日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

拘禁刑一本化、その結果これからどうなる?

2022年06月21日 06時55分15秒 | 政治
母親:お前は、どうしてこうも泥だらけになって家に帰ってくるかねぇ?
三太:しかたないよぉ。俺らぁいま監獄ごっこしてるんだもの!
母親:監獄ごっこだからってこんなに泥だらけにならなくたってよかろうじゃないか!
三太:だってあたいは懲役刑で、お白州でお奉行さんから「重労働」って判決されたんだもの。
母親:お白州かなんか知らないけど、お隣りの新ちゃんなんかきれいな格好して毎日帰ってくるよ。
三太:新ちゃんはいいんだよ、お奉行さんから「禁固」って言われたから仕事しなくていいんだもの!
母親:それならお前もお奉行さんに頼んで「禁固刑」にしてもらいなよう!
 日本国の刑法で決められている刑罰は、今でも死刑にはじまり、懲役、禁固、拘留、罰金、科料、没収等々多岐にわたる。そこに流れる主意は懲らしめること、それによって「公的に報復する(虐める・懲りさせる)ことである。
この懲罰主義の刑法がようやく世界に通用する?「懲罰」から「立ち直り」へと、6月13日参院本会議で可決成立、日本史上大きな変更になった。その主意は、上記懲役と禁固を廃して「拘禁刑」一本にすること、そこでは「改善更生を図るため必要な作業を行わせ、または必要な指導を行う」に変えること、その主意は懲罰のための苦役としての労働ではなく出所後の社会への参加能力の確保であるという。大変結構なことだと大いに賛意を表したい。
この国の刑法犯は21世紀に入ってから激減してはきた。これは喜ばしいことなのだが、そのかわり刑法犯の「再犯率」がうなぎ上りに増加し、今では2人出所すると一人は必ず刑務所に帰ってくる。その原因は、出所した彼または彼女を働き手として採用するにはあまりに職業能力が無さ過ぎること、つまり出所後の彼や彼女が労働市場の商品になり得ていないためである。
近代における刑務所の役割は、職業人として社会的に通用しない犯罪者についてその原因が、知的能力の不足や職業能力の不足、社会人としてのモラルの欠如等々のどれであるか、一つなのか?複数なのか?それらを判別して個々の受刑者に特化した教育プログラムを作り、教育していく教育監としてのオペレーションの実施機関であることである。有史以来の日本の懲罰は文字通り懲らしめる事であったが、明治150年にしてようやくそこに気がついたのであろう。
そうであれば問題は今の法務省の出先機関として津々浦々にある刑務所がその職業教育機関としての機能や人材、設備や意欲を持ち得ているかどうか?、とりわけ現代社会が必要としている人材として職業能力付与を可能とする指導力・教育力があるのかどうか? 仏を作って魂を入れたことのないこの国の国家機関、法は変えたが自らの精神まで変えられるかどうか、例によって心もとないのだが・・・