「『布マスク』とかけまして『森友学園や桜を見る会』と解きます。その心は『口封じに使います』(2020/4/9沖縄タイムス)。「<アベノマスクの新しい使い方> 目を覆う―森・加計・桜・黒川さん) 」(静岡・栗ちゃん)(2020/05/30朝日新聞「かたえくぼ」)(静岡・栗ちゃん)。
口封じにも、見たくないものを見ないための目隠しにも使える多機マスク!? これを全国の全戸に「郵送する」とは聞いていたものの、「よもや」まともな政府がそんな馬鹿なことをするわけがない!と固く信じていたのだが、その「よもや」が実際に発生した。マスク2個、通称「アベノマスク」と呼ばれるそれが、昨日(2020/06/02)の朝、郵便受けにひっそりと入っていた。発表日の4月1日から60余日、もはやマスクは過剰生産で値崩れし、近くのスーパーでは使い捨てマスクが50枚1300円で売っていると聞く。
「お母さんと薬局に行った時に、高齢者がマスクを求めて薬局を回る姿を見て『かわいそう』と思ったことがきっかけで、『自分にも何かできることはないか』と思ったのがきっかけ。お年玉をためた貯金を下ろして布を買い、それでマスク約600枚を制作して県に寄付したという山梨県在住の中学一年生(山梨大学教育学部付属中学校:筆者注)滝本妃さんの手作りマスク」のニュース(2020/03/18FNNPrime)が流れると、全国各地で手作りマスクをつくる活動が始まった。
これは、時あたかもパンデミックに国民が鬱屈している時に、一中学生の「善意」に日本中が感動し、刺激されたためで、この際、押入れを占拠している古着の整理もできるという「断捨離」精神をも刺激しての「レスポンス」でもあったのだろう。
これに「目を付けた」総理官邸の「小役人」たちが首相に進言したのが「一家に二枚の布マスク配布」という分かり易い構想になったのだそうだ。この、中学生の「善意」を模倣するという、分かり易さが世界中に流布されて大いに笑いものになったのは、構想を練った当事者たちにとってはもちろん、1億3千万の国民にとっても実に遺憾なことであった。
話かわって、1951年5月3日、日本では施行されたばかりの憲法発布記念日を寿いでいたその日、アメリカワシントンでは上院軍事・外交委員会が開催されていて、そこに証人として立ったマッカーサー元将軍は次のように証言した。
「アングロサクソンが科学、芸術、神学、文化において45歳の年齢に達しているとすれば、ドイツ人は同じくらい成熟していました。しかし日本人は歴史は古いにもかかわらず、教えを受けるべき状況にありました。現代文明を基準とするならば、我ら(アングロサクソン)が45歳の年齢に達しているのと比較して日本人は12歳の少年のようなものです」と述べたという。
あれから70年を経た今朝、善意の中学一年生13歳のマスクづくりに刺激された内閣総理大臣安倍晋三が布マスク二つを全国民に466億円の巨費(この金額は二転三転して混沌状況に陥っているが)を投じて配布したという「愚挙」を、郵便受けの中に発見した時、日本人はようやくあれから「1歳」だけ歳を取ったのだと、マ元帥の顔を思い出しつつ、筆者はさみしい気持ちとともに気がついたのである。