モシュレス編集 「メドードの中のメドート」より ショパン「3つの新しい練習曲」(*注)+タランテラ (コルトー)
成立年代 3つの新しい練習曲 1839年 タランテラ 1841年
時代区分 初期ロマン
形式 練習曲 タランテラ
形態 ピアノソロ
ピアノ難易度 中級上・上級・上級中
楽譜入手 ショパンエチュード集(作品番号はないので、作品番号が付いているものには収録されていない)
アレンジ ゴドフスキーのショパンのエチュードによる51の練習曲集
モシュレスが編集した練習曲集からショパンの3つの新しい練習曲です。この3曲の練習曲はほかの24曲に比べると比較的楽にひきやすいのですが、曲の性格を捉えてもリズムをつかんでも演奏するときに一瞬でも迷いがあれば突然引けなくなってしまうような曲ばかりです。そういう点ではショパンらしいといえばショパンらしいですが、他の曲に比べるとかなりマイナーな部分は否めませんので、やはりそうそう聞かれる機会がない曲だと思います。なお一緒に入っているタランテラですが、3つの新しい練習曲とは関係がありません。
1839年にモシェレスと親しい作曲家に依頼して書いてもらった練習曲を、モシュレスとフェティスがまとめたものとして出版されました。ショパンの新しいエチュードが目立ちますが、リスト、フェリックス、タールベルグ、ヘラーなどの作曲家の作品も収録されていますし、モシェレスも2曲入っています。ただショパンの3曲のインパクトが強いことと、リストの曲はのちに2版として「怒りを込めて」という曲になったこともあり、マイナーな部類に入ってしまいます。それ故にモシェレス自身もこの中では埋もれてしまうことになってしまいます。
一緒に曲集をまとめたフェティスですが、作曲というよりも論評の方での功績が認められている人です。リストが支持をしている同世代の二人、ベルリオーズとワーグナーに対する批判というのは強烈で、ベルリオーズの代表作である「幻想交響曲」に対しては、「音を積み重ねただけ」という批判をしています。彼自身の考えとしては音楽というのは時代と共に変化をしていくもので、それに条件が加わったり環境というのがアレンジされていくものだという考えでいました。それゆえに彼自身は当時の潮流とは離れたところにいたのですが、ヨーロッパはもちろんそれ以外の地域の音楽を研究しようとした、彼の研究がそのまま民族音楽学という一分野を創り上げるきっかけになります。時代と共に音楽も作曲も変わっていくということを考えると、ロマンがという時代はイタリア・フランス・ドイツなどを中心とした音楽に関する行き詰まりというのが、徐々に見え出してきた時期でもあるような気がします。
(*注)演奏の順番は1番→3番→2番の順です。これはフランス版の初版・2版の楽譜では2番と3番の順番が入れかわっていたため。コルトーは古い楽譜を手に入れることのできた立場にいたためこうなっている。
次回はモシェレスの二回目。