哲学的な何か、あと心の病とか

『人生とは何か、考えるほどにわからない。というのは実は正確ではない。わからないということが、わかるのである。』池田晶子

生物多様性の重要性とは?

2013年09月30日 | 哲学・心の病
私は、なぜ生物の多様性が重要なのか、そして、なぜ生物の絶滅を危惧するのか、以前から疑問に思っていた。
人間によって生物の絶滅が加速されているようであるが、ある生物が絶滅しても人間に影響がなければ構わないと思っていたところ、次のような理由を見つけた。
それは、

〈生態系サービス〉
そもそも、この地球上のあらゆる環境は、あらゆる自然によって、形作られたもの。
その中には、動物、植物、土、といった、多くの要素が含まれており、普段食べている魚や貝、紙や建材などになる木材、生きる上で欠かせない清浄な水や大気など、さまざまな資源がここから生み出されています。
森や海の環境は、地球の気温や気候を安定させる、大きな役割も果たしており、時には災害の被害を小さくする、防波堤の役割も果たしてくれます。
たとえば、2004年に起きた、スマトラ島沖地震の際には、海辺にマングローブの林や健全なサンゴ礁が残っていた地域では、それらの自然が津波のエネルギーを吸収してくれたため、被害が少なくて済みました。
IUCN(国際自然保護連合)の試算によれば、生態系がもたらしているこれらのサービスを、経済的価値に換算してみると、1年あたりの価格は33兆ドル(約3,040兆円)。
最も豊かな国であるアメリカのGDP(国内総生産)が14億ドル、世界全体のGDPが約60億ドルであることを考えると、私たちがどれほど大きな恩恵を受けているかが分かります。

〈健康と医療への恩恵〉
保健や医療に関しても、生物多様性が果たしている役割があります。
人類の医療を支える医薬品の成分には、5万種から7万種もの植物からもたらされた物質が貢献しています。
また、世界規模地球環境概況第4版によれば、海の生物から抽出される成分で作られた抗がん剤は、年間最大10億ドルの利益を生み出すほどに利用されているほか、世界の薬草の取引も、2001年の1年で430億ドルに達したされています。
そして、多様な自然環境の中には、まだ発見されていないさまざまな物質も、数多く存在していると考えられています。
これらが発見されれば、現代の医療が解決できていない、さまざまな難病が、いずれ治療できるようになるかもしれません。
しかし今、このさまざまな恵みが、広く失われようとしています。
近年の人類による環境の搾取は、生物多様性が持っている自然の回復力、生産力を、25%も上回る規模で資源を消費させ、一気に枯渇させようとしています。
それは、私たち人類が生物多様性から受けている恩恵を、自ら失うことであり、未来の可能性を閉ざしてしまうことでもあります。

病の起源ーがん

2013年09月30日 | 哲学・心の病
NHKスペシャル「病の起源」第一集は「がん」の特集だった。

がんは多細胞生物の宿命と言われており、人間以外の動物でもかかる。
そのひとつの証拠として、1億5千万年前に生きていた恐竜の化石からもがんの痕跡が見つかった。
しかしその発病率は、人類の場合飛躍的に高い。
チンパンジーと比較しても、チンパンジーのがん死亡率が2パーセントなのに対して、人類は30パーセントである。
なぜ、人間はこんなにもがんになりやすいのか。
その秘密は人間の進化にある。
人間は進化の代償としてがんになりやすい宿命を背負った。
人類は進化の過程でいくつかの大きな転換点を経てきたが、そのたびにがんのリスクが大きくなった。
がんというものは、基本的には細胞のコピーミスによってできると考えられているが、このコピーミスが起きやすいような条件が、進化の転換点ごとに加わってきた。

最初の転換点は二足歩行だ。
二足歩行をきっかけにして人類の生殖パターンが大きく変化した。
それまではチンパンジーと同様に、季節のバイオリズムに応じて生殖活動をしていたものが、二足歩行をきっかけに、一年中生殖行為を行うように切り替わった。
それに応じて、人間の男性の精嚢は常に精子を作り続けるようになり、女性の方も短い周期で排卵するようになった。
これは細胞の活動が活発化したことを意味する。
細胞の活動が活発化すればするほど、細胞のコピーミスも発生しやすくなり、その結果がんになりやすくなった。

次の転換点は180万年前の頃だ。
この頃に人類の脳は飛躍的に大きくなった。
この頃に生きていた人類の祖先はホモ・エレクトスだが、その脳はそれまでの人類の脳の倍になった。
それを可能にしたのはFASという酵素。
この酵素の働きによって脂肪酸の生成が促され、脳が巨大化したのであるが、同時にその細胞を活性化させる働きががんの発生リスクを高めた。
つまり人類は知能と引き換えにがん発生リスクを背負ったというわけである。

第三の転換点は6万年前のことだ。
この頃に人類はアフリカを出て地球中に広がり始めた。
これを出アフリカというが、この過程で人類はいろいろな気象条件のもとで生活するようになった。
当然その中には日差しの弱いところもある。
ところがこの日差しの不足ががんを発生させやすい。
日差しの強いところではビタミンDが作られやすく、このビタミンDががんの発生を抑える効果があることがわかっている。
人類はアフリカを出て地球上に広がる中で、がんのリスクを高めてしまったのである。

最後の転換点は産業革命だ。
18世紀以降の産業革命によって、人類は様々な物質を作り出してきたが、その中には発がん物質も多く含まれていた。
タバコやアスベストはその最たるものである。
また、エネルギー革命を通じて明るい夜が実現し、人類は夜でも働くようになった。
ところが夜間勤務は昼間の勤務に比べて発がんリスクが高い。

ヘイトスピーチは許せない!

2013年09月30日 | 哲学・心の病
ヘイトスピーチデモに抗議活動をしている市民らが、あらゆる差別の撤廃を求めて「東京大行進」を実施した(9/22日)。

「だれも抗議の声をあげなかったら差別がまかりとおってしまう。ヘイトスピーチは日本人として許せないし恥ずかしい」と30代の女性は言う。

また、障害をもつ娘の車イスを押す母親は「ヘイトスピーチも障害者差別も根幹は同じ。みんなが一緒に寄り添える社会をつくることが大事です」と話す。

「デモの時間はお客さんもこなくなるし、影響があります」というのは、商店街で美容関係の店を営む韓国系女性店長。
「でも私たちが声をあげると大変なことになるので我慢しているのです」と続ける。
「日本人が声をあげてくれて涙が出るほどうれしい。日韓のあいだにある問題はこうしたデモが起きないよう政治家が解決してほしい」と話した。

ヘイトスピーチをやっている人の心理は、私には理解できない。
私も30代の女性の言っていることに共感し、同じ日本人として許せない。

私は、あるブロガーが、韓国や中国がいかにひどいことをしているかを、毎日のように書いているのを見て、嫌悪感を感じたが、私の憶測ではあるが、彼女は幼いときに、夜道を歩いていて在日朝鮮人に罵倒されてお金を奪われそうになった経験をしているがために、韓国人が憎くて書いているのではないかと思っている。

私も韓国人や中国人と交流したことがあるし、今でもたまに交流している。
そして、朝鮮族の中国人に数回だまされたことがあるが、どうも彼女らは、だまされる方が悪いと思っているフシがある。

なぜ彼女らは、そういった行為を平気でやれるのか、と考えると、それだけ過酷な環境で代々生きてきたからなのだろうと、私は思う。
だから、私は、彼女らを許すことができる。

臨界期とは?

2013年09月30日 | 哲学・心の病
D・H・ヒューベルとT・N・ヴィーゼルが行った子猫の実験等により注目されるようになりました。
どんな実験かと言いますと、生まれたばかりの子猫のまぶたを縫い合わせ、数ヶ月間そのままに放置しておいたのです。
数ヵ月後に抜糸してみたところ、目に映っているものが何であるのかを認識する機能が失われていたのです。
そして、この機能は2度と回復することがなかったのです。

このことから、ある機能を獲得するためには、適切な期間があるのではということになり、その期間が臨界期と呼ばれています。

人間の場合、言語では、生後約6ヶ月ぐらいから神経回路の組み換え(臨界期)が始まり、12歳前後で臨界期が終わるといわれています。

働かないアリに意義がある!

2013年09月28日 | 哲学・心の病
「働かないアリに意義がある」という本によると、アリのコロニーを観察すると、ある瞬間、何もしていないアリは7割近くもいる。
1カ月以上、観察を続けても、だいたい2割くらいのアリはサボり続けている。
サボっているアリを排除しても、残りの集団のなかからまたサボるアリが出てくる。
働き蟻と怠け蟻は、あらかじめ遺伝的に決定されているのではない。

そして、働きアリも疲れて休息するが、「働かないアリ」がいるほうが、集団全体で「誰も仕事をしなくなる時間」が減ることがコンピューターの模擬実験でわかった。
この本の著者は、「幼虫や卵の世話は少しでも中断すると集団全体の死につながる。そのため、わざわざ働き方に差がでるような仕組みをとっているのではないか」と話している。

また、敵に襲われたり、巣に雨水が入ってくるなどの緊急時のために、働き蟻は直ぐには対応することができないから、怠け蟻が待機しているという説もある。

消防士のPTSD

2013年09月28日 | 哲学・心の病
私はある報道番組を見て、次のような事実があることを知って、そんなことが起きているのかと深く考えさせられた。
それは、

『東日本大震災で緊急消防援助隊として、初動1週間の救援活動に派遣された消防士のAさんは、地元に戻るなり心身に変調をきたした。
外出すると笑い声が悲鳴に聞こえたりして、治療を始めて買い物ができるまでに半年かかった。
AさんはPTSDと診断され、上司に報告すると叱責され、上層部にパワーハラスメントを訴えたが、上司からは公務災害は無いものと思えと言われた。
消防士のAさんによると、派遣された10人の同僚の半数がPTSDを患った。
全国消防職員協議会の調べでは、派遣された消防職員の5.1%がPTSDのリスクがあるというが、現役消防士は隠れPTSDもいると話した。
一方、被災3県を離れられない消防士はより深刻で、15.4%もの消防士がPTSDのリスクがあるという。
消防士のBさんは津波で自宅を失い、直属の上司も命を落とした。
Bさんは不眠不休で任務を遂行すると体に変調をきたしたが、現場では消防士失格の烙印を恐れて隠していた。
消防庁は早急な改善が必要だとしたが、全国消防職員協議会の迫大助前会長は申請を拒否する職場の体質があると話した。
元消防士のCさんは関東地方で消防士をしていたが、消防士になって2ヶ月で適応障害と診断されて退官した。
Cさんは別の市町村で消防士になったが、同じ体質だったため民間企業に転職した。』

という事実であったが、

その報道を見た私は、こういう職場や社会は、とてもおかしいと怒りさえ込み上げる。
健全な職場や社会であったなら、できるだけPTSD にならないように努めるべきであり、もしPTSD になったなら、そのことを職場で公表することに抵抗を感じない職場や社会にすべきであり、その対処も自己責任ではなくて、組織的にその消防士を積極的に支援すべきである。
と私は思っている。

そして、私の個人的な意見であるが、精神疾患に対する知識や理解が、まだ社会全体にあまり普及していないがために、そのような現状になっていると思っていて、よりいっそうの教育や啓蒙活動を行ってほしいと願っている。

搾取に怒(いか)る!

2013年09月28日 | 哲学・心の病
2012年時点での、ビル・ゲイツの総資産額は推定約5兆円と聞いて、怒りを感じるのは私だけだろうか。

もし、ビル・ゲイツ一人だけで働いて、それだけの資産を作ったらのなら仕方がないことだと、私は納得する。
しかし、常識的に考えて、人間が一人だけで働いて稼げる生涯収入は、数十億円が限界だ。

ではなぜ、ビル・ゲイツは約5兆円もの資産を作ることができたのか。
それは、たくさんの従業員から「搾取」しているからだと、私は怒(いか)る。
よく考えると、従業員だけではなく、消費者からも「搾取」していると、私は怒る。

株などの資産運用によって資産を増やしたのだろうという人もいるだろうが、そこにも、投資で損をした人からの「搾取」があると、私は怒る。

そして、「搾取」によって得た資産は、従業員や消費者に返すべきだと思っていて、「搾取」は犯罪だとも私は思っている。
その「搾取」を減らすために、法律を作って強制的に規制してほしいと、私は強く願っている。

自己評価と他者評価

2013年09月26日 | 哲学・心の病
うつ病の人の自己評価と他者評価を比べてみたら、ほぼ同じ評価であった。

一方、うつ病でない人の自己評価と他者評価を比べてみたら、自己評価の方が他者評価よりも高かった。

この調査が意味するところは、心が健康な人は「軽いそう状態」であるということである。
「軽いうつ状態」であったなら少しはそのことを意識して行動した方が良いとは思うが、心が健康な状態は「軽いそう状態」であることも少しはそのことを意識して行動した方が良いと思う。

冷静なときより少し気分が高揚していると感じたら、このことを思い出していただければ幸いだ。

出生前診断について

2013年09月26日 | 哲学・心の病
ある番組で出生前診断のドキュメンタリーを放送していた。

出生前診断で胎児がダウン症だと診断されたご夫婦は、数日間話し合った結果、苦渋の選択だったと思うが中絶することにした。
その理由は、生まれてくる子供をいつまでも面倒を見ることができないし、負担も大きいとのことだった。

もしも、ダウン症の子供を育てるのが普通の子供と同じ負担で、両親が亡くなった後もきちんと面倒を見てくれる社会であったならば、そのご夫婦はその子を産んだのだろうか?

またネットで調べたら、生まれてくる子供には少なくとも普通の人生を送ってほしいとの思いで、中絶した人もいるらしい。

いずれを選択したにせよ、生むか生まないかの選択をせまられた人は、人の生きる意味をも問われただろう。

そして、私だったらどうするか、深く考えさせられた番組だった。

遺族の気持ちとは?

2013年09月26日 | 哲学・心の病
ある日、友人が入院している祖父をたずねたら、「クリームパンが食べたい」と言われ、一階の売店で買って、彼は祖父に食べさせた。

そして、一口食べ終わったと同時に、静かに息をひきとった。
「クリームパンを食べてから死ねてよかったなぁ」と思いながら、彼はその食べかけのクリームパンをよく見たら、彼の祖父の食べあとは、残念ながらクリームまでとどいていなかった。

祖父がクリームパンを食べずにパンだけを食べて亡くなったことを、友人は今でも後悔している。

共依存とは?

2013年09月26日 | 哲学・心の病
共依存とは、人間関係そのものに依存するという依存症です。

共依存の人は、自分自身を大切にしたり自分自身の問題に向き合うよりも、身近な他人(配偶者、親族、恋人、友人)の問題ばかりに気を向けてその問題の後始末に夢中になります。
身近な人の取らなかった責任を一生懸命代わりにとり、結果、現在の困った状況を本人が決意して解決する必要を与えず、困った状況をそのまま続けるはめになる、ますます困った状況に陥っていく人達のことです。

アルコール依存症やギャンブル依存症、非行や暴力、買い物中毒、仕事中毒、絶えない人間関係のトラブルなどを抱えているため、共依存症の人の「共依存」という問題がクローズ・アップされることは滅多にありません。
けれども、そういった見た目に派手な依存症や問題を抱えている人達の側にかならずといっていいほどいると言われています。

共依存の人達が問題の後始末を一生懸命してくれるので、「困った人達本人」は「困った状況」が「なんだかんだ言ってもなんとかなる」と無意識で感じています。
このため問題を解決せずにほったらかしにし、悪化させます。

ここで誤解しないでいただきたいのは、身近な誰かが何かの依存症にはまっているのは、その本人に問題があるからです。
問題のない人は、依存症にはまりません。
共依存症者と他の依存症者が一緒にいると、2人とも依存症がエスカレートしやすくなりますが、共依存症者が側にいなくても、他の依存症者は依存症にハマっています。
「私が共依存症だから、相手がパチンコ依存症なんじゃないか」というのは間違いです。

共依存症者が側にいなければ、依存症者のエスカレートはゆるやかになるケースが多いと言われています。
それと同じように、依存症者が側にいなければ、共依存症者のエスカレートもゆるやかになります。

日本女性はとくに「我慢して尽くすこと」が美徳だとされているので、共依存者が多いといわれています。
ある程度までは「人間関係の潤滑油」ですが、共依存症者にとってその人生は他人の後始末、後始末、後始末で、他人の責任の代行ばかりで自分のための人生を生きることができません。
自分自身の人生もみじめですし、周囲もみじめなままになってしまいます。

物質と反物質

2013年09月25日 | 哲学・心の病
現在の宇宙物理学によると、宇宙は誕生直後とてつもない大量のエネルギーによって加熱され、超高温・超高密度の火の玉となった。
ビッグバンの始まりだ。
その中で、光(光子)を含む大量の素粒子が生また。
素粒子にはふたつの種類がある。
ひとつが「粒子」で、もうひとつが粒子と反応すると光を出して消滅してしまう「反粒子」。
何らかの理由で、粒子よりも反粒子の方が10億個に1個ほど少なかったために、宇宙のごく初期に反粒子はすべて消滅し、わずかに残った粒子が現在の宇宙の物質のもととなった。

このことは、反粒子の方が10億個に1個ほど少なかったために私たちは存在しているのであって、その割合がそれ以上でもそれ以下でも、私たちは今のような姿で存在していないということである。

そのことを、偶然と見るか必然と見るか、はたまたどちらかわからないと見るか、その見方によってその人の世界観がかわるであろう。

続バカの壁

2013年09月25日 | 哲学・心の病
養老孟司氏は「バカの壁」で、「人間同士が理解しあうというのは根本的には不可能である。理解できない相手を、人は互いにバカだと思う。」と書いている。
彼が言っている「話せばわかるなんてのはウソだ」の意味は、話をしてすべてのことをわかってもらることは無理だということだ。

しかし、私は自分の意見をわかってもらえず反対する人がいると、口には出さないが相手のことをバカだと思うときがあるが、そのとき相手も私のことをバカだと思っていたとは知らなかった。
以後、気をつけたいと思う。

あと、「話せばわかる」のであれば戦争などは起きないという人もいるが、私はそうとは思っていない。
それは、話し合いが足りないせいで戦争が起きるのだと思う。
お互い納得するまで話し合えば、戦争を避けることができると思っている。
10年でも、100年でも粘り強く話し合えばいいのだ。

また、「バカの壁」は何を言っているのかわからない、理解するのに困る箇所が至るところに見受けられるが、それは、養老孟司氏が口述したのを、新潮社の編集部の人たちが文章化した本だったからでもある。
読み手の理解力不足なのではなくて、本自体が理解不能な表現だったのだ。

それに加えて、間違ったことを言っている箇所もかなりある。
養老孟司氏は本のなかで、一般に情報は日々刻々変化しつづけ、それを受けとめる人間の方は変化しないと思われているらしいが、これはあべこべの話で、それを受けとめる人間は日々刻々変化しているが、情報はちっともかわっていないと言って、次の例をあげている。

『学生には、君たちだってガンになることがある。
ガンになって治療法がなくてあと半年の命だよと言われることがある。
そうしたらあそこで咲いている桜が違って見えるだろうと話してみます。
そして、その桜が違ってみえた段階で、去年までどういう思いであの桜を見ていたか考えてみろ。
多分思い出せない。
では桜が変わったのか。
そうではない。
それは自分が変わったということに過ぎない。
知るというのはそういうことなのです。』

と言っているが、たしかに桜という情報は変わっていないが、自分がガンであるかどうかの情報は、ガンでないから、余命半年のガンであるに変化しているではないか。
情報も変化していて、自分も変化しているということではないか。

などなどであるが、この本を読み終わった後の、多くの人の感想は、常識的なことばかり書かれていて得るものがなく、つまらない本であったようである。

カウンセリング・マインド

2013年09月25日 | 哲学・心の病
〈元気のない人には、カウンセリング・マインドで接すること〉

「あなたの話が聞きたい」「あなたの気持ちを知りたい」という態度で相手に接することを、カウンセリング・マインドという。
説教やアドバイスは「私の話を聞きなさい」という態度で相手に接してしまう。
相手が心身ともに元気なら効果があるが、悩みや悲しみで弱っている人には、こうした言葉は届かない。

カウンセリング・マインドで大事なことは3つ。
1つめは「教えないこと」。
相手を助けたいと思うあまり、よかれと思う方法をどんどん伝えたくなる。すると、相手はあなたの話を聞かされるばかりで、心を開くことができない。

2つめは「簡単には理解しないこと」。
経験豊富な人ほど、話を少し聞いただけで、すべてをわかったつもりになってしまう。
その人の話はその人だけのもので、簡単にわかった気になってはいけない。

3つめは「相手のペースで話をさせること」。
まくしたてる人、ぽつりぽつりつぶやく人、泣きながら話す人もいるかもしれない。
どんな話し方でも受け入れることが大事。

たくさん話すほど、相手は話す前より心が軽くなり、希望もわいてくる。

人はなぜ泣くのか?

2013年09月24日 | 哲学・心の病
涙を流したら、泣いたあとで気分がすっきりした……。
誰でも一度は経験があるだろう。
これにはちゃんとしたわけがあった。

「涙ーー人はなぜ泣くのか」の著者であるアメリカのウィリアム・H・フレイ博士は、1985年に涙の研究で注目された。
博士の研究によると涙の種類は3つある。
(1)基礎分泌による涙、(2)刺激による涙、(3)感情による涙、そして基礎分泌による涙や刺激による涙と、感情による涙の成分には違いがあることを発表した。
博士は、タマネギを切ったときに出た涙と、映画に感動して出た涙を分析して成分の違いを比較した。
すると、映画に感動して出た涙、つまり感情による涙からはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が検出された。
このACTHはストレス反応として分泌されたホルモンなので、泣くことで体の外へ涙と一緒にストレスが出て行っているということになる。

これを検証するため東京女子医科大学では、涙を流す前と後での血液中のストレスホルモンの測定した。
すると、涙を流した後ではACTHが減少していたそうだ。
感情の涙を流すとストレスが去り、すっきりするというわけだ。

精神分析医のローエンは、著書「ナルシシズムという病い」のなかで次のようにいっている。

「泣くことすすり泣くことは、緊張を解放するいちばんの早道であり、もっとも深い方法である。体のなかに緊張状態を生み出すストレスは、泣くことによってことごとく発散させる必要がある。マッサージやエクササイズを通じて緊張の鎧を取り除くことができるが、もっとも深い効果を発揮するのはマッサージやエクササイズではなく、泣くという行為である。」

疲れたなぁ精神的にきついなぁと感じたら、ストレスを発散するために、感動する映画を観たり本を読んだりして、涙を流すと良いらしい。