狭い土地の有効利用と 疫病蔓延防止を図ったものだという

 主として住民の墓だが

 ヴェネツィア好きで わざわざ遺言でこの地を選んだ

 大作曲家ストラヴィンスキーの墓もあった

 

 住民はゼロ

 造花なので この島は一年中花に埋もれている

 

 私が訪れたのは7月 快晴の昼

 頭の中で このあまりにも晴れやかな景色と

 墓の集合体という現実とが 

 どうしても融合せずに 

 しばし呆然としながら 帰途に就いたことを

 今でも鮮明に 覚えている

 

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