哲学的な何か、あと心の病とか

『人生とは何か、考えるほどにわからない。というのは実は正確ではない。わからないということが、わかるのである。』池田晶子

境界性人格障害の診断基準

2014年03月24日 | 哲学・心の病
DSM-IV-TRでは次の基準のうち5つ以上該当すると、「境界性人格障害」の疑いありとされています。

ただし、この基準は診断する人が違えば違う診断が下るような曖昧さを含んでいます。
そのためご自身で下す診断は絶対のものではないということを付け加えさせて下さい。
何かしらの症状をもっておられる方がご自身のことを振り返る場合、ともすると、重い症状に解釈しがちですので「参考」という視点は常に忘れないで下さい。
何度も言うようですが、これは絶対のものではありません。

(1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力

他者との別れや他者からの拒絶にあうと、見捨てられたと思って自分の中に大きな変化がおきます。
学校を卒業したり転職したりしたことによって、生活習慣が変わることでも同じような変化がおきます。
この変化は、感情や考え方、行動に現われるばかりでなく、「自分とはこういうものだ」と普段思っていること、つまり自己同一性にも混乱をきたします。
感情が不安定になることで、周囲の状況に非常に敏感になるわけです。
実際、何らかの時間的な制約があって別れなければならなかったり、何らかの理由で計画を変えなければならなくなったことに対しても、見捨てられる恐怖や不適切な怒りを覚えます。
カウンセリングを受けていて、カウンセラーから「今日はこのへんで」とカウンセリング時間の終了を告げられたり、また大切に思っている人との待ち合わせで相手が2~3分遅刻してきたときなどにも、パニック的に恐れや怒りが起こったりします。
これは「見捨てられる」ことが「自分が悪いことを意味している」と信じているからであり、この見捨てられ恐怖は、一人でいることに耐えられなかったり、誰か他人に一緒にいてもらいたいという欲求から生じるものです。
この世界の終わりを告げられるような耐えることのできない見捨てられ恐怖をできるだけ緩和させておくために、なりふりかまわない努力をしようとします。
その努力には、自傷行為や自殺行動なども含まれます。
なぜ、このような人たちが自傷や自殺を繰り返すのか、それはこの見捨てられ恐怖にあるのです。


(2)理想化とこき下ろしの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人様式

自分が気に入った人に対して、たった1~2回あっただけで自分の面倒を見てくれる人とみなし、自分を愛してくれる人として理想化します。
そして長い時間一緒に過ごすように要求し、まだ会ったばかりなのに、自分の個人的なことを非常に詳しく分かち合おうとします。
このような人たちは他人に共感したり世話をしたりはできますが、それは相手が「そこにいて」お返しに自分の求める欲求を満たしてくれることを期待しているからです。
しかし、このような人は、理想化からこき下ろしへすばやく態度を豹変させ、自分の面倒を見てくれない、十分にものを与えてくれない、自分と一緒にずっと「そこに」居てくれない、と感じてしまいます。
他人に対する見方を突然に、しかも極端に変化させ、他人に対しては、有益な援助をしてくれる人いう見方と、残酷な罰を与える人という見方が、いれかわり立ち代り出てきて、それによって混乱が自分の中に生じますが、自分ではその混乱は気づいていません。
このような変化は、いったん理想化した相手はいずれ自分を拒絶して見捨るだろうという幻滅を自分で作り上げてしまうために起きるものです。


(3)同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感

自分の目標や価値観、志望する職業、仲良くしている友人のタイプなどが急に変わることで自己像が劇的に急変します。
目標を達成する寸前でそれを放棄したりもします。
自己像とは自分の特徴を代表する雰囲気のようなものですが、この自己像が急変するということは、自分自身でも感じますし、周囲の人にも歴然とわかります。
こうした人たちは、助けを求める者だったのにその役割も突然に変えて、過去に経験した虐待に対して「正義の報復」を始めることもあります。
このような急変する自己像は、自分がまったく存在しない、空虚な感じを持つこともあります。
このような自己像の急変は、意味ある対人関係や支持を得られなくなったと感じる状況で起こってきます。
このような急変する自己像を持つために、自由にやれる仕事や学校などの環境に接すると作業能率が落ちる傾向にあります。
ある程度、枠がしっかりした現場での仕事を得意とします。


(4) 自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの
(例:消費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)

賭博(とばく)、無責任な金銭消費、むちゃ食い、物質乱用、危険な性行為、無謀運転などをしがちです。
自傷行為は、その致死性によって、高、中、低と3段階に分けることができ、それぞれに直接的あるいは間接的な行為がカテゴライズされています。
致死性が高いとは自殺のことをいい、中程度とは繰り返される自殺企図あるいは重大な自傷、低程度は軽い自傷のことをいいます。
直接的というのは、自分を傷つける行為が即座に身体に損傷を与える行為の場合で、間接的というのは、身体損傷が即時的なものではなく、その害が蓄積することで生じる行為をいいます。
高い致死性をもつ直接的なものは自殺あるいは繰り返しの自殺のことで、間接的なものは状況的危険行動、高度に危険なスタント、程度の重い拒食症などです。
車が往来する道路へ飛び出したり、高いビルの屋上の縁を歩いたりすることも高い致死性をもつ行為と判断されるわけです。
そして注意してほしいのは拒食症もここに入るということです。
拒食症は、それほど危機感をもたれることは少ないかもしれません。
しかし、その実態は、死と裏表にあるということは認識しておいて下さい。
一方、危険なスタントについては、別の見方もできます。
これはスリルを求める心性でもあり、それは個人の進歩を導く原動力にもなるかもしれないエネルギーを秘めています。
ですから、いちがいに自傷の分類に入れることはできません。
カウンセリングではその見極めも必要になってきます。
中程度の致死性をもつ直接的なものは重大な自傷であり、間接的なものは急性アルコール中毒や性的危険行動などです。
よく知らない人と性行為をしたりすることもここに入ります。
低い致死性をもつ直接的なものは一般的な軽い自傷であり、間接的なものは慢性的な物質乱用(覚せい剤や薬の乱用)、過食症、治療のために服薬している行為を自分の意志で中断することなどが入ります。
この分類をみると摂食障害(拒食、過食)は自殺・自傷の一種と考えられ、適切な対応が必要な障害なのです。
一歩間違えば、大切な命を落としかねない障害なのです。


(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し

境界性人格障害をもつ人の8%~10%は実際に自殺をしてしまいます。
またその数倍の人が自殺企図や自傷行為(リストカットや熱傷など)をします。
繰り返えされる自殺企図は、その人が助けを求めているということの裏返しです。
これらの自己破壊行動は、別離の脅威、拒絶、または自分の責任が増えるかもしれないと予感する事態に遭遇することで起きてきます。
また自傷は、自分の意識が自分という身体から遠ざかって感じられる解離性の体験の間に起きます。
自分が自分でないような離人感覚のときに自傷が起きます。
そして自傷して流れ落ちる血をみたり痛みを感じることで、「自分で感じている」という能力を再確認したり、自分が悪いという持続的な感覚から抜け出すことができると、自傷行為は治まっていきます。
自傷をすることで、自分のコントロール感を取り戻すのです。


(6)顕著な気分反応性による感情不安定
(例:通常2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれである、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、又は不安)

この障害をもつ人の基本的な不快感は、主に、怒りやパニック的な出来事によって発生します。
健康的な生活をする、あるいは満足する体験をすることによって和らぐことはありません。
パニックを発症する出来事とは、対人関係でストレスを感じる出来事で、その出来事に極端に反応することでパニックが発症します。


(7)慢性的な空虚感

何をするにも飽きっぽく、いつも何かすることを探しています。
また、何かしていても目的を達成する直前でそれを簡単に放棄してしまうことがあります。
この飽きっぽさが慢性的な空虚感です。


(8)不適切で激しい怒り、又は怒りの制御が困難
(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)

この障害をもつ人は、ひどく辛らつないやみを言い続け、また爆発的に激しい言葉を吐いたりもします。
世話を焼いてくれる人や愛してくれる人が、冷たい、何も与えてくれない、世話をしてくれない、自分を見捨てた、と思うと、怒りが呼び起こされます。
怒りを表現した後は、恥ずかしさや罪悪感を感じ、自分が悪いという気持ちが沸いてきます。


(9)一過性のストレスに関連した妄想的観念または重篤な解離症状

これらの症状は、現実あるいは想像上で、見捨てられることへの反応として起きてきます。
妄想にとらわれたり、自分が自分として感じられなくなったり、幻覚や幻聴を聞く場合もあります。
この症状は一過性のもので、数分から数時間持続します。
世話をしてくれる人が現実に世話をしてくれたり、またはそのように感じたとき、これらの症状はなくなります。

マインド・コントロール

2014年03月16日 | 哲学・心の病
宗教を信じることで、人生がより充実したものになることはいいことかもしれません。
しかし、破壊的カルトと呼ばれる、反社会的な活動を行う宗教組織には注意が必要です。
破壊的カルトでは、マインド・コントロールが行われることがあります。

心に孤独や心配を抱える人や、現実社会に強い不満や不合理を感じている人などは、つけ込まれやすいので注意を。
「自分は絶対に大丈夫」と高をくくるのも危険です。
なお、いったんマインド・コントロールが完成すると、その後、離脱して本来の自分に戻るには長い時間が必要です。

マインド・コントロールする方法は、

・行動をコントロールする
命令に従えば、大きな賞賛を与える。従わなければ、強い罰を与える。また、布教活動の時間、住む場所、寝る時間、誰とつき合うか、など、行動を細部まで指示し、自由を与えない。

・思想をコントロールする
組織のリーダーだけが真理を知っているとし、それを徹底的にたたき込む。

・感情をコントロールする
強い恐怖と不安を与える。ハルマゲドンが来て、信じる者だけが救われる、もし命令に反したり、脱会した場合は恐ろしい罰が待っている、など。

・情報をコントロールする
組織に対する批判的な情報に接することを禁じる。その組織に対抗する内容の本や脱会者の文書、マスコミの記事、など。


さらに、「洗脳」では暴力的に人の心を壊してしまいますが、その方法は、

・眠らせない
睡眠時間が少ない状態になると、意識がもうろうとして、正しい判断ができなくなる。

・時間を自由にさせない
次から次に指示を受け続けていると、落ち着いて考えることができなくなる。

・食べさせない
飢餓状態になると、思考能力が低下し、暗示にかかりやすくなる。

・感覚を遮断する
周囲と隔絶された部屋に入れる、など。五感を封じられると、暗示にかかりやすくなる。

・薬物を使用する
幻覚剤や覚醒剤などの薬物により、意識レベルを低下させる。

人格障害の治療法

2014年03月11日 | 哲学・心の病
人格障害(パーソナリティ障害)の治療法について、知らない方が多いのではないでしょうか。
そこで、学びのきっかけになればと思い、今回は、それについてのQ&Aを紹介させて頂きます。

【質問】

『インターネットで調べてみて自分は自己愛性人格障害だと思うのですが、治療法としてはどんなものがありますか?
大切な人をこれ以上傷つけたくないし、傷つけてしまう自分が本当に嫌なんです。
よろしくお願いします。』


【ベストアンサー】

『精神科医です。
自己愛性人格障害の治療としては、対症療法的な薬物療法と、精神療法(心理療法)が行われます。

精神療法としては、最近はもっぱらカウンセリングよりももっと介入的な、認知行動療法が適用されること多いですね。
相談者さんのように、ご自分でご自分の問題に気づかれていて、こうしたサイトにご質問を投稿されるくらいの治療意欲とインテリジェンスがある患者さんは認知行動療法の良い適応だと思います。

具体的にはある体系化された方法で日記を書き、それを元に臨床心理士とともに患者さんの認知(外界の認識の仕方)の歪みを特定してそれを矯正していく方法です。

認知行動療法を行う専門的な施設を受診する必要がありますが、独習も可能です。
ご自身の悩みを解決するために、この治療法に取り組むことを強くお勧め致します。』


そして、実際に精神療法を受けて改善した方のコメントもありましたが、それは、

『私も人格障害(感情の起伏の激しさ、やつあたりで暴力)だった者です。
今は大体穏やかでほんわかした状態です。
周囲も初め一時的と思ってたようですが、今はその変化を驚きつつ、認めてくれてます。』

ということでした。

ただし、ネット上にも私と同じ意見がありましたが、それは、精神療法を受けた人格障害者のすべてが改善するとは限らないということで、現在の医療では改善しない人格障害者もいるということです。

佐村河内氏はパーソナリティ障害か?

2014年03月10日 | 哲学・心の病
私は、ゴーストライターで有名になった佐村河内(さむらごうち)氏は、何らかのパーソナリティ障害ではないかと思っていますが、同じように思っている方のQ&Aがありましたので、それを紹介したいと思います。
それは、

【質問】

『最近話題の佐村河内氏は、自己愛性パーソナリティ障害の兆候があるように思いますがどう思いますか。』


【ベストアンサー】

『私もそう思います。
事件があって初めてこの人のことを知ったのですが、ワイドショーを見ているうちに自己愛性パーソナリティ障害を疑うようになりました。
私と同じことを考えている人がいて驚いています。
報道による彼の言動を見ると、診断基準に当てはまりすぎて怖いです。

・対人関係で相手を不当に利用、つまり自身の目的を達成するために他人を利用➡義手の少女バイオリニストに執着、および金銭的な不当な要求
・自分の期待に従うことを理由なく期待➡マインドコントロール
・過剰な賞賛を求める➡「Bzより上にいます」というメールを一斉送信
・業績がないのにもかかわらず、優れていると認められることを期待➡自身に作曲能力がないのにもかかわらず、上記のようなメール
・非現実的な目標➡演劇部俳優志望からの天才クラシック音楽家へ
・誇大性、虚言癖➡NHKスペシャルでの行動、発言

「10歳でバッハを弾きこなし、大人数相手に喧嘩して勝った」「石原軍団の専務が親戚」という発言、まだまだ出てくると思います。
今後の報道に注目です。』


以上がその内容ですが、私は、「普通でない人」を見かけたら、まずは何らかのパーソナリティ障害ではないかと疑っています。

オリンピックの意義

2014年03月09日 | 哲学・心の病
(パラリンピックの報道に喚起されて、この記事を書きました。)

私の想いと同じ方の記事がありましたので、それを紹介させて頂きます。

『第4回ロンドンオリンピック(1908)の陸上競技では、アメリカとイギリスとの対立が絶え間なく起こり、両国民の感情のもつれは収拾できないほどに悪化していました。
その時に行われた教会のミサで、「このオリンピックで重要なことは、勝利することより、むしろ参加することであろう」というメッセージが語られました。
このメッセージを、当時のIOC会長のクーベルタンがとりあげ、次のように述べました。
「勝つことではなく、参加することに意義があるとは、至言である。人生において重要なことは、成功することではなく、努力することである。根本的なことは、征服したかどうかにあるのではなく、よく戦ったかどうかにある。」

オリンピックには、「より速く、より高く、より強く」という言葉もありますから、「参加することに意義がある」と言う言葉は、弱くてもいい、負けてもいいという意味ではないでしょう。
しかし、ただ勝てばいいというわけではありません。
参加し、そしてひたすらに、純粋に、勝つために正しく努力することに意義があると言えばよいでしょうか。』


以上がその記事ですが、私の想いと同じところは、

「人生において重要なことは、努力することである。」であり、そして、

「オリンピックにおいても努力することは重要であるが、それは単に努力することが重要なのではなくて、勝つために正しく努力することが重要なのである。」

ということです。

新たなうつ病治療法

2014年03月03日 | 哲学・心の病
(既存の治療法では改善が見られなかったケースへの新たな治療法)

1.DBS

「扁桃体」の活動がうつ病の原因だとわかり、ドイツのボン大学病院では、2012年12月、うつ病患者の頭に穴を開け、電極を埋め込む「脳深部刺激(DBS)」という手術を行った。
脳の奥深くに電極を埋め込んで電流を流し、扁桃体などを刺激することで脳の働きを正常化し症状を抑えようとするもので、スヴェン・ウェルナーさん(36)は、以前は家族との会話さえ困難だったが、劇的に回復し息子さんと遊べるようになった。


2.TLC

また、分け隔てのない仲間との結びつきを治療に応用した「TLC」と呼ばれる生活改善法も注目されている。
TLCでは、スタッフとの信頼関係を築き、地域活動に参加するなど、社会的な結びつきを強めることを重視した活動を行っている。
さらに、「定期的な運動」や「生活習慣の改善」にも取り組んでいる。

「運動」は、ストレスによって萎縮した脳の神経細胞を再生させる働きが。
昼間に太陽の光を浴び、夜にはしっかり眠るという「規則正しい生活」には、ストレスホルモンの分泌を正常に戻す効果が。
狩猟採集時代の暮らしを取り入れた、この治療を行った結果、100人のうち70人に改善が見られた。