Review
Benjamin A. et al
CID 2010:50 (15 June)
・ 男性の生涯で25%が前立腺炎の診断を受けるが、細菌性感染が証明されているのは10%以下である。非細菌性前立腺炎の原因、治療はよくわかっていないが、細菌性前立腺炎はグラム陰性桿菌で主体で時折、グラム陽性菌、非定型菌種である。
・ 慢性前立腺炎においては長期間の前立腺移行性のよい抗菌薬(高い脂溶性、イオン化率が低い、高い解離定数、低い蛋白結合、小さい分子量)が必要となる。
NIH定義
ABP(I) <1%以下
中間尿 白血球2+ 培養陽性 前立腺 白血球2+ 培養陽性
CBP(II) 5-10%
中間尿 白血球+ 培養陽性 前立腺 白血球+ 培養陽性
CP/CPPS(III) 80-90%
中間尿 白血球- 培養陰性 前立腺 白血球+ 培養陰性
AIP(IV) 10%
中間尿 白血球+ 培養陰性 前立腺 白血球- 培養陰性
疫学
・ 50歳以下では尿路系疾患で最も一般的、50歳以上では3番目
・ 男性の10%で慢性の前立腺炎様症状
・ 生涯リスクは25%
病因
・前立腺からの排液の不全、尿道からの逆流による炎症、尿道からの炎症の波及。予防処置にも関わらず前立腺生検の2%以下で急性前立腺炎を発症
症状
・ 急性の排尿症状、困難。非限局性の疼痛、しばしば発熱や倦怠感
・ 5%以下で急性前立腺炎の人が慢性に移行。2%以下で膿瘍へ発展
・ 前立腺触診では圧痛を認め、菌血症を認めることがあるが、愛護的に行えば安全である。圧痛、腫張、熱感を急性では認める。慢性では硬性の結節を認めるかもしれない。
・ リスクのある患者ではSTDの検査をスクリーニングすべき。
・ 尿検査、尿培養。PSAは急性前立腺炎の60%以下で上昇、慢性前立腺炎の20%以下で上昇。非細菌性前立腺炎の10%で上昇を認める。
・ 抗菌薬治療と共に減少を認め治療効果と相関する。(40%以下の患者で認める)
・E.coli は50-80%。その他の腸内細菌科(Klebsiella, Proteusが10-30%)。腸球菌5-10%。緑膿菌は5%以下。場合によりStaphylococcus, Streptococcus属が原因となる。(議論は残っている)。近年、グラム陽性球菌が増加している。
・慢性前立腺炎ではChlamydia trachomatis(37%), Trichomonas vaginalis(11%). Ureaplasma urealyticum(5%)。古典的な病原菌は20%。その他としてMycoplasma genitalium, Neisseria gonorrhoeae, Mycobacterium tuberculosis, fungi, viruses
治療
・抗菌薬治療(Category III, IVは不明瞭)
難点:抗菌薬の能動的Transport systemがない、抗菌薬移行性が悪い。(殆どの抗菌薬は弱酸性又はイオン化されており困難、高い解離定数のイオン化の低い、蛋白結合していない、分子量の小さい、脂溶性の高い物質が移行できる。)
→fluoroquinoloneが最も望ましい。懸念事項は耐性の問題である。
前立腺の組織濃度
・levofloxacinは血漿より高い濃度で移行
・penicillinは移行性が悪いがPiperacillinは高い血中濃度が達成できCBPを治療できる。
・cephalosporinは弱酸性で脂溶性が低いにもかかわらず、治療域を達成できる。但しcefazolinは困難。内服のセフェム系は危険
・minocyclineは少なくても血清の40%は達成。マクロライドも組織濃度は良好。その他ST合剤はTrimethoprimは低いがsulfamethoxazoleは高い
・急性前立腺炎では炎症により移行性が向上
・可能であれば点滴による治療が望ましい。
・ABPの治療は通常2週間、重症や菌血症症例では4週間
・慢性前立腺炎では4-6週間。Fluoroquinoloneが最も望ましい。
Amoxicillin-clavulanate 3.8-7.2μg/g amoxicillin
Ampicillin-Sulbactam 0.42-548.33μg/g ampicillin
Piperacillin 70.7μg/g
Cefazolin <10μg/ml以下 Cefaclor 0.74μg/g
cefuroxime 7.6-22μg/g
cefotaxime 6.8-22.9.
5μg/g cetriaxone 12.9-73.7μg/g
ceftazidime 23.4μg/g
cefepime、doripenem, vancomycin データ無し
cefpodoxime 0.5μg/g
imipenem 5.4μg/g
moxifloxacin 3.8-8.5μg/g
ST合剤 Trimethoprim 7.1μg/g sulfamethoxazole 24μg/g
clindamycin,levofloxacinは血漿よりも高濃度
Benjamin A. et al
CID 2010:50 (15 June)
・ 男性の生涯で25%が前立腺炎の診断を受けるが、細菌性感染が証明されているのは10%以下である。非細菌性前立腺炎の原因、治療はよくわかっていないが、細菌性前立腺炎はグラム陰性桿菌で主体で時折、グラム陽性菌、非定型菌種である。
・ 慢性前立腺炎においては長期間の前立腺移行性のよい抗菌薬(高い脂溶性、イオン化率が低い、高い解離定数、低い蛋白結合、小さい分子量)が必要となる。
NIH定義
ABP(I) <1%以下
中間尿 白血球2+ 培養陽性 前立腺 白血球2+ 培養陽性
CBP(II) 5-10%
中間尿 白血球+ 培養陽性 前立腺 白血球+ 培養陽性
CP/CPPS(III) 80-90%
中間尿 白血球- 培養陰性 前立腺 白血球+ 培養陰性
AIP(IV) 10%
中間尿 白血球+ 培養陰性 前立腺 白血球- 培養陰性
疫学
・ 50歳以下では尿路系疾患で最も一般的、50歳以上では3番目
・ 男性の10%で慢性の前立腺炎様症状
・ 生涯リスクは25%
病因
・前立腺からの排液の不全、尿道からの逆流による炎症、尿道からの炎症の波及。予防処置にも関わらず前立腺生検の2%以下で急性前立腺炎を発症
症状
・ 急性の排尿症状、困難。非限局性の疼痛、しばしば発熱や倦怠感
・ 5%以下で急性前立腺炎の人が慢性に移行。2%以下で膿瘍へ発展
・ 前立腺触診では圧痛を認め、菌血症を認めることがあるが、愛護的に行えば安全である。圧痛、腫張、熱感を急性では認める。慢性では硬性の結節を認めるかもしれない。
・ リスクのある患者ではSTDの検査をスクリーニングすべき。
・ 尿検査、尿培養。PSAは急性前立腺炎の60%以下で上昇、慢性前立腺炎の20%以下で上昇。非細菌性前立腺炎の10%で上昇を認める。
・ 抗菌薬治療と共に減少を認め治療効果と相関する。(40%以下の患者で認める)
・E.coli は50-80%。その他の腸内細菌科(Klebsiella, Proteusが10-30%)。腸球菌5-10%。緑膿菌は5%以下。場合によりStaphylococcus, Streptococcus属が原因となる。(議論は残っている)。近年、グラム陽性球菌が増加している。
・慢性前立腺炎ではChlamydia trachomatis(37%), Trichomonas vaginalis(11%). Ureaplasma urealyticum(5%)。古典的な病原菌は20%。その他としてMycoplasma genitalium, Neisseria gonorrhoeae, Mycobacterium tuberculosis, fungi, viruses
治療
・抗菌薬治療(Category III, IVは不明瞭)
難点:抗菌薬の能動的Transport systemがない、抗菌薬移行性が悪い。(殆どの抗菌薬は弱酸性又はイオン化されており困難、高い解離定数のイオン化の低い、蛋白結合していない、分子量の小さい、脂溶性の高い物質が移行できる。)
→fluoroquinoloneが最も望ましい。懸念事項は耐性の問題である。
前立腺の組織濃度
・levofloxacinは血漿より高い濃度で移行
・penicillinは移行性が悪いがPiperacillinは高い血中濃度が達成できCBPを治療できる。
・cephalosporinは弱酸性で脂溶性が低いにもかかわらず、治療域を達成できる。但しcefazolinは困難。内服のセフェム系は危険
・minocyclineは少なくても血清の40%は達成。マクロライドも組織濃度は良好。その他ST合剤はTrimethoprimは低いがsulfamethoxazoleは高い
・急性前立腺炎では炎症により移行性が向上
・可能であれば点滴による治療が望ましい。
・ABPの治療は通常2週間、重症や菌血症症例では4週間
・慢性前立腺炎では4-6週間。Fluoroquinoloneが最も望ましい。
Amoxicillin-clavulanate 3.8-7.2μg/g amoxicillin
Ampicillin-Sulbactam 0.42-548.33μg/g ampicillin
Piperacillin 70.7μg/g
Cefazolin <10μg/ml以下 Cefaclor 0.74μg/g
cefuroxime 7.6-22μg/g
cefotaxime 6.8-22.9.
5μg/g cetriaxone 12.9-73.7μg/g
ceftazidime 23.4μg/g
cefepime、doripenem, vancomycin データ無し
cefpodoxime 0.5μg/g
imipenem 5.4μg/g
moxifloxacin 3.8-8.5μg/g
ST合剤 Trimethoprim 7.1μg/g sulfamethoxazole 24μg/g
clindamycin,levofloxacinは血漿よりも高濃度
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