太平洋と大西洋を結ぶ、という構想はスペインのカルロス1世からだった。それが1500年代の話だ。実現は400年くらいあとの1914年、セオドア・ルーズベルトの時代までかかった。パナマ運河だ。
目的は大西洋艦隊を太平洋に送ること。だからいまでも運河を渡れる艦船の最大の大きさ、いわゆる「パナマックス」は大東亜戦争時におけるアメリカ海軍の艦艇のサイズになる。
また、この運河はスエズなどとは違い、真っ平らな土地を切り崩せば済むような工事ではなく、運河自体が「山越え」している。すなわち舟を山の高さまで上げねばならない。「閘門式」だ。船が来ると水門を閉めて水を入れる。それで浮き上がらせてからまた、次の水門を開けるという方式だ。入れる水はガトゥン湖の真水だが、一回に二億トンもの水を使うから間に合わず、そのためだけにダムも作っている。大層なシステムだが、白人の「世界征服の夢」が本気だった証左でもある。
いまは「観光資源」とやらでクルーズでも渡れる。仕事があるからパナマ共和国の人口の半分も運河周辺に住みつく。結構なことだと思うが、その運河を渡る品々のメインは武器と麻薬だ。ニカラグアやコスタリカからカラシニコフやドラゴノフが運び込まれ、その代金としてコロンビア革命軍などが麻薬で支払う。パナマ警察との銃撃戦は頻繁に行われ、警察のダイバーがサンフェリペ港の海に潜って「ブツ」を押えるのも日常の光景だ。
アメリカの捲いた種で南米だけではなく、アメリカ全体が蝕まれていくのは愉快な話だが、例えばこのサンフェリペ港には日本のＯＤＡが放り込まれている。建前は「漁港を整備した」かもしれないが、コロンビアの左派ゲリラなどもよろしく使っている。最近では北朝鮮の貨物船がパナマ政府に臨検され、中から「古いミサイルの部品」などが出たとかニュースもあった。
これだけでも日本人の税金で整備して良い港ではないとわかるが、日本のメディアは揃って「古いミサイルの部品」を北朝鮮に運んで修理するのが目的、みたいに報じていた。油断しているとなにやら、北朝鮮はキューバなどから古くて壊れた武器を手に入れ、それを一所懸命に直して超大国の日本やアメリカに対していると思う。健気なものだと。
そこらの不良でも煙草はサドルの裏に隠す。ちゃんと「みつかったら洒落にならない」モノはテレビ画面に映らない。つまり、貨物船には「地対空ミサイル用高性能レーダー」が積まれていた可能性が指摘されている。そんなハイテク軍事品、キューバから北朝鮮に「納品」されるなら旧ソ連製だとも想像がつく。そもそも携帯電話が作れない国でミサイルの修理が出来るかどうか、ちょっと考えたら不安にもなる。
また、いまさら「キューバから北朝鮮に武器が」とか驚いているのは、日本の安モン、小金稼ぎのコメンテーターくらいだともわかる。
これはずっとお得意様だ。パナマ運河も佐川急便が阪神高速を使うくらい普通のことだ。なにをいまさら、となるのが常識だろう。また、パナマの現大統領もアメリカ留学の経験もある親米派だ。つまるところ、テレビはともかく新聞なら、いままでは見逃していたのに何故に突然？くらいの論調でないとしんどい。それから「ＯＤＡを止めよ」もほしい。
参院選が終わった。自公圧勝ということだが、どの候補者も日本には金がない、日本の経済は大変、無駄をなくしますとか景気を回復させますだった。消費増税反対もいた。将来の子供たちに負担を残さない、とかもいた。しかし、犯罪国家や反日国家に対する無駄なＯＤＡは止めましょう、国連の負担金2億ドルも考え直しましょう、ユネスコにＰＫＯとか、毎年毎年5億ドルとかも見直しませんか、日本も大変なんですから、と言う政治家はいなかった。
経済大国第二位の20倍以上の金を日本は国連に出す。その支出総額ではアメリカも抜く。毎度毎度、世界銀行にも百億ドル、ＩＭＦにも二百億ドル、各国の開発銀行にも数百億ドル。どこかで経済危機となれば何百億ドル。土地を開発します、工場を作ります、学校も病院もないんです、水が飲めませんと聞けば飛んで行って金も人も技術も出す。当然だが、本来なら知ったことではない。
それで感謝してくれて、日本に足を向けて寝てませんなら可愛げもあるが、なにかあれば日本には人権がない、日本は差別国家、日本は性奴隷を強制連行した、日本は犯罪国家だと誹ってくる。そしてまた、だから金を出せとやる。これを「たかり」という。
湾岸戦争のときも日本は百三十億ドル出した。これは戦費の2割に相当する。それで日本は感謝されるどころか、人を出さんかい、と馬鹿にされた。馬鹿みたいに出すから馬鹿にされる。実に簡単な論理だ。
日本の政治家は「日本は世界の財布じゃない」くらい言えないか。日本の納税者の血税は先ず、日本に使いますくらいの常識を語るべきだろう。先ずは日本の悪口ばかり、日本に敵対心を持つ支那朝鮮への援助をぜんぶ止めますとか。