哲学的な何か、あと心の病とか

『人生とは何か、考えるほどにわからない。というのは実は正確ではない。わからないということが、わかるのである。』池田晶子

人はなぜ泣くのか?

2013年09月24日 | 哲学・心の病
涙を流したら、泣いたあとで気分がすっきりした……。
誰でも一度は経験があるだろう。
これにはちゃんとしたわけがあった。

「涙ーー人はなぜ泣くのか」の著者であるアメリカのウィリアム・H・フレイ博士は、1985年に涙の研究で注目された。
博士の研究によると涙の種類は3つある。
(1)基礎分泌による涙、(2)刺激による涙、(3)感情による涙、そして基礎分泌による涙や刺激による涙と、感情による涙の成分には違いがあることを発表した。
博士は、タマネギを切ったときに出た涙と、映画に感動して出た涙を分析して成分の違いを比較した。
すると、映画に感動して出た涙、つまり感情による涙からはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が検出された。
このACTHはストレス反応として分泌されたホルモンなので、泣くことで体の外へ涙と一緒にストレスが出て行っているということになる。

これを検証するため東京女子医科大学では、涙を流す前と後での血液中のストレスホルモンの測定した。
すると、涙を流した後ではACTHが減少していたそうだ。
感情の涙を流すとストレスが去り、すっきりするというわけだ。

精神分析医のローエンは、著書「ナルシシズムという病い」のなかで次のようにいっている。

「泣くことすすり泣くことは、緊張を解放するいちばんの早道であり、もっとも深い方法である。体のなかに緊張状態を生み出すストレスは、泣くことによってことごとく発散させる必要がある。マッサージやエクササイズを通じて緊張の鎧を取り除くことができるが、もっとも深い効果を発揮するのはマッサージやエクササイズではなく、泣くという行為である。」

疲れたなぁ精神的にきついなぁと感じたら、ストレスを発散するために、感動する映画を観たり本を読んだりして、涙を流すと良いらしい。

ウィルス進化説とは?

2013年09月24日 | 哲学・心の病
『新・進化論が変わる――ゲノム時代にダーウィン進化論は生き残るか』という本に驚くべきことが書かれている。
進化の主役はウイルスで、ウイルスが種の壁を越えて遺伝子を運び、生物を進化させてきたというのだ。
ゲノム時代を迎え、この大胆な「ウイルス進化説」は、進化論の正統派・ダーウィン進化論を真正面から批判した今西錦司の今西進化論を科学的に証明・補強するものとして注目されている。

ウイルス進化説は三本の柱で支えられている。
一つ目は、ウイルスによる個体から個体への遺伝子の水平移動が起きること。
二つ目は、ウイルスによる遺伝子の水平移動は種の壁を越えて起きること。
そして、三つ目は、ウイルスは遺伝子を運ぶためのオルガネラ(細胞内小器官)だということだが、これが最も重要な柱である。
つまり、ウイルスは生物が進化するのに必要な遺伝子を運ぶ道具、遺伝子の運び屋だというのだ。
例えばキリンの首について、ダーウィン進化論では、遺伝子の突然変異によって従来のキリンよりも少しだけ首の長いキリンが生まれたとする。
このキリンは従来より高い所の葉を食べることができるようになり、従来のキリンより有利なので、生き残る確率が高くなる。
その生き残った少し首の長いキリンから、さらにもう少し長い首のキリンが突然変異で誕生し、そのキリンはさらに有利なので生き残る。
こうしたプロセスを繰り返すことで、現在の長い首を持つキリンになったと考える。
これに対し、ウイルス進化説では、首が長くなる遺伝子を持ったウイルスに感染したことで一気に首が長くなったと考えるのだ。

ダーウィン進化論は、当時、人々に衝撃を与えた大胆な仮説であった。
今西進化論もウイルス進化説も刺激的な仮説である。
ウイルス進化説は、生物に進化をもたらしたウイルスが見つかったわけではなく、今のところあくまでも仮説に過ぎない。