忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

世界が動く。日本が動く。

2011年12月31日 | 過去記事

金正日死亡を受けて、中朝国境付近では外国の報道陣が締め出されている。日本のメディアも数時間だが拘束されたりもした。日本のテレビではお馴染み、この川の向こうが北朝鮮です、と報道するだけのことを、何を大袈裟なとは思うが、押し寄せてくるかもしれない大量の脱北者を、問答無用で捕まえて送り返す用意を報道されるのは勘弁願いたいところだろう。それにしても、日本という国は脱北者について「中国の国内法を尊重し、脱北者を公館外から公館に連れ込まない」という誓約書を提出するくらいだから安心して欲しい。外国にまで出かけて人権を叫ぶ度胸も倫理観もない。

もう珍しくもないが、少し前には四川省で産経新聞の記者も妨害を受けた。チベット関連の取材中だ。支那の駐日大使は「責任ある政府として社会を混乱させるわけにはいかない」と理由を説明した。同じ時期にパスポートを武装警官に取り上げられたニューヨークタイムスの記者は「これはあなた自身の安全のためだ」と言われた。同じく、フランスのメディアもイタリアのメディアもやられた。スペインやフィンランドの記者も尋問された。「国境なき記者団」もチベット自治区で14人が拘束されている。これらは共に、具体的な事実が世界に知れると支那共産党にとって都合が悪いのだとわかる。

現在、支那は北朝鮮の港湾を租借する。鉱山の採掘権も持つ。鉄道や道路の施設権もある。つまり、旧帝国主義時代の植民地支配そのものだ。本当なら金融も抑えたいところだが、孫正義よりもカネの無い金一族など話にもならない。軍事については、ちゃんと先軍思想を国是とさせているから、支那共産党人民解放軍の協力も避けては通れない。つまり、日本のメディアは「北朝鮮内部の権力移行」について解説するが、それは北京を無視して出来るものではない。親玉は北京にいる。

支那は北朝鮮が体制崩壊、イラクのようになれば困る。形だけとはいえ民主主義が入り込む余地を与えるはずもない。米韓の影響力が強い北朝鮮など、支那人にとっては悪夢となる。だから、そうなる前に必ず介入してくる。朝鮮戦争に100万人もの支那人を送り込んだのと同じだ。もちろん、北朝鮮もそれを知っているから利用する。独裁オヤジが死んでも綱渡り、傍迷惑な危うい外交が続く。支那共産党が北朝鮮を「共産主義を守る壁」だと言うなら、それはそれで利用してやれ、と狡猾に立ちまわった独裁オヤジを踏襲する。

つまり、金正日が死んで「北朝鮮はどうなるのか」というのはそういうことだ。金日成は毛沢東に黙って朝鮮戦争を始めた。李承晩さえ殺せば統一朝鮮となり、バックにはソ連が付く。ならばもう支那など怖くない。偉そうにさせるか、ということで、スターリンからもらった武器兵器は海路から運んだ。しかし、結果だけを見れば失敗だった。

不意打ちを喰らわせた北朝鮮軍は猛烈な勢いで韓国軍を釜山まで追い詰めたが、米軍の軍事介入から太刀打ちできなくなった。あっさりしたものだ。金日成の軍隊は気がつけば鴨緑江まで押し返されていた。このままでは北朝鮮人が満州に逃げ込んで来る。待ってましたとソ連が駐留する。国民党軍を追い出したばかりの支那共産党からすればたまらない。それに川向こうには自由主義陣営の国ができる。これはもっと困る。だから、毛沢東は忌々しいと感じながらも100万人の軍隊を出した。米軍は36000人が死んだが、人海戦術で押してくる人民解放軍はその十倍くらい、ちょうど「南京大虐殺」でついたウソの被害者数くらい死んだ。よく死ぬ民族だが、ま、これが支那人の兵隊は消耗品、と言われる所以だ。

その息子の金正日も支那を振り回した。核実験やらミサイル発射で暴れ、国連でも6者協議でも支那に保護者をやらせた。支那が怒って冷遇すると、今度は米朝接近で揺さぶった。日本ではコレを「瀬戸際外交」だとして愚弄していたが、それでもやっぱり、拉致被害者を取り返すことはできなかった。金正日は自国民を収容所で殺し、飢餓で殺し、他国から援助を巻き上げるだけで、あとはテロしかやっていなかったが、どうにか金一族の独裁体制だけは守ってしまった。これは金正日が何かしたわけではなく、結果論であるが、国際社会が存続を許してしまったに過ぎない。

三男坊は金正日より、長男や次男よりも馬鹿だとされる。馬鹿がトップになる恐ろしさは、最近、日本も味わったばかりだが、コレが独裁政権のトップならば、その影響は更に増すはずだ。そして、必ず、内部抗争、権力争いが起る。目先の内部崩壊を避けた結果の三男坊であったかもしれないが、それくらいで火種は消えはしない。「揉めるから」という理由で馬鹿を続けてトップにした日本の政権与党も結果的に割れるのと同じだ。あれほどの妥協を見せた野田の党内融和人事も無駄に終わりそうだ。ったく、バカバカしい。

世界各国のトップが入れ替わる2012年、日本も解散総選挙は現実味を増してきた。年末恒例、雨後のタケノコのような「新党ラッシュ」がみられることだろう。あの悪夢の政権交代前後、負けそうな自民党から、負けた自民党から飛び出した政治家が新党を結成して気勢を上げたが、今年の民主党も同じく、沈みかけた泥船から逃げる風見鶏はもっと増える。

せっかく北朝鮮がぐらぐらし始めたのに、日本政府も付き合ってぐらぐらしている。まあ、民主党政権というのは、ある意味では同じ組織、朝鮮労働党の下部組織である朝鮮総連とも「地続き」だったから仕方がないが、政治状況や国際問題だけではなく、歴史や国家というモノに疎い日本人も、いよいよ他人事では済まぬ年がやってくる。例えば、未曾有の大災害にあって、緊急的な人命救助や復旧作業は自衛隊や警察や消防で間に合っても、その後、計画に基づく「復興」となれば政治が機能しなければどうにもならない、ということは周知となった。同じく、政治が機能せねばいくら海上自衛隊があっても、支那の便衣兵も捕まえて処分できないこともよくわかった。だから今でも、日本国内では北朝鮮の工作員が跋扈するどころか、その養成機関まであって、そこに税金を出すか出さないで議論もある。

2005年、支那全土で反日デモが湧き起こった。総領事館や大使館だけではなく、日本企業もターゲットにされたことも覚えている。「和食」と書いた看板があれば襲われて火を放たれた。このときのスローガンが「愛国無罪」だった。支那中央政府は暴徒を非難するわけでもなく、のうのうと「日本に責任がある」とも言った。なんの責任か?といえば、それは「中国人民の心を傷つけた」からだという。小泉が悪いと。教科書問題であれ、靖国参拝であれ、過去の歴史を直視し、日本が悪うございました、と未来永劫、頭を下げ続けてもらわねば困るじゃないか、日本政府は公式見解として、あるいは閣議決定として「中国様、悪うございました」ではないのかと。それを守らぬのだったら、日本人が襲われても自業自得ではないかと。

これにはアメリカも韓国も続く。日本が過去、アメリカ兵捕虜を無残に殺し、支那朝鮮人を蹂躙して、娘は犯してすき焼きにして喰い、平和で慎ましく暮らすアジアの人々の舌に鉤で穴を開けて吊るしたり、首まで地面に埋めて軍用犬のジャーマンシェパードに喰い殺させたりしたことは揺るがない事実でなければ困る。最近、ソウルの日本大使館前に売春婦の銅像が建ったとかで騒いでいるが、盧溝橋にある「中国人民抗日戦争記念館」 に「日本軍暴行館」 が増設されたのは1997年、その隣には「抗日記念彫塑公園」ができた。その公園には「日本軍の侵略、虐殺に苦悶する支那人民の巨大なブロンズ像」がある。支那人だけではなく、外国人の旅行者もそれをみる。「トイレでも金を取る」という支那人が「南京大虐殺記念館」など、各地に膨大な数がある「抗日記念館」だけは無料で開放している理由とは、まさに有事の際、はっきり言えば「日本人が何の理由もなく殺害されたりした場合」においても「日本に責任がある」とできるがためだ。

北朝鮮が不安定になり、また、日本に迷惑がかかる。冷戦後にはドイツもベトナムも統一したが、自分のことは自分でしますから、と他国の世話にならず統一を果たしている。朝鮮半島は違う。堂々と「日本に金を出させるから心配するな」という韓国大統領もいた。日本はこの半島のお陰で日清戦争で2万人、日露戦争で9万人も死んだ。その後、仕方がないからと併合し、真っ暗闇で暮らしていた朝鮮人の国に電気を通し、鉄道を通したり、学校を作ったり、人間が文化的に暮らせるようにと莫大な資金を持ち出して、両班でなくとも腹一杯食えて文字も読めるようにした。すると、今度は強制連行だの、慰安婦だの、植民地支配だのと因縁をつけられ、今でも金を巻き上げられるというお粗末になっている。

支那人もそうだ。日本がアジアの中で唯一、白人国家の植民地主義に抗い、命を削って戦い果てた頃、漁夫の利を得た支那共産党は息を吹き返す。そこから悪逆の限りを尽くすわけだが、元々を辿れば「日中友好」は日本の悲願だった。毎日新聞に「百人切り」とデマ記事を書かれて南京郊外の雨花台で処刑された「向井少尉」の遺書にも「我が死をもって遺恨を流し、日華親善の礎となれば幸い」と書かれている。もちろん、それは支那共産党のことではないが、それでも支那との連携が成れば白人列強の植民地支配に対抗できる、と当時の日本人は考えていた。日露戦争の最中には、留学費用の無い支那人学生を招き入れるという、今の民主党政権みたいなこともした。だから東京には1万人を超える支那人留学生がいた。そのあと、日本人は孫文も支援した。辛亥革命だ。

チャーチルは「日中間の講和は我々の利益にはならない」と言い、ムッソリーニは「黄色い人種の中の小さな巨人、日本が中国をゆり起せば、その二国が世界のヘゲモニーを取らないと誰が言い切れるか」と怖がった。だからこそルーズベルトは蒋介石を抱き込んだ。重慶に武器弾薬を送り込んだ。その所為でフライングタイガースのP-40Cが加藤隼戦隊にボコられて、基地にあった22機に火をつけて昆明に逃げることにもなった。

そして、いま、日本の左巻きが「日中友好」を言う。今の日本はアメリカの属国ではないか、いまこそ、中国と一致団結して、アメリカの一国支配主義、アメリカ型のグローバリズムに対抗するのだと言う。そのためには過去の歴史を反省して、北朝鮮とも国交を復活させ、韓国とも仲良く、売春婦の像の横に野田総理を座らせて謝罪すればどうか、と日本共産党の機関紙が書く。要するにアメリカのポチはダメだが、支那の犬にはなるべきだ、ということだ。そこで日本がもういい、支那朝鮮には何にも期待しない、それにアジアには他の国々もたくさんある、日本が先の大戦で戦った意義として、独立を果たした国がある、親日国も少なくない、それらの国と親善を図り、今後のアジアを考えて行く、と言えば彼らは困る。だから台湾などは「国ではない」とするし、親日国ならばブータン王国の国王夫妻もテレビで馬鹿にする。どうか、日本を嫌って下さいと懇願するかのようだ。

来年―――世界が動く。日本国民も国内に蔓延る極左暴力集団が牛耳る政権を打倒し、次こそ、拉致被害者奪還を理念とする政治家を一人でも多く当選させねばならない。アメリカも中国も所詮は外国、対等な関係であれば付き合っていくだけのことであり、そもそも外交とは国益の取り合いであるから、しっかりと「国益を護る」という観念に基づいた言動を揺るぎなくするだけのことだ。そこから橋下新市長のように「スパイみたいな部下」を炙りだして切ればいい。優秀、且つ、愛国心に満ちた官僚が仕事もしやすくなる。

頭のズルイ政治家や官僚も本領発揮、それを国内で税金吸うだけのつまらぬことに使うのではなく、日本の国益を果たすためにこそ使って欲しいものだ。遣り甲斐のある仕事は山積している。被災地の復興だけではない。先ず、拉致被害者の奪還、それに領土奪還が続く。来年当選する政治家は、そのために必要となる法整備を急ぐべきだ。反日教育など放っておけばいい。どうせ内政干渉だ。その代わり、国内の教育は日教組を解体してでも改善すべきだ。ちゃんと日本ことを知った日本人を作る。英雄たちの歴史を取り戻す。ならば、知らぬ間に他のこと、例えば経済問題やら福祉の問題やらの国内問題程度、いとも簡単に解決している。被災地の復興も世界がまた驚くことになる。それに、アメリカも支那も、ちゃんと分を弁えた付き合い方をしてくる。日本が日本国として立つ。それは大袈裟ではなく、人類が、地球が少しだけ良くなる。今も昔も日本人の役割は大変なのだ。

2 コメント

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Unknown (井戸の蛙)
2011-12-31 16:55:06
まず、変わる必要があるのは日本人なんですよね。日本国内には色々な問題がありますが、「爺ちゃん婆ちゃん有難う」という日本人が増えれば、一発で乗り越えられると私は確信しております。
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Unknown (久代千代太郎)
2012-01-01 08:21:14
>かえるさん

そうなんですね。みんな枝葉の話、なんです。根本的な事を思い出さないとダメですね。
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