日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

安っぽい人気取り政策をやっているご時世ではない!

2020年06月04日 07時33分17秒 | 政治
 「<ブルーインパルス飛ばしたら腹が膨らむのか?> 失業者・学生が安倍邸にデモ」というタイトルの記事がネットに貼り付けられていた。移動禁止の御触れさえ出ていなければ筆者もデモに参加させてもらいたくなった。
 5月29日の昼下がり、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」が東京上空を、なにやらお尻から排気ガスだか?水蒸気だか?知らないが、白い雲のようなものを吐き出しながら飛行している情景をテレビが盛んに放送していた。その説明では、新型コロナウイルスの対応に当たる医療従事者らに感謝と敬意を示すためだったという。また、これは河野防衛大臣の指示したものだという。かくのごとく、この政権は民の感覚と少しずつずれている。
 よく分からないのは、戦闘機が上空で白いシッポを引っ張りながら飛行することが医療従事者を励ますことになるというその因果関係である。騒音を発したであろうし、落下の危険も伴うし、第一戦闘機は闘うための命のやり取りをする武器であって、原理として命を守る医療活動とは世界観の極北に位置する存在である。アメリカでやっているからと言うらしいが如何にも「偽善的」で嫌味しか感じられない。百歩譲っても、「感謝」がなぜ東京都心の医療機関のみなのか?。
 冒頭の新聞記事は、そんな6機のジェット機が轟音を鳴らして上空を飛行している地下(じげ)では、コロナウィルスで収入を失ったアルバイト学生や休業中の飲食店従業員ら若い人たちが東京富ヶ谷の安倍晋三総理や渋谷区神山町の麻生副総理の私邸めざしてデモ行進を始めていたという。現実には、途中で警官隊に進行を阻止されたために目的地には到着できなかったようではあったが、「天と地と」、「抽象と具象と」、「富と貧と」、新型コロナウィルスが持ち込む格差が、思いもかけずにますます際立って対立してくるのが分かる状景だ。この春4月12日、安倍首相が、星野源の唄う『うちで踊ろう』とのコラボ動画をツイッターで配信して、大いに「面白うてやがて悲しく」(芭蕉)なったときの記憶がよみがえってきた。
 ところで、その後、かくジェット戦闘機飛行に励まされて大いに元気が出たという医療関係者からの話は、ネットからもオールドメディアからも聞こえてはこない。あんな危険を冒してまで大袈裟に激励されたにしてはコストパフォーマンスは「アベノマスク」と同様実によろしくなかったのは納税者の一人として大いに遺憾であった。
 いまこの国は空前絶後の困難を自らの正面に抱えている。これに加えて、秋から冬にかけてウィルス再流行が再起することとなれば、すでに十分傷んでいる「国富と民生」の両方に致命的な結果が現出することは自明である。その「恐慌」を前にして安っぽい人気取り政策をやっているご時世ではないことくらい、ボンボン育ちの3代目大臣たちに肝に銘じてもらいたいものである。