玄文講

日記

絶望的近況(笑)

2006-04-22 20:01:25 | 個人的記録
希望はない。
だが、それでも別にかまいやしない。それも人生である。

四月第一週目

付き合いのある会社が15億3千万円の負債を出して破産した。
幸いなことにそのうちの13億円は銀行の借金で、私たちはたった2億3千万円ぽっちの不良債権を仲良く分け合うだけで済んだ。

創業以来最大の赤字だと頭を抱えている業者の方もいるが、よくあることだ。
次から次へと知り合いが消えていく。「さよならだけが人生だ」状態である。
四割の業者が今後10年間で倒産すると言う人もいる。

四月第二週目

印刷業界は繁閑の差が激しい。
ヒマな時は一日中、机に座って仕事とは関係のない本を読むしかすることのない日々が続く。
そもそも私が本を大量に読み始めたのは印刷屋に入ってからのヒマつぶしの為だったりする。

一方で忙しい時は土日も出勤して、夕方に退社しても午後九時頃に呼び出されて午前二時くらいまで作業に追われるはめになる。
その週の私はそんな状態であった。

しかもそれらは全てサービス残業なのである。
現在の印刷業界は需要不足と技術力の横並びから激しい価格競争に陥っている。
そこでデータ入力や修正から商品の梱包まで細かい作業をサービスすることで料金を低く抑え仕事を取ることになる。
その低価格のツケは社員の奉仕でまかなわれる。ツブシがきかない身分では、会社に倒産されるよりは滅私奉公した方がまだましなのである。
これはうちだけではなく、よその印刷屋でもよく見かける光景である。

四月第三週目

喜ばしいことがあった。
某商店街の広告のチラシをうちで作成することになったのだ。

去年のチラシは大手が手がけたもので有名なイラストレイターの絵が使われていた。
私が専務に「今年は誰のイラストを使うのですか?」と訪ねたところ

「お前だ」

と言われた。

去年「有名イラストレイター」 → 今年「平社員(理学博士)」

という落差にクラクラする。
来年もそこから仕事をもらえるのか不安だ。というか、それ以前に今年を乗り切れるのだろうか。


私はリフレ派というものに属している。
だから先の量的金融緩和の解除には絶望している。
この景気回復状態がいつまでも続いてくれるとは思えない。
だから私は外部環境の改善には何も期待していない。
全日本規模での絶対的な需要不足は今後も続くであろう。

更に印刷技術力の横並びによる供給能力過剰。
印刷だけが広告の手段ではなくなった現在における、この業界独特の構造的な需要不足。
この2つが私たちに追い討ちをかける。
だから自分を救うには自力でどうにかするしかない。

しかし、絶望的な状況になればなるほど楽しくなってきてしまうのは何故だろうか。
私は今とても楽しい。

破産に絶望して死んでしまった人には気の毒だけれども、この絶望的な世界はとても楽しいのである。

(追伸「会員の方へ」)

会のほうで45万円ほどの損失が出た件ですけど、悪いけれどこちらは今そんな はした金にかまっていられないので、そちらでかたをつけといて下さい。
回収できた金は五月にでも私の口座に振り込んでおいて下さい。ちなみに五月に私はずっと中国にいるので連絡はつかないかもしれません。
子細は以前の契約通りに進めておいて下さい。では、では。