LOVE&DESIRE

沖縄で頑張る爺バンドのブログだったがいつの間にか爺の独り言(涙)。

犬と雑誌

2011-04-27 17:10:08 | ブログ

 僕は戦争が終って10年ぐらい経った沖縄県那覇市に生まれた。それから6年後小学生になる頃には戦争の傷跡は少しずつ消え去り、僕の住んでいる与儀十字路方面も南方連絡事務所、(現那覇署)市民会館、与儀公園、日米文化センターと新しい施設が増えて行く。(順番は忘れたけどね)

 そんな十字路の近くに雑誌の仕分け所があった。古びた瓦屋根の木造の建物。今も昔も子供向け月刊誌には付録がいっぱい付いていて、仕分け所で付録を挟み込む作業を一冊一冊手作業でやっていた。ここで、雑誌を買えば本屋さんに行くより何日か早く待ち遠しい「少年画報」が買えた。月に一度のお楽しみイベント。

 仕分け所で働くのは大学生ぐらいのお兄さんたちで(もしかして高校生かもしれない。子供から見れば少し上のお兄さんは大人びて見えたから)皆何かしらの障害を持っていた。その中のメガネで細い顔立ちの神経質そうなお兄さんと僕はお友達になった。理由は一番優しかったから。

 ○○にいちゃん(名前は忘れてしまった)はその当時珍しいシェパードを飼っていて、○○兄さんが一生懸命仕分け作業をしている傍で何時間も寝そべって御主人の仕事終わりを待っている。

 あまりにも大きな犬なので僕が怖がるとお兄ちゃんは障害の為聞き取りにくい喋りで「大丈夫、これ、大人しいから、頭撫でてみ」と勧め、恐る恐る触ると大きな舌で僕の手を舐める。それから、犬と友達になりご機嫌取りで時々大切な飴玉などくれてやったりした。ゴリゴリとすぐに噛み砕くさまは大型犬の迫力そのもの。もし、立ちあがったら僕の身長の2倍はあるはずだ。でも、いつも紐で括られているから大丈夫さ。

 又、楽しみの発売日。僕は浮かれて仕分け所に向かう。すると、前方からなにやら突進する物体を確認。あの犬だ。括られてね~よ。固まる僕めがけ犬ジャンプ。このまま後ろに倒れては死にますので、全身の力で踏ん張り犬を受け止める。奴の前足が僕の両肩へ乗り僕の顔を舐めて親愛の情を表したいのだが、(尻尾が嬉しく左右に振れる)小学1年生チビ助なので空振り。僕の頭の上に奴の顎。傍から見れば犬&小学生のダンス?

 怖い怖い怖いパ二くった僕は視界いっぱいに見える奴のお腹に左右ボディーブローを何発も入れるのだが子供のパンチなど効く訳も無く、逆にうれしがって後ろ足交互にステップで喜ぶ。果てしなく続く犬とのダンス、良く見れば小学生(僕)恐怖で泣いて居るではないか。たまたま通りがかった近所の伊波のおばさんのレフリーストップでゲームオーバー。僕は無事に難局を乗り切った。(犬にしてみればジャレていただけどね)

 その後、前と同じように仲良しのまま時間は過ぎ去り、しばらくして仕分け所が廃止になつた。そこに居た全ての人々チリチリばらばらとなる。あのおにいちゃんも犬も二度と会うことは無かった。助けてくれた伊波のおばさんはもうすぐ90歳になる。今でも同じ家で元気が嬉しい。

思い出話にお付き合いいただきありがとうござい~。どす。