実は入院していた。
現在の会社に勤めてから3度目になる。その前も一度、まあ、これは怪我ではあるが1か月ほど入院したから、半世紀ほどの人生で都合4回も入院したことになる。4回とも看護師さんには迷惑をかけていたが、今回はかなり優良な入院患者だったと自負する。以前は「また脱走しました」とか、会社や妻に連絡が入れられたが、もう、私も知命を過ぎて少し経つ。そんな不良少年みたいなこともしない。そもそもゴリラじゃないんだから、せめて「外出」と言いなさいと当時も思ったものだ。
またまた心臓と合わせて今回は腎臓。主治医からは透析までカウントダウン。移植手術も視野に入れている。ここが日本で良かったですね、と言われたが、隣にいた妻が早速にも「だったら自分の腎臓を」とか言い出す。
先ず、サイズが合わないだろ、というか、Ｓ／Ｍ／Ｌなどの概念があるのか知らんが、そもそも、嫁はんの臓物抜き取ってまで長生きしたくない、キミの膵臓も食べたくないし、キミの腎臓も入れたくない、とか言っていたら、主治医が真面目に「本当に大丈夫ですか」とか、妻に問うているから、遮って断固拒否します、と伝えておいた。どうしても入れたければ、私が死んでから勝手に入れればいい。妻以外の。
じゃあ、どうするのか、と詰められたが、そんなもんは半世紀前から同じことだ。つまり、気合で治すから心配するな、ということだ。私は自分の肉体、健康に根拠不明の絶対的自信があるが、どこか、心のどこかで、本当に自分は死なないのではないか、と思っているほどだ。力道山の背後霊が憑いているのかもしれない。
それに原因だ。もちろん、糖尿に痛風もある。それに入院するくらいだから、それなりに自覚症状もある。年に何度かの健康診断でも、いろいろと数値化された悪口が書いてある。つまり、デブが発症する病気はすべからく揃っている。当然だ。デブなんだから。そんなもんくらい、さらりとコンプリートだ。
運動不足に不摂生。睡眠不足にストレス。偏食に大食の栄養過多。酒飲むなタバコ吸うな。炭水化物がどうした、コレステロールがなんだ、脂質異常があーだこーだ、糖分も塩分も敵だ。体重落とせ、血糖値下げろ血圧下げろ、骨密度がどうした内臓脂肪がなんだ・・・嗚呼、やかましい。私の価値観はほぼ飢えた山賊だ。「酒出せ肉出せメシ出せ」になる。ちなみに金と女はいらん。いま、もう十分だ。これ以上は持て余す。そこだけは足るを知る。
ま、要するにまだまだ現役で戦っている企業戦士でもある。引退間際の百戦錬磨、歴戦のベテラン兵士だ。戦果があるかどうかはどうでもよろしい。そんなものは誰かが勝手に言うだけのことで実に詰まらんことだ。しかし、敵がまだいるのに時間外労働もヘチマもない。
味方が劣勢なのに休日出勤も大根もない。作戦決行に際して残業手当もサンマもない。ブラックでもらいぶずまたーでもなんでも言え。それに戦場で傷を負った兵士に「もう、なにやってんの。また、怪我して。少しは気をつけなさいよ。自分の体でしょ。残された家族のこと考えなさいよ」とか言うナイチンゲールはいないのである。優しく微笑んで「ご苦労様」と言ってくれる白衣の天使だけが必要なのである。あ、薬の時間だ。
しかしながら、私とゴリラの差異は明確にあって、それは反省をするということだ。そして存外に素直なとこもあって、ちゃんと律義に薬も飲むし、定期健診にも行くのであった。周囲が安心して納得するならそれはそれでよろしい。血圧測定器も買った。オムロンは儲かったが、私がいままで購入したもので「不要なモノベスト10」に入るだろう。いずれも数千円では買えぬモノばかりだが、そのいずれも必要に迫られたことはない、というアレだ。
光って音が出て台詞を言う「ダースベイダーのマスク」やずっしりと「リアルな模造刀」と同じく、一度しか見ていない「金本浩二のＤＶＤボックス」などに並ぶ「不要なモノ」の仲間入りだ。夜中にダースベイダー被って「If you only knew the power of the dark side.」が必要ないなら、毎日朝晩「180だった。130超えたらゴマ麦茶だね」なども必要ないということだ。だからオムロンは日経平均株価が最高値の中人員削減している。不要なモノとは、もう、売れるだけ売ったら、あとは売れない。需要に将来性がない。いわゆる「流行りモノ」だ。
とは言いながら、退院したら数キロ以上、体重が減少。明らかに日本医師会、日本薬剤師協会などによって弱体化させられていた。鏡を見るともみあげも白いのが増えてきて、このまま禿げなければリックフレアーみたいになるか、それともフレッドブラッシーになるか。いや、藤本義一はちょっと遠慮したいところだが、歯肉炎で歯が抜けたらブラッシーはキツイし・・などと悶々としていたが、そうだ、もうセミリタイアしてもいいんじゃね？とか、安モンの兄ちゃんみたいに思って妻に相談すると「好きにしていいよ」とのこと。いったい、この妻は私に内緒でいくらほどの貯蓄を・・・（私は日々、一日千円、月3万円で十数年、馬車馬のように・・）と思うほどのあっさり具合であった。
会社に希望を伝えると快諾してくれた。じゃなきゃ辞める、ということもそうだが、勤務条件を見直して続ける、ということになった。病気なんだから仕方もないが、具体的には管理管轄範囲が狭くなり、というか消滅して業務量も激減。収入は下がるが休日は増えるし時間も取れる。いまなら妻と犬と梅なんか見に行きたい。温泉も行って、叱られるが一人旅もまた行きたい。いや、そうだ、久しぶりに帰阪でもしてツレの飲み会にサプライズしてやるか、全員もう、ハゲとかデブとか阿呆とか病気だろうが、それは私も同じことだし、懐かしい顔も見たあとで、興味はないが孫の顔でも見に行って小遣いでも渡して、じいじ、またきてね、とか言われたら、私も少しは世間の祖父と同じく、孫を見て目を細めるかもしれない。
そしてなにより、まだ「ナニかヤラせてもらえる」のもうれしい。こんな私でも、まだ社会に必要とされ、会社に仕事があり、家族のために働くことができる。「ＢＭＩ」が40くらいあろうが「HbA1c」が9％だろうが「ＢＬＭ」が何故だか大人しくなろうが関係ない。ありがたい話である。そう思えば、ＢＭＩが40くらいなら「極度肥満」とか書かれても、極度にデブだってさ、と受け止めて、くすっと笑って済ませることもできる。20年ほど前は「極右勢力」とかネットで悪口を書かれて「2ちゃんねる」に顔写真を貼られて「ひとごろしのかお」とか弄られたのも微笑ましい思い出だ。ずっとネットは恐ろしい。おまいらやめれ。
さあ、時間と余裕ができて、もう、ヤルことは小説を書くことしかない。信じられない遅い速度で書き続けて止めたり、放置期間があり過ぎて感情移入ができなくなって陳腐化したりしない。頭と心の中にはいろいろと詰め込んである。これを整理整頓、残りの人生を執筆活動にあてれば満足して死ねるかもしれない。いや、いまでも、もう、かなり満足ではあるが、なんか、まだ死なないみたいなので、なんかヤル他ないのである。
このブログも放置していたが、この数か月、なにも書かないのに日に100人近く、だれかが覗いてくれているみたいだから、これも有り難い話だ。過去記事をかなり遡って読んでくれている人もいるみたいだし、やはり、続けてみよう。せっかくだし。
先日、人事についての「緊急ミーティング」が開催された。他人事だった私だが、その数名のメンバーの中に名がある。はて？と思ったが、ははん、私の勤務形態の変更も伝えることになるわけだな、そこで本人からなにか話でもしてくれということだろう。なる。
私は「限られた時間の中ではありますが、自分自身の体調と相談しながら、主治医の治療方針も尊重しつつ、無理なく、これからも陰ながら、みなさんのお役に立てるように」みたいなことでお茶を濁してさっさと帰り、自宅で焼肉パーティをしようと企てていた。もちろん、プリン体ゼロ、カロリーゼロ、糖質ゼロ、なにかとゼロという小池の公約みたいな酒も用意していたのである。小池の名誉のために書いておくと、小池の公約は実現ゼロがオチである。
聞けば「トラブル発生」であった。まあ、簡単に言うと事件だ。事業所がひとつ、いや、ふたつ飛ぶかもしれない。事態は深刻だ。そして急を要する。即座に対処しないとなんやかんやアレなことになるのは自明である。私は「たいへんだなぁー」と思いながら聞いていた。
「やってくれます？」
東日本の偉いさんだ。何かの間違いかと思ったが、偉いさんの3名が3名とも私を見ている。私を含めた偉くないのが3名ほどいたが、それらは下を向いていた。
「行動する力がある時、そこにあるものはなにか。行動しない時、そこにあるものは何か。アリストテレスです。やります。」
おおぉ・・・という声のあと、数秒後に「お願いします。詳細は・・・」とのことでミーティングはすぐに終了。解散してから事情聴取。対策と処理の方法を考案。説明。決定。
次の日から緊急対応。半月ほどしてなんとか収まって現在に至り、いま、久しぶりに自室のＰＣの前で犬と一緒にいる。他も継続中。。。忙しい忙しい。。。嗚呼。。。面倒臭い。
嗚呼・・・・またヤッタ。またヤッタ。特別手当だヤッタ。。。断ればよかった。嗚呼、、面倒臭い。とても面倒臭い。夜中に行動するのは嫌だ。嗚呼・・・愚痴が止まらない。妻も怒ってる。「減らすと言って家に出て、帰ってきたら増えましたとか、体重と一緒やんか」とかウマいこと言いながら怒ってる。嗚呼・・・。話せば届くところにいる人間ばかりの国を作りたい。岸田はホンマにもう辞めて。。。。私は病気なんだぞ。
「重要なことに集中する唯一の方法は 「ノー」と言うことだ」スティーブ・ジョブズ
「気持ちよく断ることは、半ば贈り物をすることである」プーテル・ウィク
「我々は他者の期待を満たす為に生きているのではない」アドラー心理学
・・・・・・・・・・・・・・。ええい、やかまＣ。わかっていることを言われると人間は怒るのだと知れ。それに私はこっちのほうが性に合う。
「義を見て為さざるは勇なきなり」論語
不思議だ。昨日、数値が良くなってる。病は気から、は侮れん。