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横浜地球物理学研究所

地震予知・地震予測の検証など

村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(2)

2015年01月05日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
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本サイトでは、たびたび村井俊治氏の地震予測を批判しています。ですが、一部の週刊誌が彼を取り上げることを一向にやめないようなので、繰り返し批判します。

村井俊治氏は、電子基準点の「日々の座標値」をみて、「地殻が異常に動いている!」と騒ぎ、地震予測の根拠としています。ですが、彼の言説はデタラメです。村井氏は単に、電子基準点の座標値のノイズ変動をみて、地殻が動いていると勘違いしているだけです。

今回は、国土地理院から入手できる実際の電子基準点データを見ながら、以下に説明します。

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まず、彼が週刊ポスト2014年9月19・26日号に発表した図を見てください(前回1/2の記事で示したものと同じものです)。



この図のなかで、右下の囲みの中に、「神奈川県・静岡県で、7~8月に電子基準点が異常に変動した」旨が記載され、地図をみると「厚木8.71cm」等の記載があります。

では、厚木の電子基準点の実際の変動を、国土地理院のサイトから作成したグラフでみてみましょう。上から、東西方向の変動、南北方向の変動、鉛直方向の変動を示します。日々の座標値をプロットしたものであり、1日ごとに1つの点が打たれています。







…いかがでしょうか?

村井俊治氏は、鉛直方向の座標値(いちばん下の「楕円体高」のグラフ)において、1週間の最高値と最低値の差を抽出しており、7~8月に異常変動「8.71cm」を記録した週があると言っているわけです。

このグラフをみると、たしかに8月10日の1点(1日)だけ、異常に低い値(約-6.5cm)が見られます(赤矢印で示しました)。この異常値によって、この週の最高値と最低値の差が「8.71cm」となったわけです。しかし、このデータをみて、あなたはこの低さにまで実際に厚木の地殻が沈降したと判断しますか??

このデータがノイズでない、実際の正確な値だと信じるのなら、厚木はこの1日だけ、突然に6.5センチも沈降したことになります。しかも、次の日には突然、もとに戻っています。地震動も起こさずに。こんなことは、荒唐無稽にもほどがあります

さらに、隣接する電子基準点である平塚のデータをみてください(下図)。



ご覧の通り、厚木が-6.5cmの異常値を示した日、すぐ隣の平塚は1センチも沈降していません。この日、平塚が動かずに厚木だけが本当に6.5センチも沈降したのなら、平塚と厚木の間のどこかで断層が顔を出し、道路が割れ、建物が倒壊しかねないと思います。

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以上から明らかであるとおり、厚木のこの1日だけの異常値(-6.5cm)は、明らかに単なるノイズです。単にこの異常なノイズによって、この週の最高値と最低値の差が8.71cmに達したというだけなのです。厚木が8.71センチも隆起したり沈降したりしたわけでは、決してありません。

ちなみに、厚木でこの異常値を記録した8月10日は、台風11号の影響で神奈川県に大雨が降った日です。下表のとおり、厚木のすぐそばの海老名では、1時間に28ミリの豪雨を観測しています。おそらく、この豪雨が原因で、厚木の電子基準点に何らかのノイズが出てしまったのでしょう。




にもかかわらず、村井俊治氏は、このような異常値をノイズと判断できず、正確な地殻変動を表していると盲信し、「厚木が異常に沈降した!」と言っているのです。これはかなりの重症であると言わざるを得ません。

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念のため申し添えておきますが、この日以外にも厚木の楕円体高値は常に±2センチほどの範囲で変動していますが、これも誤差変動にすぎません。厚木の地殻が日頃から2センチ隆起したり沈降したりを繰り返しているわけではなく、実際には0センチ付近の、データばらつきの中央付近でほぼ一定の値なのです。平時の地殻変動は緩やかなのです。

※特に夏期にデータがばらついているように見えますが、夏は水蒸気量や周辺植生の影響でデータがばらつくのだと、国土地理院のサイトに明確に書いてあります(こちら)。つまり、こういった変動がノイズであることは、国土地理院もはっきり言っているのです。

なお、スペースの都合で今回は省きますが、村井氏が「異常変動している」とする他の基準点のデータをみても、全く同様であることが分かります。国土地理院のサイト(http://mekira.gsi.go.jp/project/f3/ja/index.html)で、電子基準点の座標変化グラフを誰でも作成することができますので、興味のある方はチャレンジしてみてください。

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こうしたデータをみて、異常値をノイズと判断することすらできない村井俊治氏の科学的素養は、絶望的なものがあります。GPSに代表されるGNSSのデータにノイズが出てしまうことを知らないという知識の無さもさることながら、この変動データをみて「8.71cm」などと有効数字を小数点以下第2位までとってしまうセンスにも、溜息を禁じえません。

このようなデタラメな電子基準点データの解析に基づく地震予測には、信頼するに足る根拠は皆無ですので、村井俊治氏の地震予知研究を信じてはいけないと思います。

また、村井俊治氏やJESEAの関係者の皆さまには、ただちにご自身の研究内容を見直して出直していただくか、「ノイズではなく実際の地殻変動をみているのだ」という根拠を明確に示して欲しいと、強く要望します。

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村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(1)

2015年01月02日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)

一部の週刊誌をはじめとするメディアが、東大名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)の地震予測を絶賛して紹介し続けているようです。

村井俊治氏は電子基準点の観測データをもとに地殻変動を監視し、有料メルマガ『週刊 MEGA地震予測』などで地震予測を行っています。ですが、その内容をみてみますと、村井氏の地震予測には非常に怪しい点が見受けられます。怪しいというより、ほとんどデタラメとしか言いようがありません。以下にご説明します。


■ 観測データがあり得ない値を示している

村井俊治氏は、JESEAのウェブサイトや週刊誌上で、電子基準点が示す週間地殻変動が4センチを超えると地震の前触れだと主張しています。そして、日本の各地で、それを超える地殻変動が観測されており(大きなところでは10センチ)、それが地震の前兆だと言うのです。


(週刊ポスト9月19・26日号より予測図を引用)

…ですが、1週間も経たないうちに地殻が数センチも動いているという時点で、デタラメのデータであると断じざるを得ません。

一般に、数センチ規模で断層が一度にズレると、おおむねM3~M4クラスの地震が起こるレベルです。また、ごく浅い震源での地震を除けば、地表での変動はもっと少なくなります。ですので、1週間に9センチだの10センチだのという地表の変動は、地殻変動というより、極めて大規模なスロー地震と呼べるほどの異常です。こんなものが日本各地で頻繁に起こっているとするなら、それこそ地震学を揺るがす大発見です。

そもそも、1週間のうちに10センチもの局所的な地殻変動があれば、地割れや建築物の倒壊が起こりかねません。そこまでの被害はなくとも、地震動も起こさずに1週間に数センチもの変動が日本各地で頻繁に起こっているというのは、ちょっと信じることができません。


■ 国土地理院のデータとも矛盾

ではここで、国土地理院で公表されている地殻変動をみてみましょう。




上の図は、最近1年間の地殻変動を示しています。左上にスケールがありますが、大きく動いた場所でも、1年間で5~6センチしか動いていないことが見てとれます。

また、国土地理院で観測を強化している特定地点の地殻変動をみてみましょう。






これら強化観測地域における観測結果においても、年間で5センチも動いていないことが分かります。

このように、一般的に言うと、水平・鉛直いずれの方向にも、地殻変動は年間5センチ程度かそれ未満しか観測されないのです。にもかかわらず、村井俊治氏は、たった1週間のうちに9センチだの10センチだのという大きな地殻変動を捉えて、地震の前兆だとしています。つまり、国土地理院などで発表されている誤差補正後の地殻変動データとも、やはり明らかに相容れないのです。


■ GPSの誤差を補正していない

なぜ村井俊治氏は、このようなあり得ない値を提示しているのでしょうか。

村井氏は自身のツイッターなどで、電子基準点の「日々データ」を見ていることを自ら明言しています。実は、国土地理院で出している「日々の座標値」は、気象条件などの各種影響を完全に取り去ったものとは程遠く、近隣点との比較や基線ベクトルをみた修正(単独のデータをみるより格段に精度が高くなる)を行う前のデータなのです。各基準点のデータを単独でとると、いわば誤差まみれのデータとなるはずです。

GPSに代表される全地球測位システム(GNSS)というのは、幾ら受信機や衛星の機械を精度よく作っても、(単独では)誤差を免れません。電波が通過する電離層の状態や、成層圏内での水蒸気量や温度などによって、散乱やマルチパスが生じて、誤差がどうしても出てしまうのです。たとえ気象条件を加味して誤差を補正しても、短期間では数センチの誤差は残ってしまうのです。

このように考えますと、1週間単位で数センチ規模の地殻変動を、日本のあちこちで、年間に何度も何度も観測しているとする村井氏らのデータは、単にGPS(GNSS)の誤差を適切な補正なく示しているものと考えるのが自然です。すなわち、実際には地殻は動いていないのに、GPSデータのノイズによる変動をみて「地殻が動いている」と勘違いして、地震の予兆だと騒いでいるだけなのです。


■ 過去の観測データとも矛盾

なお、これまでに発生した大きな地震の前にも、地殻変動はほとんど観測されていません。たとえば、あの兵庫県南部地震(1995年)の前でさえ、震源に最も近かった箕面市をはじめとする近隣の全ての観測点で、1センチを超える地殻変動は一切見られなかったのです(岩波出版「阪神・淡路大震災と地震の予測」10頁等)。GNSSはおろか、震央の近くに高精度な傾斜計や伸縮計がある場合であっても、地震前に有意な前兆的異常はほとんどみられていないのです(宇津徳治「地震学第3版」322頁等)。

このように、大きな地震の前であっても、数センチ規模の地殻変動は一切観測されない場合がほとんどであるということは、地震学界では半ば常識です。測量学がご専門の村井氏は、この事実を全く知らないのでしょう。

あらためて指摘するまでもないことですが、「地震の前には地殻が動いているのではないか?」といった程度のことは、地震学者たちは当然にすでに検討済みなのです。GNSSの精度や観測点密度が上がってきて、実際にデータを見てみた結果、思いのほか地震の前にも地殻変動がほとんど先行しないことが明らかになってきているのです。

なのに、いまさら「地震の前には地殻が動いている」などと、ノイズまみれのデータを適切な補正もせずに提示して騒いでいる村井俊治氏の見識は、正直言って噴飯ものです。


■ 他にも不備などが一杯

村井俊治氏の地震予測が実際に当たっていない点については、下記を参照ください。

村井俊治氏は、9月16日の茨城県南部の地震を、実は予測できていません
村井俊治氏の地震予測について

また、村井氏の地震予測方法についての特許明細書の不備については、下記を参照ください。

地震科学探査機構(JESEA)による地震予測サービスについて

…以上のとおり、デタラメなデータを持ち出して、全然当たっていない地震予測を開陳しているだけの村井俊治氏を、信用するべき要因は全くないということです。


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御嶽山噴火についての発言にみる、村井俊治氏の科学的素養の欠如

2014年10月03日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
電子基準点(GPS観測点)の測位データから有料地震予測サービスを展開している、東大名誉教授の村井俊治氏が、また「御嶽山噴火の前兆を捕えていた」という主張をしています。


同氏のツィッターより:









…もう、ここまで来ると、科学者として少々異常に狂信的すぎると言わざるを得ません。少なくとも、客観的にみて賛同できるような考えでは、到底ありません。

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まず、今回の噴火前の御嶽山においては、マグマ貫入等に伴う山体膨張は、気象庁などの観測では確認されていないのです。

山体膨張の観測は、GPSも併用するのですが、GPSよりも桁違いに精度が高い「歪み計」や「傾斜計」を組み合わせて、御嶽火山当地において行われているものです(※)。これらのデータに異常がなかったのに、御嶽火山から離れた各地における(誤差が非常に大きい)GPSデータの変動が噴火の前兆だったと、村井俊治氏は結論しているのです。科学者として、論理的な思考ができておらず、判断が軽率すぎます。

(※ただし、傾斜計などの計測機器の絶対数が、御嶽山については少ないことも事実です)

仮に、GPS異常がノイズでないと仮定したとしても、たとえば高山観測点と御嶽火山は、約35kmも離れているのです。御嶽火山から35kmというと、隣の火山体である乗鞍火山を悠に越えて、さらに隣の火山である焼岳火山までの距離にまでなってしまいます。富士山でたとえても、隣の火山体である箱根を越えますし、西南方向では静岡市のあたりになります。富士山で微細な山体膨張が確認されなかったのに、静岡市でGPS異常があったからといって、「富士山の噴火の予兆だ」などと言ったら、失笑の対象でしょう。

それに、御嶽火山においてさえ見られなかった火山活動に関連する隆起や沈降が、高山や下呂で見られたというなら、これらの地点で噴火が起こる可能性を疑うのが普通です。村井俊治氏に、もし科学者としてご自身のデータに自信があるのなら、いますぐにでも高山市街や下呂市街での噴火発生を警告してはいかがかと思います。

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そもそも、村井俊治氏は、2月に捉えたというこれら高山などの異常変動にもとづいて、「岐阜・山梨・長野に5月か6月に大きな地震が起こる」と言っていたはずです(NEWSポストセブンの記事:http://www.news-postseven.com/archives/20140510_255801.html

この地震予測は見事に外れたわけですが、予測期間から3ヶ月も経った後に御嶽山が噴火するとこれ幸い、2月の異常変動は、5~6月の地震の前兆ではなく、9月の噴火の前兆だった、と主張をコロっと変えているのです。

時期も大きくはずれ、地震か噴火かすらも予測できなかったのですから、有料サービス提供者として(また科学者として)自身の研究を修正するべく反省すべきでしょう。それなのに、「前兆を捕えていた」などと自己弁護や釈明にまわるなど、少々理解を越えています。

さらに言うと、電子観測点異常が、地震の前兆ではなく、御嶽山噴火の前兆だったということに、なぜ簡単に切り替わってしまうのか、理解できません。自身の理論を信ずるなら、噴火とは別に、依然として地震が起こる可能性があると考えるべきなのではないのでしょうか?

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もちろん、村井俊治氏が主張する異常変動というのは、単なるGPSデータのノイズであろうことも、本サイトではすでに説明していますこちら)。上に引用した9月30日のツィッターでも、村井俊治氏は、電子基準点の「日々データ」を見ていることを自ら明らかにしています。

少なくとも国土地理院で出している「日々の座標値」は、気象条件などの各種影響を完全に取り去ったものとは程遠く、近隣点との比較や基線ベクトルをみた修正(単独のデータをみるより格段に精度が高くなる)を行う前のデータです。各基準点のデータを単独でとると、いわば誤差まみれのデータとなるはずです。2月に「一斉に」異常変動を起こしたというのも、おそらく単に降雪や雪雲などの気象条件によるものでしょう。

こうした一連の計測値データをみて、値の変動が「ノイズであろう」と客観的に判断することすらできないようですので、有料サービスを提供する前に、科学の勉強をぜひやり直して欲しいと思います。

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以上のように、御嶽山噴火についての村井俊治氏の発言をみるだけでも、彼の理論や地震予測は信頼できないばかりか、科学者としての基本的素養も怪しいと言わざるを得ないことは、お分かり頂けるかと思います。

いずれにしても、平時でも地震や噴火が頻発する日本において、的中して当たり前の「予測の乱発」を行い、あとになって「当たっていた」と主張する(村井氏の場合は外れていても「当たっていた」と主張している)やり口は、タチの悪い占い師と変わりがありません。週刊誌やテレビのメディアも、報道に携わるものの矜持として、真偽を自ら客観的に検証することを放棄して不用意に研究者を持ち上げることは、もうやるべきではないかと思います。


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村井俊治氏は、9月16日の茨城県南部の地震を、実は予測できていません

2014年09月17日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)

最近、GPSデータに基づいて地震を予測する学者として、テレビや週刊誌に頻繁に露出している、東大名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)。彼は、9月16日に発生した茨城県南部を震源とするM5.6の地震についても、「予測していた」と主張しているようです。

たとえば、9月17日付の、彼自身のtwitterにおいて、

昨日昼過ぎに茨城県南部を震源とする震度5弱の地震がありました。(中略) 週刊ポストでは栃木県を含む北関東は要注意と言及しました

と主張しています。また、その週刊ポスト誌も、この地震について、

この地震の発生を事前に「的中」させていた人物がいる。(中略) 発売中の週刊ポスト(9月19・26日号)では、村井氏の監修のもとに全国版「異常変動マップ」を掲載しているが、北関東は「警戒ゾーン」となっている
(NEWSポストセブン http://www.news-postseven.com/archives/20140916_276951.html)

と記事を出し、さも村井俊治氏の予測が当たったかのように喧伝しています。

…ですが、よく調べてみますと、彼らの主張は誇張、ないしはウソです。実際には、村井俊治氏は、この茨城県南部の地震を、全く予測できていなかったようです。

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当該号の週刊ポスト9月19・26日号に掲載された、村井俊治氏の地震予測(「異常変動全国MAP」)の一部を、以下に引用します。





予測した4つのエリアのうち1つに、「飛騨・甲信越・北関東警戒ゾーン」という領域があります。長野県北部を中心とし、たしかに栃木県の西側にかすっています。ですが、よく見ますと、9月16日に地震が発生した茨城県は、全県が全くの領域外なのです。

つまり、実際に村井俊治氏が予測していたのは、あくまで主に信越地方を念頭に置いた領域であって、北関東の西側を含んではいるものの、茨城県を含む東関東とは全く別の領域です。これで、「北関東」と言ったから当たった、などと主張するのは、さすがに無理があります。太平洋側にこれだけ予測を出していて、予測エリア外に地震が起きたのですから、むしろ見事にハズレたと言うべきだと思います。

そもそも、これだけの広大なエリアに、かなり長い時間的な誤差(記事では半年間)を許容して予測を出しているのですから、もし仮に、このうちひとつで地震が起きたとしても、「下手な鉄砲」としか言いようがありません。

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これまで本サイトにおいては、村井俊治氏について、特許明細書の不備や、GPSデータの扱いにおける不審点を、指摘してきました。

ですが、何よりも、「南海トラフ巨大地震がくる」と大々的に主張しながら「南海トラフとは言ってない」と前言を翻したり、広大な予測円の外で起きた地震を「予測していた」と言い張ったり、こうした態度こそが、彼の信用を低くしていると思います。


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村井俊治氏の地震予測は、GPSの誤差を考慮しておらず、信用できません

2014年09月08日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
本サイトにおいても、たびたび批判(予測が当たっていない点、外れたのに的中だと言い張る点、予測方法の特許に不備がある点)してきた、東大名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)の地震予測。

彼らは有料メルマガ『週刊MEGA地震予測』などで地震予測を行っていますが、内容をみてみますと、彼らが予測の根拠としているデータそのものにも非常に怪しい点が見受けられます。怪しいというより、明らかにデタラメであると断じざるを得ません。以下にご説明します。

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村井俊治氏ら(JESEA)のサイトには、彼らが地震予測の根拠としている、地殻変動の観測結果のデータが紹介(こちら)されています。このページにおいて彼らは、地震発生前に、1週間単位で、数センチ規模の地殻変動を捉えたと主張しています。






…ですが、地震も起こさず1週間も経たないうちに地殻が数センチも動いているという時点で、かなり怪しいデータだと言わざるを得ません。

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たとえば、国土地理院で公表されている地殻変動をご覧ください。





上の図は、最近1年間の地殻変動を示しています。左上にスケールがありますが、大きく動いた場所でも、1年間で5~6センチしか動いていないことが見てとれます。

また、国土地理院で観測を強化している特定地点の地殻変動をみてみましょう。






これら強化観測地域における観測結果においても、年間で5センチも動いていないことが分かります。

このように、一般的に言うと、xyzいずれの方向にも、地殻変動は年間5センチ程度かそれ未満しか観測されないのです。

にもかかわらず、村井俊治氏らのサイトでは、たった1週間のうちに4センチだの8センチだのという大きな地殻変動を捉えて、地震の前兆だとしています。つまり、国土地理院などで発表されている誤差補正後の地殻変動データと、明らかに相容れないのです。これは、非常に大きな疑問符がつきます。

ちなみに、一概には言えないのですが、一般に数センチ規模で断層が一度にズレると、おおむねM3~M4クラスの地震が起こるレベルです。また、ごく浅い震源での地震を除けば、地表での変動はもっと少なくなります。ですので、1週間に4センチだの8センチだのという地表の変動は、地殻変動というより、「スロー地震」(それも大規模の)と呼べるほどの異常です。こんなものが日本各地で頻繁に起こっているとするなら、それこそ地震学を揺るがす大発見だと思います。

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GPSに代表される全地球測位システム(GNSS)というのは、幾ら受信機や衛星の機械を精度よく作っても、(単独では)誤差を免れません。電波が通過する電離層の状態や、成層圏内での水蒸気量や温度などによって、散乱やマルチパスが生じて、誤差がどうしても出てしまうのです。たとえ気象条件を加味して誤差を補正しても、短期間では数センチの誤差は残ってしまいます。

このように考えますと、1週間単位で数センチ規模の地殻変動を、日本のあちこちで、年間に何度も何度も観測している村井氏らのデータは、単にGPS(GNSS)の誤差を適切な補正なく示したもの、つまりただのノイズだと考えるのが自然です。

(※2014年11月後記)
村井俊治氏は自身のツイッターなどで、国土地理院で公開されている電子基準点の「日々の座標値」を、ノイズ等を取り去ることなく、そのまま使っていることを自ら明言しています。国土地理院のサイトで、「日々の座標値」には様々なノイズが含まれており、そのままでは使用できないという注意書きがなされているにもかかわらず、です。「日々の座標値」は、気象条件などの各種影響を完全に取り去ったものとは程遠く、近隣点との比較や基線ベクトルをみた修正(単独のデータをみるより格段に精度が高くなる)を行う前のデータであり、いわばノイズまみれのデータなのです。2月に「一斉に」異常変動を起こしたと言っていますが、おそらく単に降雪や雪雲などの気象条件によるものでしょう。こうした一連の計測値データをみて、値の変動が「ノイズであろう」と客観的に判断することすらできず、本当に地殻が8センチも動いていると信じきっているようですので、有料サービスを提供する前に、科学の勉強をぜひやり直して欲しいと思います。

以上のとおり、村井俊治氏らは、電子基準点データの誤差変動、つまり単なるノイズをみて、「地震が起こる」と騒いでいるだけのようです。すなわち、実際には地殻は動いていないのに、GPSデータのノイズによる変動をみて「地殻が動いている」と勘違いして、地震の予兆だと主張しているのです。その意味では、串田嘉男氏の予測に非常に似たものを感じます。

いずれにしましても、有料でサービスを提供している以上は、彼らの方法がどれだけ信頼に足るものなのか、つまり具体的にどのような方法でGPSの誤差をセンチオーダー以下に補正しているのかを、彼らは明らかに示す必要があると思います。

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※なお、村井俊治氏の地震予測のデタラメさや、実際に予測がまったく当たっていない(のに村井氏自身や週刊誌が的中させたと言い張っている)点については、このエントリの後にも繰り返し指摘しています。ぜひ併せてご参照ください。

村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(3)
村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(2)
村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(1)
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