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Doripenem
David L. Paterson and Daryl D. DePestel
Clinical Infectious Diseases July 15,2009
・現時点において最も新しいカルバペネム系抗菌薬であり2007年にFDAにより認可
作用機序
他のβラクタム抗菌薬のようにペニシリン結合蛋白(PBPs)に結合し安定的なアシル酵素を形成、細胞壁を弱体化させ浸透圧による細胞壁破壊を引き起こす。
ドリペネムはPseudomonas aeruginosaのPBP2とPBP3, Escherichia coliのPBP2に強く親和する。一般にドリペネムのPBP結合比はメロペネムと全く同じ。対照的にイミペネムはP. aeruginosaのPBP1 aとPBP 1bにより強い親和があり、PBP2とPBP3に親和が少ない。MIC valueにおいてドリペネムは0.25μg/mlであるのに対しイミペネムでは1-2μg/ml
In Vitro Studies
・Pneumococci, や他のstreptococci, Enterobacteriaceaeに対して非常に良好な活性
・ESBLに対してメロペネム、エルタペネムと同等、イミペネムより2-4倍のdilution advantageをもつ。
・P.aeruginosaに対してはメロペネムと同等、イミペネムより2倍。メロペネムが耐性でもドリペネムが感受性がある場合があるため感受性検査は必ず行うべき。
・Enterococcus faecalisに対してはイミペネムより2dilutions劣り、メロペネムと同等、エルタペネムより優れている。
・Acinetobacter属に対してはイミペネム、メロペネムより強い活性はない(例外はある)
・ESBL, Amp C産生菌に対しては通常MICは1以下であるが、KPC産生菌、メタロβラクタマーゼ産生菌に対しては8-64μg/ml
・Stenotrophomonas maltophiliaに対しては無効
・MRSA、VREに対して無効。(MSSAに対しては強い活性をもつ)
・Burkholderiaに対する感受性は様々。
・嫌気性菌に対しては有効でBacteroides fragilisの耐性菌は10%強。
耐性機序
・MRSAに対して感受性はなく、恐らくMRSAの変異PBPに親和性がない。
・ペニシリン耐性の肺炎球菌に対してPBP2x, PBP2bで親和性が劣る。カルバペネムを加水分解できるβラクタマーゼをもつグラム陰性桿菌(メタロβラクタマーゼ、KPC、いくつかのOXAタイプのβラクタマーゼ)。排出ポンプも重要である、depressed AmpCβラクタマーゼに加え、OprDをもたないP.aeruginosaはMICsが高い。
薬物動態
イミペネム、メロペネムと極めて似ている。半減期は1時間以内で腎排泄。1-βmethyl side chainをもちいくらかdehyropeptidaseに耐性。(イミペネムと違いシスタチン添加がいらない)。健常人に1時間かけて500mgを投与した場合、平均最大血清濃度は23.0μg/mltなる。重症腎不全では半減期が5時間まで延長するためCcr 50ml/min以下では量の調整が必要。蛋白結合率は8%、分布面積は細胞外液と同等で平均16.8l。腹水を含め各種組織へ構成が良好だが、髄液に対してはデータがない。
他のカルバペネム系抗菌薬と比較し0.9%Nacl, 5%ブドウ糖に溶かされた後もしばらく安定(0.9% Nacl12時間、5%ブドウ糖4時間)メロペネムは0.9%Nacl 4時間、5%ブドウ糖1時間、イミペネムはいずれも4時間
投与に関しては4-6時間毎がMICが高い病原に対して最も効果を発揮する。(理想的には500mg 8時間投与 4時間かけてが最も望ましい)
研究結果
複雑性腹部感染
① Lucastiらにより多施設、double-blind randomized study
ドリペネム500mg 8時間毎1時間かけて×メロペネム1g8時間毎3-5分ボーラス
476人登録(虫垂炎59.9%, 大腸感染20.1% 24時間以内に全て外科的手術)
差は無し。ドリペネム86.7%, メロペネム86.6%
複雑性尿路感染
② Naberらによる多施設、double-blind randomized study
ドリペネム500mg 8時間毎1時間かけて×レボフロキサシン250mg 1時間毎
1171人登録
差は無し。ドリペネム82.1%, レボフロキサシン83.4%
院内肺炎(人工呼吸器関連肺炎を含む)
③ 二つのstudy
ドリペネム500mg 8時間毎1時間かけて×タゾバクタム/ピペラシリン4.5g6時間毎
差は無し。ドリペネム81.3%, タゾバクタム/ピペラシリン79.8%
ドリペネム500mg 8時間毎4時間かけて×イミペネム
バンコマイシン、アミカシンを加えることが可能、531人登録
差は無し。ドリペネム59.0%, イミペネム57.8%
30人ではP.aeruginosaを検出。28人でドリペネムに対する基礎のMIC評価。10(36%)がfollowで下気道の痰培養で基礎より4倍以上のMICをもつP.aeruginosaを検出。
25人のイミペネム投与患者では19人にイミペネムに対する基礎のMIC評価があり。10(53%)でMICが4倍以上に増加。
In vitroでは
副作用
頭痛、嘔吐、下痢、紅斑、静脈炎
動物実験では他のβラクタムと比較しGABA受容体に対する親和性が少ない。
人工呼吸器関連肺炎のドリペネム、イミペネム比較試験では3/262(1.1%)の発生率(イミペネム10/263 3.8%)
ペニシリン・セファロスポリン、他のカルバペネムでアナフィラキシーを有する患者では投与すべきではない。
量
Ccr 50ml/min以上:500mg8時間毎
30-50ml/min 250mg 8時間毎
10-30ml/min 250mg 12時間毎 いずれも1時間かけて
その他
・新生児、小児、cystic fibrosis、透析、腹膜透析、に対しては不明
・耐性菌の増加を防ぐために十分量を十分時間かけて投与すべき
David L. Paterson and Daryl D. DePestel
Clinical Infectious Diseases July 15,2009
・現時点において最も新しいカルバペネム系抗菌薬であり2007年にFDAにより認可
作用機序
他のβラクタム抗菌薬のようにペニシリン結合蛋白(PBPs)に結合し安定的なアシル酵素を形成、細胞壁を弱体化させ浸透圧による細胞壁破壊を引き起こす。
ドリペネムはPseudomonas aeruginosaのPBP2とPBP3, Escherichia coliのPBP2に強く親和する。一般にドリペネムのPBP結合比はメロペネムと全く同じ。対照的にイミペネムはP. aeruginosaのPBP1 aとPBP 1bにより強い親和があり、PBP2とPBP3に親和が少ない。MIC valueにおいてドリペネムは0.25μg/mlであるのに対しイミペネムでは1-2μg/ml
In Vitro Studies
・Pneumococci, や他のstreptococci, Enterobacteriaceaeに対して非常に良好な活性
・ESBLに対してメロペネム、エルタペネムと同等、イミペネムより2-4倍のdilution advantageをもつ。
・P.aeruginosaに対してはメロペネムと同等、イミペネムより2倍。メロペネムが耐性でもドリペネムが感受性がある場合があるため感受性検査は必ず行うべき。
・Enterococcus faecalisに対してはイミペネムより2dilutions劣り、メロペネムと同等、エルタペネムより優れている。
・Acinetobacter属に対してはイミペネム、メロペネムより強い活性はない(例外はある)
・ESBL, Amp C産生菌に対しては通常MICは1以下であるが、KPC産生菌、メタロβラクタマーゼ産生菌に対しては8-64μg/ml
・Stenotrophomonas maltophiliaに対しては無効
・MRSA、VREに対して無効。(MSSAに対しては強い活性をもつ)
・Burkholderiaに対する感受性は様々。
・嫌気性菌に対しては有効でBacteroides fragilisの耐性菌は10%強。
耐性機序
・MRSAに対して感受性はなく、恐らくMRSAの変異PBPに親和性がない。
・ペニシリン耐性の肺炎球菌に対してPBP2x, PBP2bで親和性が劣る。カルバペネムを加水分解できるβラクタマーゼをもつグラム陰性桿菌(メタロβラクタマーゼ、KPC、いくつかのOXAタイプのβラクタマーゼ)。排出ポンプも重要である、depressed AmpCβラクタマーゼに加え、OprDをもたないP.aeruginosaはMICsが高い。
薬物動態
イミペネム、メロペネムと極めて似ている。半減期は1時間以内で腎排泄。1-βmethyl side chainをもちいくらかdehyropeptidaseに耐性。(イミペネムと違いシスタチン添加がいらない)。健常人に1時間かけて500mgを投与した場合、平均最大血清濃度は23.0μg/mltなる。重症腎不全では半減期が5時間まで延長するためCcr 50ml/min以下では量の調整が必要。蛋白結合率は8%、分布面積は細胞外液と同等で平均16.8l。腹水を含め各種組織へ構成が良好だが、髄液に対してはデータがない。
他のカルバペネム系抗菌薬と比較し0.9%Nacl, 5%ブドウ糖に溶かされた後もしばらく安定(0.9% Nacl12時間、5%ブドウ糖4時間)メロペネムは0.9%Nacl 4時間、5%ブドウ糖1時間、イミペネムはいずれも4時間
投与に関しては4-6時間毎がMICが高い病原に対して最も効果を発揮する。(理想的には500mg 8時間投与 4時間かけてが最も望ましい)
研究結果
複雑性腹部感染
① Lucastiらにより多施設、double-blind randomized study
ドリペネム500mg 8時間毎1時間かけて×メロペネム1g8時間毎3-5分ボーラス
476人登録(虫垂炎59.9%, 大腸感染20.1% 24時間以内に全て外科的手術)
差は無し。ドリペネム86.7%, メロペネム86.6%
複雑性尿路感染
② Naberらによる多施設、double-blind randomized study
ドリペネム500mg 8時間毎1時間かけて×レボフロキサシン250mg 1時間毎
1171人登録
差は無し。ドリペネム82.1%, レボフロキサシン83.4%
院内肺炎(人工呼吸器関連肺炎を含む)
③ 二つのstudy
ドリペネム500mg 8時間毎1時間かけて×タゾバクタム/ピペラシリン4.5g6時間毎
差は無し。ドリペネム81.3%, タゾバクタム/ピペラシリン79.8%
ドリペネム500mg 8時間毎4時間かけて×イミペネム
バンコマイシン、アミカシンを加えることが可能、531人登録
差は無し。ドリペネム59.0%, イミペネム57.8%
30人ではP.aeruginosaを検出。28人でドリペネムに対する基礎のMIC評価。10(36%)がfollowで下気道の痰培養で基礎より4倍以上のMICをもつP.aeruginosaを検出。
25人のイミペネム投与患者では19人にイミペネムに対する基礎のMIC評価があり。10(53%)でMICが4倍以上に増加。
In vitroでは
副作用
頭痛、嘔吐、下痢、紅斑、静脈炎
動物実験では他のβラクタムと比較しGABA受容体に対する親和性が少ない。
人工呼吸器関連肺炎のドリペネム、イミペネム比較試験では3/262(1.1%)の発生率(イミペネム10/263 3.8%)
ペニシリン・セファロスポリン、他のカルバペネムでアナフィラキシーを有する患者では投与すべきではない。
量
Ccr 50ml/min以上:500mg8時間毎
30-50ml/min 250mg 8時間毎
10-30ml/min 250mg 12時間毎 いずれも1時間かけて
その他
・新生児、小児、cystic fibrosis、透析、腹膜透析、に対しては不明
・耐性菌の増加を防ぐために十分量を十分時間かけて投与すべき
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