月水食堂のお弁当

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映画「クロッシング」

2010-08-01 07:47:34 | 日記
朝、一通り家事を終えたら、疲れきってぐったりした。

暑さのせいであろう。
リビングで扇風機にあたりダラダラ横になっていたが、あまりに暑い。
家にいてもエアコンに頼りグータラ寝てばかりになりそうなので、映画館に行こうと思いたつ。

新聞で調べたら、以前からチェックしていた「クロッシング」が公開されている。よしっ!これだ。

「クロッシング」は、脱北者問題をテーマにした重く切ない映画だ。

飢えに苦しむ国民と分断された国家北朝鮮の現実をまっすぐ捉え、当たり前の幸せをつかむため命をかけて国境を越える人々の実態を色濃くえぐった作品。

今も後を絶たない脱北者の数。しかし、現実逃げて生き延びられる人はまれであり、リスクの大きさは想像を絶する。

この映画の主人公、一家の父であるヨンスは元サッカー代表選手だが、今は貧しい炭鉱夫で、結核を患った妻のために薬を手に入れようと一人中国に渡る。が、留守の間に妻は死に、11歳の息子ジュニは父を探す旅に出る。ヨンスは不法労働者として公安に捕まるが、脱北者としてマスコミに出ることで身の危険から守られる。一方ジュニはストリートチルドレンとして暮らす中、捕われの身となり強制収容所送りとなる。

人権のかけらもない過酷な収容所で、ジュニは幼なじみの少女と支え合うが、少女は衰弱死。ほどなく助け出され、ブローカーの案内で父とモンゴルで落ち合う約束に希望を持つ。やっと一緒に暮らせる日が来るのだ。

母が死に孤児となり収容所に送られ悲惨な運命に翻弄されるジュニの、それでも必死に生き延びようとする姿がいじらしく涙を誘う。

なのに、あと一歩というところでまた苦難が襲い、二人を引き裂く。

あまりに過酷で残酷で悲惨でやりきれない結末に心がえぐられる。
砂漠でさまよい息絶えるジュニ。遺体に取り縋る父。
思わず「やめて~」と叫ぶところだった。
涙が止まらず、この憤りをどこにぶつけていいかわからない。

この映画は架空の物語でも、よその国の出来事でもないのだ。フィクションでありながら現実の
北朝鮮を浮き彫りにしているから。

実際の脱北者たちに綿密なインタビューを重ね、危険を冒して完成したこの作品。
よくぞ撮ってくれたと、キムテギョン監督にはただただ感謝し、この映画が一日も早く北朝鮮を変えるきっかけとなることを祈るばかりである。