パパさんが電話をかけてから数分後、緊張して完全に固まっている私のもとについにあの人が来てくれました。
「こんにちは!」
と笑顔で真っ直ぐ歩み寄ってきてきてくれたスーツ姿の彼は、私達一人ひとりと挨拶&丁寧に握手をしてくれました。
私はこれまで何人かの騎手さんと握手をしたことがありましたが、私の手をそっと握ってくれたその手は今まで触れてきたどの手とも違い、命を懸けた厳しい仕事をしている人のものとは思えない程やわらかくあたたかで、ただの一ファンに過ぎない私達に対してこんなにも親切にしてくださった彼の優しさが直接伝わってくるようでした。
「………。」
「………。」
パリに来る前は漠然と「もしも会えたらこんなことを聞いてみたい、あんなことを聞いてみたい」と色々考えていたのですが、まさか、本当にこのような形でお会いできるなんて思いもよらず、いざご本人を目の前にすると頭の中が真っ白になって何も言えませんでした…。
お互い沈黙して見つめ合うこと数秒。
ようやく私の口をついて出てきた言葉は「お、お会いできて嬉しいです」だけ…。
日本語ではありましたが、意味を酌んでくれた彼からは「来てくれてありがとう!」とのお返事が。
その後、Fさんを介してNatagoraちゃんについて少しお聞きしたのですが、
「今までに走り過ぎていたから、今日はちょっと疲れていたみたいだね」
とのこと。やっぱりそうでしたか…3歳の女の子にしてはローテーションが厳しすぎると思っていましたから。
「日本に行くプランもあるんだよ」
えー!?MCS!?本当に来てくれたらとても嬉しいのですが…
でも、やっぱりそれはちょっとしんどいんじゃないかなと複雑な気分になりました。
「僕はまた11月に日本に行くから!」
はい、京都競馬場で待ってます!
この後、お土産を渡し、さらにたどたどしい英語で「一緒に写真撮らせてもらっていいですか?」とお願いすると「OK v」と気持ちよくお返事していただけました。
せっかくだから横断幕も、ということで一緒に幕を出している写真がこれ(撮影友人)。切ってしまったので私は写っていませんが…(左端の手は手伝ってくださったFさんのものです)
それから、まずは3人で幕を持って友人2人が撮ってくれていたのですが、途中からパパさんが「私が撮ってあげるよ」と代わってくださり5人で撮影。この時、通りがかったおじいさん(私が知らないだけでもしかしたらフランス競馬界の大物だったのかもしれません)がパパさんを傘でつつくマネをしたり頭の後ろから手を出したりして私達を笑わせてくれました。
さらに同じく通りがかりの金髪のお姉さんが「何?何?私も撮る~v」となぜか撮影側で参加する場面も。
終始和やかに撮影は進んでいたのですが、この間、数分間ず~っと私は彼に肩を抱かれっぱなしで、極度の緊張により顔が引きつり笑うどころではありませんでした…。
今でも30度を越す場所も少なくない日本とは違い、この日のロンシャンは20度を下回る寒さ。私も長袖にジャケットを着込んでいたのですが、握手した時と同じくしっかりと回された手はとても温かかったです。
パパさんが「私も!」とカメラつき携帯で撮ったのを最後に撮影会も無事済み、そろそろおいとましましょうか…という雰囲気になったところ、なんと私達女3人はパパさんから両頬にキス!の別れのご挨拶をいただきました。
少し恥ずかしかったのですが、パパさんの優しく陽気な笑顔につられて緊張し通しだった私も「Merci beaucoup、Au revoir !!(本当にありがとうございました、またお会いしましょう!)」と自然な笑顔を返すことができました。そして彼とは「Salut !(じゃあね、また!)」と笑顔で手を振り合い、お互いにその場を後にしました。
あまりに全てが非現実的すぎて、パリにいる間はずっと友人と「あれは全部本当にあったことだったのかな?」と言い合っていたのですが、たぶんこの「いま、逢いにいきます」シリーズを読んでくださった皆さんもそう感じておられるのではないかなと思います。でも、あの日の出来事は本当に全部ノンフィクションで、けっして、けっして夢なんかではありませんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/49/c5d1034b791594f7a6a7aa0857553a7b.jpg)
「競馬の神様」は本当にいるんだ!と実感せざるをえないあまりにあまりな展開の数々。
① まずは私が横断幕をロンシャンに持っていったこと。行く前は真剣に悩みましたから…
② 次にFさんとお会いしたこと。Fさんとお会いしていなかったら帰り道で迷子になっていたかもしれないし、横断幕出せるかも!と思うこともなかったですし、現地の皆さんと円滑にコミュニケーションをはかることも出来なかったはず。見ず知らずの私達に対して親切にしてくださり、本当にありがとうございました!②でいただいたシャンパンはこの日一日お世話になったお礼としてFさんにもらっていただきました。
③ そして奇跡の「Lemaire騎手による日仏交流150周年記念賞の優勝」。彼が勝たなければ横断幕を出すことはありませんでしたから、この後の出来事も何一つ起こりえなかったはず。また、レース名に運命のようなものを感じられずにはいられません。
④ しかし、上記の「奇跡」はどれも「Lemaire騎手の人柄」がまずあったからこそ起こったことでした。
何度も言っていますが、一ファンとしてこんなに大切にしてもらえて感無量です…。感謝の言葉もありません。
------------------------------------
去年の11月、最初に横断幕を京都競馬場のパドックに掲げた時は「気付いていただけたら嬉しいな」くらいにしか思っていませんでした。
こんなに喜んでもらえるなんて想像もしていませんでした。
こちらが勝手にしていることなのに、手紙や他にもたくさんのプレゼントなど、感謝の気持ちを形にして贈ってくださるなんて考えもしませんでした。
ロンシャンでは、奥様、お父様と共に私達に対してとても親切にしてくださり感謝の言葉もありません。
伝えたい思いは溢れるのにどれも言葉になりません。
ルメールさん、本当に、本当にありがとうございました。
あの日の出来事を私はこの先一生忘れないでしょう。
私の応援が少しでも貴方の力になったのなら、私にとってそれ程嬉しいことはありません。
![にほんブログ村 競馬ブログへ](http://horserace.blogmura.com/img/horserace80_15_lightblue_2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/8d/78f4d8ea72c223cee7cc8af918ce536b.gif)
上の写真は全て日仏交流150周年記念賞の時に友人が撮ってくれたものです。ありがとうv
【参考過去記事】
・すべてのはじまり
ロンシャンに行く前は「正門を見たら、ルメさんに会えたら感極まって泣くかも」なんて考えていたのですが、ずっと緊張し通しで涙の出る隙は全くありませんでした。
パリにいる間も初めての海外旅行ということもあり常に気持ちは張り詰めっぱなしだったのだと思います。驚いたこと、感動したこと、大笑いしたことは何度もありましたが、涙は不思議と出ませんでした。
9日の朝パリを発ち、18時間の長いフライトを終え翌日10日、無事関空に到着。その日は糸がぷっつり切れたように眠り、目が覚めたのは次の日の昼でした。
とりあえずパソコンを立ち上げ、留守中のニュースやブログなどをチェックすることに。すると、メールボックスに一度も見たことのないアドレスの一通のメールがきていました。
恐る恐る開くと、なんとそのメールはルメールさんから私へのもの!!!!
会えて本当に嬉しかった、自分も日本に帰るのが楽しみで、君が無事に日本に戻れたことを祈ってますなど等、色んなことが書かれていました。
メールを読み終わった時、自分の頬を伝っていた涙に始めて気付きました。
帰国して自分の家に戻り、ホっとしていたのもあると思いますが、ルメールさんのあまりの優しさに、気遣いに、密かに溜まっていたものが一気に溢れ出した感じでした。
あの日あの場所で起こったことは全部現実だったんだと改めて感じた瞬間でもありました。
横断幕の生んだ小さな奇跡は、いつの間にか私とルメールさんだけでなくまわりの人々をも巻き込んでたくさんの出会いや出来事をつくり、そしてそれはこれからも続いていくのかもしれません。
京都で、阪神で、そしてロンシャンで。
横断幕がきっかけで出会った全ての人々、そしてこの長いレポートを最後まで読んでくださった皆さんへの心からの感謝の気持ちを最後に、ロンシャン編を終えたいと思います。
Merci mille fois!!!
「こんにちは!」
と笑顔で真っ直ぐ歩み寄ってきてきてくれたスーツ姿の彼は、私達一人ひとりと挨拶&丁寧に握手をしてくれました。
私はこれまで何人かの騎手さんと握手をしたことがありましたが、私の手をそっと握ってくれたその手は今まで触れてきたどの手とも違い、命を懸けた厳しい仕事をしている人のものとは思えない程やわらかくあたたかで、ただの一ファンに過ぎない私達に対してこんなにも親切にしてくださった彼の優しさが直接伝わってくるようでした。
「………。」
「………。」
パリに来る前は漠然と「もしも会えたらこんなことを聞いてみたい、あんなことを聞いてみたい」と色々考えていたのですが、まさか、本当にこのような形でお会いできるなんて思いもよらず、いざご本人を目の前にすると頭の中が真っ白になって何も言えませんでした…。
お互い沈黙して見つめ合うこと数秒。
ようやく私の口をついて出てきた言葉は「お、お会いできて嬉しいです」だけ…。
日本語ではありましたが、意味を酌んでくれた彼からは「来てくれてありがとう!」とのお返事が。
その後、Fさんを介してNatagoraちゃんについて少しお聞きしたのですが、
「今までに走り過ぎていたから、今日はちょっと疲れていたみたいだね」
とのこと。やっぱりそうでしたか…3歳の女の子にしてはローテーションが厳しすぎると思っていましたから。
「日本に行くプランもあるんだよ」
えー!?MCS!?本当に来てくれたらとても嬉しいのですが…
でも、やっぱりそれはちょっとしんどいんじゃないかなと複雑な気分になりました。
「僕はまた11月に日本に行くから!」
はい、京都競馬場で待ってます!
この後、お土産を渡し、さらにたどたどしい英語で「一緒に写真撮らせてもらっていいですか?」とお願いすると「OK v」と気持ちよくお返事していただけました。
せっかくだから横断幕も、ということで一緒に幕を出している写真がこれ(撮影友人)。切ってしまったので私は写っていませんが…(左端の手は手伝ってくださったFさんのものです)
それから、まずは3人で幕を持って友人2人が撮ってくれていたのですが、途中からパパさんが「私が撮ってあげるよ」と代わってくださり5人で撮影。この時、通りがかったおじいさん(私が知らないだけでもしかしたらフランス競馬界の大物だったのかもしれません)がパパさんを傘でつつくマネをしたり頭の後ろから手を出したりして私達を笑わせてくれました。
さらに同じく通りがかりの金髪のお姉さんが「何?何?私も撮る~v」となぜか撮影側で参加する場面も。
終始和やかに撮影は進んでいたのですが、この間、数分間ず~っと私は彼に肩を抱かれっぱなしで、極度の緊張により顔が引きつり笑うどころではありませんでした…。
今でも30度を越す場所も少なくない日本とは違い、この日のロンシャンは20度を下回る寒さ。私も長袖にジャケットを着込んでいたのですが、握手した時と同じくしっかりと回された手はとても温かかったです。
パパさんが「私も!」とカメラつき携帯で撮ったのを最後に撮影会も無事済み、そろそろおいとましましょうか…という雰囲気になったところ、なんと私達女3人はパパさんから両頬にキス!の別れのご挨拶をいただきました。
少し恥ずかしかったのですが、パパさんの優しく陽気な笑顔につられて緊張し通しだった私も「Merci beaucoup、Au revoir !!(本当にありがとうございました、またお会いしましょう!)」と自然な笑顔を返すことができました。そして彼とは「Salut !(じゃあね、また!)」と笑顔で手を振り合い、お互いにその場を後にしました。
あまりに全てが非現実的すぎて、パリにいる間はずっと友人と「あれは全部本当にあったことだったのかな?」と言い合っていたのですが、たぶんこの「いま、逢いにいきます」シリーズを読んでくださった皆さんもそう感じておられるのではないかなと思います。でも、あの日の出来事は本当に全部ノンフィクションで、けっして、けっして夢なんかではありませんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/49/c5d1034b791594f7a6a7aa0857553a7b.jpg)
「競馬の神様」は本当にいるんだ!と実感せざるをえないあまりにあまりな展開の数々。
① まずは私が横断幕をロンシャンに持っていったこと。行く前は真剣に悩みましたから…
② 次にFさんとお会いしたこと。Fさんとお会いしていなかったら帰り道で迷子になっていたかもしれないし、横断幕出せるかも!と思うこともなかったですし、現地の皆さんと円滑にコミュニケーションをはかることも出来なかったはず。見ず知らずの私達に対して親切にしてくださり、本当にありがとうございました!②でいただいたシャンパンはこの日一日お世話になったお礼としてFさんにもらっていただきました。
③ そして奇跡の「Lemaire騎手による日仏交流150周年記念賞の優勝」。彼が勝たなければ横断幕を出すことはありませんでしたから、この後の出来事も何一つ起こりえなかったはず。また、レース名に運命のようなものを感じられずにはいられません。
④ しかし、上記の「奇跡」はどれも「Lemaire騎手の人柄」がまずあったからこそ起こったことでした。
何度も言っていますが、一ファンとしてこんなに大切にしてもらえて感無量です…。感謝の言葉もありません。
------------------------------------
去年の11月、最初に横断幕を京都競馬場のパドックに掲げた時は「気付いていただけたら嬉しいな」くらいにしか思っていませんでした。
こんなに喜んでもらえるなんて想像もしていませんでした。
こちらが勝手にしていることなのに、手紙や他にもたくさんのプレゼントなど、感謝の気持ちを形にして贈ってくださるなんて考えもしませんでした。
ロンシャンでは、奥様、お父様と共に私達に対してとても親切にしてくださり感謝の言葉もありません。
伝えたい思いは溢れるのにどれも言葉になりません。
ルメールさん、本当に、本当にありがとうございました。
あの日の出来事を私はこの先一生忘れないでしょう。
私の応援が少しでも貴方の力になったのなら、私にとってそれ程嬉しいことはありません。
![にほんブログ村 競馬ブログへ](http://horserace.blogmura.com/img/horserace80_15_lightblue_2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/8d/78f4d8ea72c223cee7cc8af918ce536b.gif)
上の写真は全て日仏交流150周年記念賞の時に友人が撮ってくれたものです。ありがとうv
【参考過去記事】
・すべてのはじまり
ロンシャンに行く前は「正門を見たら、ルメさんに会えたら感極まって泣くかも」なんて考えていたのですが、ずっと緊張し通しで涙の出る隙は全くありませんでした。
パリにいる間も初めての海外旅行ということもあり常に気持ちは張り詰めっぱなしだったのだと思います。驚いたこと、感動したこと、大笑いしたことは何度もありましたが、涙は不思議と出ませんでした。
9日の朝パリを発ち、18時間の長いフライトを終え翌日10日、無事関空に到着。その日は糸がぷっつり切れたように眠り、目が覚めたのは次の日の昼でした。
とりあえずパソコンを立ち上げ、留守中のニュースやブログなどをチェックすることに。すると、メールボックスに一度も見たことのないアドレスの一通のメールがきていました。
恐る恐る開くと、なんとそのメールはルメールさんから私へのもの!!!!
会えて本当に嬉しかった、自分も日本に帰るのが楽しみで、君が無事に日本に戻れたことを祈ってますなど等、色んなことが書かれていました。
メールを読み終わった時、自分の頬を伝っていた涙に始めて気付きました。
帰国して自分の家に戻り、ホっとしていたのもあると思いますが、ルメールさんのあまりの優しさに、気遣いに、密かに溜まっていたものが一気に溢れ出した感じでした。
あの日あの場所で起こったことは全部現実だったんだと改めて感じた瞬間でもありました。
横断幕の生んだ小さな奇跡は、いつの間にか私とルメールさんだけでなくまわりの人々をも巻き込んでたくさんの出会いや出来事をつくり、そしてそれはこれからも続いていくのかもしれません。
京都で、阪神で、そしてロンシャンで。
横断幕がきっかけで出会った全ての人々、そしてこの長いレポートを最後まで読んでくださった皆さんへの心からの感謝の気持ちを最後に、ロンシャン編を終えたいと思います。
Merci mille fois!!!