●「オイルSOS」昭和41年10月9日放映 油獣ペスター登場
制作第13話 放映第13話 脚本:金城哲夫 監督:円谷一
ゲスト出演者では、のちに『ウルトラセブン』で「マナベ参謀」役として準レギュラーとなる宮川洋一さんが、刑事役で出演されています。また、ペスターの目撃者の酔っ払い役は、怪優・梅津栄さんです。
開巻していきなりの油田火災! 「バラージの青い石」同様、爆発と石坂浩二さんのナレーションで始まるエピソードは緊迫感があります。科特隊中近東支部の存在が語られ、「科学特捜隊」がグローバルな活動をしていることが感じられます。そして科特隊中近東支部の活躍によっても、この油田火災やタンカーの爆発事故の原因が解明できなかったとは、ミステリアスな雰囲気も漂っています。
このエピソードは事件としては
中近東での原因不明の油田火事→ 東京湾での謎のタンカー事故→ ペスターの出現→ イデのミスによる湾内での攻撃→ 製油所へのペスターの侵攻→ 製油所の大火災の発生→ 責任を感じて単独で消火しようとするイデを救うために変身するハヤタ→ ウルトラマンによる消火活動
というものです。そのため、30分の番組内容にしては冗長な感が否めません。
そこで、怪獣出現とタンクローリー爆発事故の調査、ペスターを東京湾外へ誘導する作戦行動と、ビートルの飛行シーンが繰り返し使われています。全エピソードの中でも、最もビートルの飛行シーンが多く見られるでしょう。
その中で特に素晴らしいシーンは、空陸両面での謎の怪物の捜索シーンです。ムラマツキャップが上空を仰ぎ見ると、画面手前から奥へと、ビートルが飛び去っていきます。実景との合成により、リアルな仕上がりです。このエピソードではクレジットにはありませんが、本編と特撮の両方を円谷一監督が演出されているので、本編と特撮の映像の一体感が高いのでしょう。
また、科特隊の眼前でペスターに襲われたタンカーの上を周回するビートルの大きさがわかり、別アングルのカメラの映像を何度も使うことによって、こちらもリアルに感じられます。『ウルトラセブン』ではワイヤーの操演はクレーンで行っていたそうですが、『ウルトラマン』では手で行っていたそうです。しかし、このエピソードのビートルの操演は白眉です。
精油所に上陸したペスターは、火炎を吐いてあたり一面を火の海としてしまいますが、ビートルの攻撃で体内のオイルが誘爆し、ウルトラマンと戦う前に弱ってしまいます。戦闘シーンを描くには動きづらい着ぐるみでしょうから、この措置は賢明だと思います。
倒れてもまだ蠢いているペスターは、登場したウルトラマンの背中に火炎を吐きかけます。振り向きざまにスペシウム光線を見舞うウルトラマン。Aタイプマスクの雰囲気とともに、イデの救出を妨害されて何だか怒っているようです(^o^) Aタイプのウルトラマンの登場は、このエピソードが最後になります。
ものすごい炎に包まれる精油所のミニチュアセットは、本物の炎が燃え盛っています。こんなに迫力のある映像は、現在の消防法による厳しい規制の下ではつくることができませんネ。けたたましいサイレンの音とともに炎の映像が迫り、イデの焦燥が伝わってきます。
今回のジェットビートルは3発のロケット弾を発射しました。今後、徐々に発射の機会が増え、曳光弾による描写やフラッシュによる描写となっていきます。
ウルトラ水流による消火活動! 初めて見た時は、いつもと違う技に驚きました。そしてビニールプールでの水遊びでは、いつもホースを持って「ウルトラ水流ごっこ」をしたものです(^o^) この第13話でのウルトラ水流のポーズは、第23話「故郷は地球」の時のものとは異なります。
消火を終え、満足げに頷くウルトラマンが何だか微笑ましいです。炎の中を走り回るウルトラマンも、今見ると何だか人間くさく見えます。先日のサイン会でお会いした古谷敏さんの演技だと思うと、感慨深いものがあります‥‥。
●ペスター
「ドドンゴ」と同様に荒垣輝雄さんと清野幸弘さんの2人で演じることが前提でデザイン・造型された意欲作です。
名前は「ペトロ」(「石油」の意)+「スターフィッシュ」または「シー・スター」(「ヒトデ」の意)から。
あくまでも推測の私見ですが、「ヒトデ」をモチーフにしているのに黄色と水色、そして背面のこげ茶色の体色なのは、円谷組同時制作パックの第12話「ミイラの叫び」に登場する「ミイラ人間」と「ドドンゴ」と合わせ、都合5人分の体積の着ぐるみを制作するために、同じ塗料がこれらの3体の怪獣に使われたからではないでしょうか。
特殊能力としては口から火炎を吐きます(ハヤタは「怪光線」と呼んでいますが^^;)。火炎を吐く怪獣は『ウルトラマン』には初登場です。怪獣といえば「火炎を吐く」というイメージがあるのは、ガメラの所為でしょうか。そして、この「火炎」はガメラとは異なり、『ウルトラマン』に登場する怪獣では光学合成で描かれています。しかしそれにしても、オイルを食料としているのに、油田やタンカー、タンクローリー、精油所をことごとく炎上させていては、肝心のオイルが燃えてしまうように思うのですが‥‥。
制作第13話 放映第13話 脚本:金城哲夫 監督:円谷一
ゲスト出演者では、のちに『ウルトラセブン』で「マナベ参謀」役として準レギュラーとなる宮川洋一さんが、刑事役で出演されています。また、ペスターの目撃者の酔っ払い役は、怪優・梅津栄さんです。
開巻していきなりの油田火災! 「バラージの青い石」同様、爆発と石坂浩二さんのナレーションで始まるエピソードは緊迫感があります。科特隊中近東支部の存在が語られ、「科学特捜隊」がグローバルな活動をしていることが感じられます。そして科特隊中近東支部の活躍によっても、この油田火災やタンカーの爆発事故の原因が解明できなかったとは、ミステリアスな雰囲気も漂っています。
このエピソードは事件としては
中近東での原因不明の油田火事→ 東京湾での謎のタンカー事故→ ペスターの出現→ イデのミスによる湾内での攻撃→ 製油所へのペスターの侵攻→ 製油所の大火災の発生→ 責任を感じて単独で消火しようとするイデを救うために変身するハヤタ→ ウルトラマンによる消火活動
というものです。そのため、30分の番組内容にしては冗長な感が否めません。
そこで、怪獣出現とタンクローリー爆発事故の調査、ペスターを東京湾外へ誘導する作戦行動と、ビートルの飛行シーンが繰り返し使われています。全エピソードの中でも、最もビートルの飛行シーンが多く見られるでしょう。
その中で特に素晴らしいシーンは、空陸両面での謎の怪物の捜索シーンです。ムラマツキャップが上空を仰ぎ見ると、画面手前から奥へと、ビートルが飛び去っていきます。実景との合成により、リアルな仕上がりです。このエピソードではクレジットにはありませんが、本編と特撮の両方を円谷一監督が演出されているので、本編と特撮の映像の一体感が高いのでしょう。
また、科特隊の眼前でペスターに襲われたタンカーの上を周回するビートルの大きさがわかり、別アングルのカメラの映像を何度も使うことによって、こちらもリアルに感じられます。『ウルトラセブン』ではワイヤーの操演はクレーンで行っていたそうですが、『ウルトラマン』では手で行っていたそうです。しかし、このエピソードのビートルの操演は白眉です。
精油所に上陸したペスターは、火炎を吐いてあたり一面を火の海としてしまいますが、ビートルの攻撃で体内のオイルが誘爆し、ウルトラマンと戦う前に弱ってしまいます。戦闘シーンを描くには動きづらい着ぐるみでしょうから、この措置は賢明だと思います。
倒れてもまだ蠢いているペスターは、登場したウルトラマンの背中に火炎を吐きかけます。振り向きざまにスペシウム光線を見舞うウルトラマン。Aタイプマスクの雰囲気とともに、イデの救出を妨害されて何だか怒っているようです(^o^) Aタイプのウルトラマンの登場は、このエピソードが最後になります。
ものすごい炎に包まれる精油所のミニチュアセットは、本物の炎が燃え盛っています。こんなに迫力のある映像は、現在の消防法による厳しい規制の下ではつくることができませんネ。けたたましいサイレンの音とともに炎の映像が迫り、イデの焦燥が伝わってきます。
今回のジェットビートルは3発のロケット弾を発射しました。今後、徐々に発射の機会が増え、曳光弾による描写やフラッシュによる描写となっていきます。
ウルトラ水流による消火活動! 初めて見た時は、いつもと違う技に驚きました。そしてビニールプールでの水遊びでは、いつもホースを持って「ウルトラ水流ごっこ」をしたものです(^o^) この第13話でのウルトラ水流のポーズは、第23話「故郷は地球」の時のものとは異なります。
消火を終え、満足げに頷くウルトラマンが何だか微笑ましいです。炎の中を走り回るウルトラマンも、今見ると何だか人間くさく見えます。先日のサイン会でお会いした古谷敏さんの演技だと思うと、感慨深いものがあります‥‥。
●ペスター
「ドドンゴ」と同様に荒垣輝雄さんと清野幸弘さんの2人で演じることが前提でデザイン・造型された意欲作です。
名前は「ペトロ」(「石油」の意)+「スターフィッシュ」または「シー・スター」(「ヒトデ」の意)から。
あくまでも推測の私見ですが、「ヒトデ」をモチーフにしているのに黄色と水色、そして背面のこげ茶色の体色なのは、円谷組同時制作パックの第12話「ミイラの叫び」に登場する「ミイラ人間」と「ドドンゴ」と合わせ、都合5人分の体積の着ぐるみを制作するために、同じ塗料がこれらの3体の怪獣に使われたからではないでしょうか。
特殊能力としては口から火炎を吐きます(ハヤタは「怪光線」と呼んでいますが^^;)。火炎を吐く怪獣は『ウルトラマン』には初登場です。怪獣といえば「火炎を吐く」というイメージがあるのは、ガメラの所為でしょうか。そして、この「火炎」はガメラとは異なり、『ウルトラマン』に登場する怪獣では光学合成で描かれています。しかしそれにしても、オイルを食料としているのに、油田やタンカー、タンクローリー、精油所をことごとく炎上させていては、肝心のオイルが燃えてしまうように思うのですが‥‥。
「Oil S・O・S」のシナリオが完成した後、後は撮影を待つばかりという秒読み段階に入った物の、ロケ先でもある製油所から「怪獣が製油所を襲うなら撮影不可能」というクレームがあったため、制作中止となる。
その後、この「Oil S・O・S」はウルトラマンに転用される事になり、上原正三が書いたシナリオを上原さんの親友でもある金城哲夫が改稿した形でようやく「Oil S・O・S」は実現しました。
製油所を取材していた江戸川由利子はその写真の中にエイのような生物を発見する。
石坂浩二によるOPナレーションでこの物語は始まる。
製油所の取材を案内していた中井所員はその日から消息不明となる。
それはオイルをエネルギーにして巨大化するオイル怪獣クラプトンの仕業だった。街に出没したクラプトンはタンクローリーやオイルタンク、ガソリンスタンドを次々と襲い、オイルを撒き散らし大火災を起こす。
主人公でもある万城目淳は製油所から海に流れ込んだ殺菌処理した廃液に耐性を持ったプランクトンが異常生長しているのではないかと推測。
やがて70mの大きさになったクラプトンが製油所に出現、万城目たちはタンクローリーでクラプトンを誘き出し、オイルタンクに着いた万城目たちはタンクローリーから脱出、クラプトンはオイルタンクに衝突しタンクローリーの誘爆もあってクラプトンは爆死。
石坂浩二によるEDナレーションでこの物語は幕を下ろす。