安倍晋三首相が8日の衆院本会議で、巨額の委託費の計上が問題視されている「Go Toキャンペーン事業」の「Go To」を「強盗」と言い間違える場面があったとメディアが報道している。だが、これを間違いとも言えまい!?。筆者も、新聞見出しに「Go Toキャンペーン」とあるのを見たときとっさに「強盗きゃんぺーん?」と読んでいたから、安倍氏がそう読むこともさしてあきれるに値しないと思いたいのである。
それというのは、筆者の「強盗」読みは、その企画の政治的意図への「反発」ゆゑだが、安倍氏のそれは有るとすればだが「良心の呵責」のためではなかったか?と思いたいからだ。もとより、これは安倍氏の発案ではなく、氏に密接に近侍している経済産業省から官邸出向中のスタッフによる企画であろう。というのも、この事業の中身、いかにも民生をよく分かっていない者たちが机の上で考えたノーテンキな企画だからである。
その「Go To キャンペーン事業」とは、新型コロナウイルスの影響で経済的に大打撃を受けたホテル・旅館・運輸など旅行業、飲食業、各種イベント・エンターテインメントなどの事業の需要を喚起するための取り組みだという。予算としては、事業総額1兆6,794億円の巨費をこれに計上している。
しかし、よく考えてみれば、いなよく考えなくとも、秋から冬にかけて大流行の可能性の危機をはらんだ「コロナ・パンデミック」を前にしてこの夏観光地を出歩こうとか、イベント集会をやろう・行こうという呑気な人士がどれだけいるだろうか? わけても夏季観光と言えば北海道と決まっているがそこはコロナ汚染の要警戒地域としてすでにレッテルが張られてしまっている。北海道がだめなら、みちのく岩手とでも言えば、観光業者はいざ知らず地元県民感情はいかがなものであろう??。
それよりなにより、このパンデミック騒ぎの中でもっとも傷ついているのは失職したり収入が激減したり生の極言に生きている人々だ。通商政策ではなくて福祉・厚生・労働行政の出番であってそこにこそ分配を多くすることが第一等の優先事項ではないのか? 例によって安倍政権、行政の軽重の判断が根本的に間違っている! どうもパンデミック騒ぎにもっとも距離の遠い行政機関経産省が「小人閑居して」なお発案したのがこのやらずもがなの「強盗」、いな「GoTo」キャンペーンだったのではなかったか??
こんなことより経済産業省にとっては、ここまで弱体化した日本の工業・技術社会をはじめとする産業政策を持てる有能な頭脳を使って考えてもらいたい。世界ベスト100企業の中にトヨタ自動車一社しかランクされない程に負け続けたこの国の工業セクター弱体の責任は上げて経産行政にあるのだから。
このパンデミックが収束した後の世界の産業構造は激変しているはずだ。この間に世界のサプライチェーンの不具合がよくよく見えた。その引き直しもまた通産行政の喫緊の課題だろう。自分の頭のハエを追え!