日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

大阪万博は予定調和の「邯鄲(かんたん)の夢洲」で

2022年06月24日 07時27分45秒 | 政治
 捕らぬ狸の皮の値段の決め手を欠いて、日頃の元気の良さのわりにはどうやら自信がぐらつきが始めたのであろうか?。鳴り物入りで招へいした二度目の大阪万博だが、その入場料金の決定がどうやら流動し始めているという。以下、その報道;――「2025年に開かれる大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は、入場券(普通券)の価格を大人6千円とする案を固めた。入場券の収入で運営費を賄うため、入場者数が伸び悩んでも十分な費用が確保できるよう、当初想定していた4800円から2割ほど引き上げる。今後、有識者の意見を聞いたうえで年内に国の了承を得て決めるため、金額は変わる可能性もある」(2022/06/19朝日新聞)。
 1970年の大阪万博、総入場者数6421万8770人という驚異的記録が残っている。この時の事前の目標入場者数は3千万人だったというからいかに想定外に好評であったかがよく分かる。この時、主催団体は途中でこの値を5千万人に上方修正したそうだが、それすらもあっさり超えてしまったというのだからその熱気のすごさは如何ばかりであったのか!
 夢よもう一度、そんな成功体験が大阪市をして再度の万博誘致を決断させたのだろうが、その内心、今になってそろそろ自信を失い始めたか? 入場者数の見積もりを下げ始めたという話が聞かれるようになってきた。むべなるかな!である。
 筆者の予想は「柳の下にドジョウはいない!」である。1970年の柳の木は「アズナンバーワン」と言われていたニッポンだ。この本を書いたエズラ・ヴぉ―ゲルは、まさに現今のニッポンの国勢衰退を嘆く日本人の気分同様に、ベトナム疲れに劣化していくアメリカの現状に対面して、こんな「アメリカに誰がした?」という怒りと、物まねの上手な日本人というお決まりの侮蔑を内心に含みながらアメリカの政財界に向かって書いた警世の書がこの本であった。これにうれしくなった日本人の間でこの本は飛ぶように売れ、アメリカではなく日本でベストセラーになったというオマケがついたものだ。筆者もこの本をカリフォルニアのUCバークレーの売店で買って帰路の飛行機の中で眉に唾つけながら読んだものだ。
 そして歴史は巡る。いまニッポンがあの時代の「暗澹たるアメリカ」を体験している。文字通り陰と陽、あざなえる縄の如く1970年のニッポンは今どん底の貧困国家へと転落した。これは、政財界と官界を構成する人々の無能の結果であり、その無能者たちが企画し着手したのが二匹目のドジョウを探そうという大阪万博誘致企画だ。もとより成功はおぼつかない。
 この万博会場、そもそもゴミ捨て場、名付けて夢洲(ユメシマ)。1970年代の空虚な繁栄の一瞬の夢の跡、ここで二度目の万博を開くというのは実に因縁の行き届いた決定だ。これが終わった跡はIRという名の博打場になるという。すべてが予定調和の邯鄲(かんたん)の夢だ。