西伊豆(宇久須)だより

山・海そして里が広がる西伊豆町。都会の喧噪を離れて、一緒に豊かな自然、健やかな社会とは何か、探っていきませんか?

合宿1週間後の写真

2012-05-21 14:56:37 | 日記

 宇久須の藤原さんから合宿1週間後の写真が送られてきました。順調に育っているようです。

 GEN関東ブランチ圃場のヤーコン

 さつまいもの苗

 第一休耕田のヤーコン

 合宿2日目の第1休耕田の作業に静岡新聞が取材に来ていましたが、5月14日付けの朝刊に掲載されたそうです。地方紙はきめが細かいですね。

 きょう(2012年5月21日)付の朝日新聞4面に「鉄鋼スラグ 海の栄養」という見出しで、磯焼けを直すために鉄鋼スラグが効果があるような記事が掲載されています。3日目に鉄分を含む粘土と炭を混ぜ合わせて土ダンゴをつくったのも、これを海に沈めて鉄分を補給してやろうというもので、原理的には同じことです。藤原さんが某社にサンプル提供を申し入れたら「前例がない」と断られたそうですが、しっかり別なところではちゃんとやってるのに??と思ったりしました。(A)

鉄鋼スラグで海に栄養供給 コンブ復活、効果てきめん

 鉄をつくるときに出る副産物「鉄鋼スラグ」が、豊かな海を取り戻すために一役買っている。これまでは埋め立てやセメントの原料に使われてきた。ところが最近、人工的な魚礁の材料として生かされ、海藻が育たなくなる「磯焼け」をなおす効果などが注目されている。
■製鉄のおまけ、新しい活用策
 札幌市からバスを乗り継いで約4時間、日本海に面した北海道寿都(すっつ)町に着く。
 5月とはいえ、まだ風が肌寒い六条地区の海辺から、ゴム長をはいた町職員が歩いて海に入っていった。岸から3メートルほど離れた地点で、職員が腰をかがめ両腕を海につっこんだ。
 「ザバッ」と海面を割って出てきたのは、抱えきれないほどのコンブだ。
 「すごい、すごいぞ」。岸で見守っていた町産業振興課の瀧山修市課長が、声をあげた。
 人口約3300人の町には、明治時代にニシンを扱う豪商が建てた「鰊(にしん)御殿」が残る。ニシンがとれなくなった今でも、ウニやアワビ、ホッケ、ヒラメなどの漁業が町の主力産業だ。
 しかし、20年以上前から海藻類が育たなくなる「磯焼け」に悩まされてきた。原因の一つは、海中の鉄分濃度の減少とされ、樹木の伐採などで森が荒廃していることが影響していると指摘されている。北海道だけでなく全国の沿岸部で起きている現象で、計5千キロに及ぶ海岸線でみられる。
 六条地区は町で最も磯焼けが深刻な場所だったが、そこにコンブが戻りつつあるのだ。
 海藻類が生えると、それをエサにするウニが増える。魚の産卵や生育の場所にもなり、水産資源の復活につながる。
 「まだ始まったばかりで漁獲量には直接結びついていないが、これからが楽しみ」と、町漁業協同組合の木村親志専務理事は期待する。
 藻場の再生のきっかけになったのが鉄鋼スラグだ。
 新日本製鉄は、スラグに含まれる鉄分の効果に目をつけ、廃木材チップを発酵させた腐植土とスラグを混ぜた「鉄分供給ユニット」をつくった。約150キロの重さのユニットを詰めた袋39個を波打ち際に埋め、人工的に鉄分を海中に流し出せるようにした。その効果を確かめるため、2004年から北海道増毛町で実験を始めた。
 それを知った寿都町の片岡春雄町長は、06年に東京の新日鉄本社に出向き、「うちが再生できたら、全国どこでも通用する」と訴え、町でも実施するよう要請した。
 そのかいあって、07年から実験が始まった。3カ所の波打ち際に計約15トン分の「鉄分供給ユニット」を埋めた。潮の満ち引きでユニットが海水につかり、鉄分が海に流れ出る。
 町は昨年、独自でユニットをつくり、追加で海中に埋めた。今年度からは正式に藻場の再生をめざす事業を立ち上げ、磯焼け対策を本格化する。

■環境対策、多彩な用途
 新日鉄は寿都町と同じような実験を全国約20カ所でやっている。海の再生に効果があることを実感してもらい、鉄鋼スラグの買い手を増やすねらいだ。
 鉄鋼スラグの用途は時代とともに変わってきた。1960年代は主に製鉄所を拡張する埋め立ての資材だった。石油危機後は、セメントの材料や道路の舗装の際の材料などにも用途が広がった。スラグを原料とするコンクリートは強度に優れ、明石海峡大橋や東京湾アクアラインなどにも使われてきた。
 しかし、00年代に入ってからは大規模な公共事業やインフラ整備が減り、鉄鋼スラグの新しい使い道を探さなければならなくなった。鉄鋼大手各社は大学や他業種と協力して開発を進め、新たな用途として浮かんできたのが「海の再生」といった環境対策だった。
 新日鉄だけではない。JFEスチールは、鉄鋼スラグを加工して幅1メートルほどの「ブロック」をつくった。サンゴや貝殻と同じ成分を含んでいるため、海底に沈めておくとサンゴ礁の再生に役立つとされ、沖縄県宮古島沖などで実験に取り組んでいる。
 神戸製鋼所も、鉄鋼スラグを原料にしたピラミッドのような骨組みをつくり、魚が集まる「魚礁」にした。幅が6メートルもある大きなもので、鉄分が豊富なので骨組みに藻がつき、格好の魚のすみかになる。兵庫県姫路市の沖などで調査研究を実施中だ。
 一方、住友金属工業は鉄鋼スラグが酸性の土を中和する効果に注目した。北海道白老(しらおい)町の牧場で土壌の改良をしている。土の酸度が薄まると、植物や家畜が病気になりにくいという。丸山雅志環境室長は「鉄鋼スラグには様々な可能性があり、さらに開発を進めていきたい」と話す。
 海外からも注目されている。インドネシアでは、JFEのブロックを使ったサンゴ礁の再生をめざす実証試験が10年から始まった。住友金属の土壌改良技術をつかった農村の土壌改良もおこなわれている。
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〈鉄鋼スラグ〉 鉄をつくるときにできる物質で、鉄鉱石の中の不純物と石灰が混じった石状のもの。製鉄では、鉄鉱石と石灰石を焼き固めた「焼結鉱」と、石炭を蒸し焼きした「コークス」を高炉に入れて化学反応(還元反応)させ、鉄を取り出す。このとき鉄1トンに対し、約300キログラムの鉄鋼スラグができる。製鋼工程で生成されるものも含め、国内の年間生産量は約4千万トン。
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■〈記者の視点〉海守る意識がカギ
 寿都町の実験は、結果が目に見えて実感できるため、海藻の回復以上の効果が出ているように思えた。
 それは漁業関係者ら町全体の「海を守る」という意識の高まりだ。「企業に頼り切りでは自立できない。自分たちも努力して継続して続けることが大事」(片岡町長)。町は独自で「鉄分供給ユニット」をつくれるように、製造所をつくって業者を誘致した。多くの漁業者らが作業を手伝うようにもなった。
 鉄鋼スラグの環境利用の技術は日本が世界トップレベルだ。しかし、利用量はまだわずかだ。さらなる企業の技術開発が、磯焼けに限らず様々な環境問題を解決する糸口になるだろう。(大和田武士)

写真・図版
藻場再生実験で抱えきれないほどのコンブが育っている六条地区の海=北海道寿都(すっつ)町
磯焼けが深刻化し海藻類が生えなくなった海=2007年10月撮影、北海道寿都町樽岸(たるきし)地区、新日鉄提供
実験開始の翌年には磯焼けが解消し、海藻類の生育が確認された=2008年6月撮影、北海道寿都)町樽岸(たるきし)地区、新日鉄提供