蜘蛛網飛行日誌

夢中説夢。夢の中で夢を説く。夢が空で空が現実ならばただ現実の中で現実を語っているだけ。

大きなお世話、かも。

2005年11月25日 04時57分30秒 | 彷徉
いろいろなブログが開設されていて、とてもではないがそれらすべてを閲覧することはできない。そもそも自分の興味を引くブログを探すことがかなり難しい。キーワードで検索してもそのほとんどはハズレだ。だからたまたま面白いブログを見つけたらこれは幸運というほかない。就職活動を記述したブログが時折見られるが、多くは学生や女性で大方真剣に就職活動に励んでいる様子が伝わってくる。
そんななか、最近閲覧しているブログというのが、これはどうも四十代の独身男性らしいのだが、彼自身の再就職活動を日記風にほぼ毎日アップしている。ブログに掲載されている記事を信じるならば、かつてシステム関係の仕事に従事していて、鬱病に罹り数年の闘病生活の後どうにか回復して企業に就職しようとしている千葉県内房のある町に居住している人物らしい。しかしまだ完治しているというわけではなく、医師の診察を受け薬を服用しているらしい。
景気が回復しつつあるとはいえ概して就職が難しい今日日、四十代での再就職は特殊な技能を持っていない限りかなり難しい。この男性はヘルプデスクやシステム運用の分野で職探しをしているらしいが、それにしてはSE経験もプログラマー経験もないと自分でいっているのは何とも不可解だ。彼の考えているヘルプデスクがどのようなものなのかわたしにはわからないが、少なくともシステム運用に関しては業務事態についての認識が不足しているように見受けられる。現在のシステム運用とはサーバやネットワークの維持管理、システム障害時の復旧作業、それに加えて端末のシステム設定などなど、かなり多用なスキルを要求される上、さらに最新のソフト、ハード情報にも明るくなければならない。SE経験がなくてどうしてこれらの業務をこなすことができるのだろうか。
支援センターとやらに通ってアドバイスを受けているようだが、そこではいったいどのようなアドバイスをしているのだろう。わたしがアドバイザーだったら探す職種の再検討を勧める。いくら本人にやる気があってもこれでは「四十代の未経験ですがシステム運用の仕事がしたいです」といっているようなものだ。いくら懐の広い企業でもこれでは応じかねるのではないだろうか。それに契約社員を嫌がっている彼の姿勢も気になる。仕事をして金を稼ぎたいのが目下の希望であるなら立場にこだわってはいられないはずだ。それとも正社員という身分になれば絶対安泰だとでも思っているのだろうか。東京までの通勤時間は片道二時間が限度だということだが、ということはたとえば九時から午後七時半までの勤務として、定時退社できたとしても帰宅は九時半ということになる。仮に二時間残業するとして帰宅は午後の十一時半。しかも朝は六時頃に起床しないと間に合わないのではないか。くわえてもしシステム運用の仕事に就くことができたとしたら、定時退社など夢のまた夢だ。
このブログにはだいたい決まった人物からのメッセージが投稿されている。一般的にいって利害関係のない人間というのは優しい言葉をかけてくれるものだ。言葉だけならタダだから。しかし利害関係が生じてくるとそうはいかない。だから企業内での人間関係は表向き仲良しクラブみたいだけれども、じつは自分のためだけに動いている心の干乾びた人間同士の往来でしかない。そして経営者は従業員をそのように仕向けてさえいる。このヘルプデスク希望の四十代男性も、そのような環境の中で鬱病に罹患したのではなかったのだろうか。とすれば運良く再就職が叶ったとしても、とどのつまり同じ轍を踏むことになる。これでは本当に悲劇だ。
わたし自身、企業組織に馴染めず飛び出してしまった人間なので、とても偉そうなことはいえないのだけれども、しかしこのブログから見えてくる彼の就職についての考えには、とても危ういものを感じてしまうのである。

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