刑事ドラマでは、よく仲間内でニックネームを付けているものがありますが、あれは『太陽にほえろ!』の影響なのでしょうか。(それ以前の刑事ドラマを見たことがないので‥‥(^^ゞ)
この『怪奇大作戦』では、レギュラーの「SRI」のメンバーはお互いをニックネームで呼び合います。「SRI」の中心的人物の牧を三沢は「先輩」と呼び、三沢は牧に「スケさん(名前の京「助」から)」と呼ばれます。その後輩である野村は2人から「ノム」と呼ばれ、野村は牧を「牧さん」、三沢を「先輩」と呼びます。「先輩」という呼び名が三沢→牧、野村→三沢を表している点に、微妙な上下関係が読み取れて面白いです。
また、紅一点のさおりはそれぞれを「牧さん」「スケさん」「ノンちゃん」と呼び、呼び方一つで尊敬や親しみが感じられる点に驚きます。番組の登場人物が、番組が始まる前から人間関係を築いてきたことが感じられる、見事な設定です。
それでは本編のレビュー、いってみましょう!
●「人喰い蛾」昭和43年9月22日放映
制作第1話 放映第2話 脚本:金城哲夫 監督:円谷一
制作では第1話ですが、特撮シーンのリテイクが出て放映日に間に合わず、制作第2話の「壁抜け男」が放映第1話に繰り上げられたという、曰くつきのエピソードです。
制作第1話であるために、他のエピソードとは異なるフォーマットが見られます。番組タイトルは1行表記で、サブタイトルではOPテーマが流れないものとなっています。
ストーリーは、自動車業界の新車開発に絡む関係者の殺人という、それまでの円谷作品に慣れ親しんできた者にとってはちょっと馴染みの薄い展開です。リアルな大人の世界を垣間見たような感覚を覚えました。「もしかしたら、大人の世界ではこういうことが本当に起こっているのかもしれない。」と感じさせられたからこそ、より一層この『怪奇大作戦』というシリーズに恐怖を感じるのでしょう。
場面はゴーゴー喫茶。開巻一発目、激しいエレクトリック・ギターの音に驚きます。ディストーションのかかった音ではありませんが、昭和40年代の子どもの耳には充分に刺激的です。ゴーゴー喫茶の暗い店内と激しい照明が、子どもの頃の私にはこの世のものとは思えませんでした。しかし、そういう世界が現実にあるのだろうと思いましたし、そう思ったことによって、その後に起こる「細菌を使った殺人事件」の現実味も増していきました。子どもに「不条理な大人の世界のリアル感」を刷り込むという意味では、冒頭にゴーゴー喫茶を見せることは効果的だったでしょう。
そして、第1の殺人。顔や手が泡に包まれ、白骨化していく過程の描写はショッキングで見事です。ただでさえ「骸骨」は怖いものなのに、ご丁寧に、ところどころに肉片を思わせる赤いものが付着しています。英二氏の指示でこのシーンはリテイクだったそうですが、TVでこれだけの映像表現ができる当時の技術の高さに驚嘆します。(しかも日曜日夜7時に放映されたとは!)
車内での第2の殺人シーンも、メガネや鳴り続けるクラクションなどの小道具やSEが効果的で、子どもには正視するに絶えられないものです。そして、この後のエピソードではここまでグロテスクな描写は見られなくなりました。
スケさんのほとんど直感の強引な推理でストーリーが進みます。牧の裏付けでスケさんの推理が正しかったことが証明されるなど、初期話数では牧とスケさんの対立と協力がしばしば見られます。
赤ちゃんの傍にとまっている蛾。次の被害者の可能性があるとして偶然に牧が訪れ、赤ちゃんを救出する息詰まるシーンです。
お父さんの新田技師役が森山周一郎さんなのは有名ですが、お母さん役は『ウルトラマン』第7話「バラージの青い石」に登場する「チャータム」役を演じられた弓恵子さんです。弓さんは『仮面ライダー』の「ゾル大佐」役でお馴染みの宮口二郎さんの奥さんです。
犯人グループの首領格が偶然チラス菌で死んでしまって事件が終結するのですが、SRIは事件の調査をしていただけで、解決にまでは関わりません。本来のSRIと事件の関わり方としてはこの路線で進める予定だったことが感じられます。
初期のフォーマットでは、そのエピソードにちなんだギャグシーンで幕を閉じるようになっていたようです。恐怖・狂気の連続の本編の〆として、このギャグは番組が終わって現実世界へ戻るための「リハビリ」のような効果があったように思われます。
今回の〆は、SRIの本部室内でチョウを逃がしてしまったドタバタでした。これは今ひとつヒネリが無いように思います。
第1の殺人の犠牲者はヨタ8、助さんが情報を集めに会いに行くテストドライバーの友人はトヨタ2000GTに乗っているなど、往年の名車が見られるのも嬉しいです。
この『怪奇大作戦』では、レギュラーの「SRI」のメンバーはお互いをニックネームで呼び合います。「SRI」の中心的人物の牧を三沢は「先輩」と呼び、三沢は牧に「スケさん(名前の京「助」から)」と呼ばれます。その後輩である野村は2人から「ノム」と呼ばれ、野村は牧を「牧さん」、三沢を「先輩」と呼びます。「先輩」という呼び名が三沢→牧、野村→三沢を表している点に、微妙な上下関係が読み取れて面白いです。
また、紅一点のさおりはそれぞれを「牧さん」「スケさん」「ノンちゃん」と呼び、呼び方一つで尊敬や親しみが感じられる点に驚きます。番組の登場人物が、番組が始まる前から人間関係を築いてきたことが感じられる、見事な設定です。
それでは本編のレビュー、いってみましょう!
●「人喰い蛾」昭和43年9月22日放映
制作第1話 放映第2話 脚本:金城哲夫 監督:円谷一
制作では第1話ですが、特撮シーンのリテイクが出て放映日に間に合わず、制作第2話の「壁抜け男」が放映第1話に繰り上げられたという、曰くつきのエピソードです。
制作第1話であるために、他のエピソードとは異なるフォーマットが見られます。番組タイトルは1行表記で、サブタイトルではOPテーマが流れないものとなっています。
ストーリーは、自動車業界の新車開発に絡む関係者の殺人という、それまでの円谷作品に慣れ親しんできた者にとってはちょっと馴染みの薄い展開です。リアルな大人の世界を垣間見たような感覚を覚えました。「もしかしたら、大人の世界ではこういうことが本当に起こっているのかもしれない。」と感じさせられたからこそ、より一層この『怪奇大作戦』というシリーズに恐怖を感じるのでしょう。
場面はゴーゴー喫茶。開巻一発目、激しいエレクトリック・ギターの音に驚きます。ディストーションのかかった音ではありませんが、昭和40年代の子どもの耳には充分に刺激的です。ゴーゴー喫茶の暗い店内と激しい照明が、子どもの頃の私にはこの世のものとは思えませんでした。しかし、そういう世界が現実にあるのだろうと思いましたし、そう思ったことによって、その後に起こる「細菌を使った殺人事件」の現実味も増していきました。子どもに「不条理な大人の世界のリアル感」を刷り込むという意味では、冒頭にゴーゴー喫茶を見せることは効果的だったでしょう。
そして、第1の殺人。顔や手が泡に包まれ、白骨化していく過程の描写はショッキングで見事です。ただでさえ「骸骨」は怖いものなのに、ご丁寧に、ところどころに肉片を思わせる赤いものが付着しています。英二氏の指示でこのシーンはリテイクだったそうですが、TVでこれだけの映像表現ができる当時の技術の高さに驚嘆します。(しかも日曜日夜7時に放映されたとは!)
車内での第2の殺人シーンも、メガネや鳴り続けるクラクションなどの小道具やSEが効果的で、子どもには正視するに絶えられないものです。そして、この後のエピソードではここまでグロテスクな描写は見られなくなりました。
スケさんのほとんど直感の強引な推理でストーリーが進みます。牧の裏付けでスケさんの推理が正しかったことが証明されるなど、初期話数では牧とスケさんの対立と協力がしばしば見られます。
赤ちゃんの傍にとまっている蛾。次の被害者の可能性があるとして偶然に牧が訪れ、赤ちゃんを救出する息詰まるシーンです。
お父さんの新田技師役が森山周一郎さんなのは有名ですが、お母さん役は『ウルトラマン』第7話「バラージの青い石」に登場する「チャータム」役を演じられた弓恵子さんです。弓さんは『仮面ライダー』の「ゾル大佐」役でお馴染みの宮口二郎さんの奥さんです。
犯人グループの首領格が偶然チラス菌で死んでしまって事件が終結するのですが、SRIは事件の調査をしていただけで、解決にまでは関わりません。本来のSRIと事件の関わり方としてはこの路線で進める予定だったことが感じられます。
初期のフォーマットでは、そのエピソードにちなんだギャグシーンで幕を閉じるようになっていたようです。恐怖・狂気の連続の本編の〆として、このギャグは番組が終わって現実世界へ戻るための「リハビリ」のような効果があったように思われます。
今回の〆は、SRIの本部室内でチョウを逃がしてしまったドタバタでした。これは今ひとつヒネリが無いように思います。
第1の殺人の犠牲者はヨタ8、助さんが情報を集めに会いに行くテストドライバーの友人はトヨタ2000GTに乗っているなど、往年の名車が見られるのも嬉しいです。
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