世界のはずれから勝手に叫んでみる男の日記・var2

このページは大量の誤字脱字の提供でお送りしています。orz

28曲目

2011年06月30日 | クラシック

 ボッケリーニ メヌエット (弦楽5重奏より・演奏者不明)

 

 成立年代

 時代区分 古典

 形式 メヌエット

 形態 弦楽5重奏

 アレンジ たくさん(ピアノソロだけでも2種類)

 古典派の一員でありながら、中心線からは外れたところにいるせいで正当な評価を受けられなかったボッケリーニの代表作であるメヌエットです。古典派のメンバーの活躍の場所はドイツ・イタリア・フランスそしてウィーンなどが中心でクレメンティのイギリスとかが引っかかってくるのですが、イタリア生まれのボッケリーニがいた場所はスペイン。そのため他の地域の影響をうけることがなく、独自の表現を追求できたのですが、かえってそれが評価の面では大きな影を落としていってしまいます。

 古典派といえば真っ先に思い浮かぶのはハイドン・モーツアルト・ベートーヴェンでそれ以外の古典派の作曲家はマイナーどころかそれ以下の扱いでしたから、彼のように一曲でも当たった曲があったとしてもその価値が認められていませんでした。最近になってその価値が認め出されてきたわけで、この人もその一人だと言えます。スペインでは皇太子の作曲家になったほどで、チェロの腕前も超一流。作風からはハイドンの妻と呼ばれるほど優雅さを持っていた物の、当のスペイン王族からはさほどの評価を得られず晩年はそこを解雇された故に貧困に苦しむことになります。

 その作風は言ってしまえば「後ろ向きにも見えるし、100年生まれるのも早かった」ともいえるような人です。優雅さという点では古典派やバロック時代を感じさせるのですが、作風の中にはロマン派やその後の国民楽派を思い出させるような曲もあり、さらにスペイン特有の風も取り入れた作品もあります。これはボッケリーニがこれらの音楽の中心地から離れていたことからその影響を余り受けないで曲を作れたという強さがありました。しかも彼最大の功績は室内楽の形成。作曲を始めた初期には完成されていたこともあり、ハイドンを質・量共に圧倒をしていました。この曲もその中の一曲で、優雅さを感じさせます。

 このときの世界情勢の一つとして王族・市民問わず多産傾向にありました。バッハの場合は20人、モーツアルトの兄弟でも7人いましたし、このボッケリーニとトラブルを起こしたカルロス4世とて14人の子どもがいました。しかしそれだけの子どもを生まれながら成人まで生きたというのは半分以下ぐらいのケースしかありませんでした。モーツアルトに至っては姉と自分の二人だけしか成人をしていません。これは当時の衛生の状況と医療の状況が大きく関わっていて、出産自体が文字通り命がけだったこと。さらに、子供が産めても育てられる環境に問題があったとことなどがあげられます。そのため成人する前に病気にかかって死んでしまうなんてことがよくあったそうです。今では逆に中国が一人っ子政策(元と言えば毛沢東の政策のせい)をしているように人口が増えすぎたために、エネルギー問題とかが起きていますが300年前は逆に人口をいかにして増やすかと言うことが問題になっていたような時期でした。

 次回はスペインつながりで時計を少し巻き戻します。紹介しそびれたスカルラッティ。


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休み変更と通常更新

2011年06月29日 | 世の中あれこれ

 本来なら今日は更新しない予定でしたが、更新休みの日が増えたので、そのお知らせついでにたまった分も一緒にしてしまいたいと思います。(ただし企画の方は予定通り)

 休みの方は

 7/3(日) 通常更新更新休み

 に変更をします。月曜日の準備で更新している余裕がなくなったのがその理由です。ご了承願います。 


 ネクロマンサーがいるのか、それともブーメラン自身がリッチになりそこねの、ゾンビなのか>ブーメランの人事改革。R4(前・消費者担当大臣)が格下げになり、新しく数人が任命に。さらに自民から一人抜いたことを考えると、ブーメランはもちろんそれを進言したとされる新・政務官に対する風当たりはとんでもないことになりそう。昔からそうなのだが、ブーメランが動くとうまくいきそうなものもすぐにうまくいかなくなるわけで、本来であればトップに居る器ではないのは明白だったのだが、民主党の極端すぎる人材不足がこの状況を許してしまった感がある。次のトップに前掛け(前・外務大臣)の名前が上がっているが、メール問題から成長の兆しが全く無く、さらにそのメール問題の中心人物を政治的に殺してしまったことから、本来ならとっくのとうに国会議員の資格はない状態。そういう意味では残る総理候補は有名無名を入れても数人しかいないような気がする。民主党は最初から言われていたことの解決ができないまま袋小路に入り込んだカンジがするのだが、それ以上にブーメランの悪あがきのせいで目立たた無くなっているのが余計な問題に……


 これが比例だったら議員辞職レベルだし>ブーメランがやらかした自民からの議員引きぬきが大きな波紋を呼んでいる。おそらくこの議員は自民党を追放されるのはほぼ確定的だし、もっと言えばこれでブーメランがやめるための3か条に関して、自民党からの協力を取り付けるのはほぼ不可能になってしまった。ブーメランのゾンビ化計画の一つだとしたら、ブーメランはしたり顔をしたのだろうけど、ただでさえ下がり気味の世論(笑)の支持率が余計に下がるのは明白だし、さらには今回入るだけでイメージが悪くなるあの人が関わっているだけに一気にデットゾーンに突入する可能性も。抜かれて言った議員は選挙区出身なのでしょうもないにせよ、本来であれば議員辞職するレベルの問題。ブーメラン自身の延命が目的だというのも見え隠れする上に、被災の問題があるので自民党のそっちだけに集中ができない。(ただしモンスター被災者に関してはそろそろ見放してもいい頃だが)鳩時計や小沢、それに国民新党の党首と一緒に消えてもらう時期に来ているのだが、本人に聖水を降りかける僧侶がいないのが最大の問題なんだよなあ……


 電力会社の電力を貰っている段階で、その資格すらない件>各電力会社の株主総会にプロ市民がこれでもかと湧いている件。毎年のようにある光景なのだが、今年は例の事故のせいで注目をあびることに。なので、パフォーマンスそのものにも力が入っている模様だが、どう転んでもそれ以上は全くないという状態。むしろ普通にやっている人の妨害以外なんでもないと思うのだが。

 そこまで言うのなら、自分達だけで数年間(1年にしようと思ったが、1年じゃまともなデーターが取れないから、数年必要になる。データーの分析をしたりすると10年ぐらい掛かるか)電力会社から電気を借りずに生活して欲しい。もちろん電気は自家発電であって、余程のことがない限り発電機によるものも禁止。さらに電力会社に電力を売らない。それができてから初めてそういう文句が言えるわけで、都合のいいことしか言わないのは、ある意味典型的プロ市民としての自己紹介といってもいいような。もっともプロ市民の成れの果てがブーメランじゃあ、これからもっと冷たい(もしくは生暖かい)視線を浴び続ける可能性だってあるというのに。言うだけなら誰でもできるけど、とにかくやってみろと。完全自給自足だってかなりの問題があるというのに。  


 鶏口牛後が通じるのは情報が拡散されない時期であって、今では通じないケース>ここから。内容は凄惨すぎるので省略。かいつまむとよくある嫉妬の話なのだが、その嫉妬が行き過ぎるとそれが因果応報になって一気に帰ってくるという話。同じような話として、こういうのも(「子どもを守るために義理の弟を貶めようとしたら、その子供から絶縁を食らったでござる」の巻)あった。過剰な嫉妬自滅の最初なんてことが泥・セコケチなんかに多く報告されているし、その代償がどういう事を招くのなんか因果応報スレを見ていれば分かってくる。親の行動が子供に対して跳ね返ってくるなんていうのもこういう話。最初の報告人の件で最大に不幸だったのは、親が超毒親に変化していたことと、そのための因果応報(入院を勧められるほどだし)を受けていること。両方共、報告した人にはこれからマイナスの因果が降りかかってこないことを祈りたいし、元になった自称身内は自分のしでかした意味がわかった段階が遅すぎるわけで。親の因果が子供に回るとは言うけれど、本来であればそれは本人に直接掛かってくるわけで子供に振りかかるというのは「神様それは、違うんちゃう」というかんじがするのだが。どっちにしてもこの二つのケースは親によって子どもが壊されるという悲しいケースだが。


 海外移籍が目立つ一方で>アルゼンチン。リバープレートがとうとうトップリーグから落ちてしまう。いろいろ原因(主力が固定しない。すぐに選手をうってしまう。フロント・監督・選手・サポ-ターの関係がずたずた)はあるのだが、なるべくしてなったという声も。選手補強がうまくいっていない上に、監督との意思疎通がとれていない状況。さらに選手に漂う無気力感に若手をすぐに打ってしまうほど厳しい経営状況。プレーオフで証明されたようにサポの暴走と超がつくほどのDQN行為とくれば、いずれ落ちるのは当たり前という状況に。打てる手を打てなかったというのもあるが、さらに言ってしまえば昔のように成り上がりになりたければボカとかリーベルを経由しないでもいけてしまう状況だし、バカサポ大量にがいる段階でそのクラブに行きたくない選手だって出てくるはず。メッシのようにいきなり一足飛びというケースも有効になりつつあるだけに、抜本的なことがない限り埋没し続けるような気がする。アメリカでは同じようにバカ夫婦のせいで、ドジャーズが売却されるようだし。


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27曲目

2011年06月26日 | クラシック

 モーツアルト(3回目)

 ピアノソナタ K280 (内田光子)

 第1楽章

 

 第2楽章 

 

 第3楽章

 

 成立年代 1775年

 時代区分 古典

 形式 ピアノソナタ

 形態 ピアノソロ

 楽譜入手 ソナタアルバム2・モーツアルトソナタアルバム

 ピアノ難易度 中級中・中級上・上級

 アレンジ オーボエ5重奏

 長調のソナタでありながら2楽章目に重い曲を配置して、3楽章では逆にこれでもかというぐらい軽い曲を置くというモーツアルトらしいソナタです。自分の曲の上演の時に偶然ピアノの原型であるピアノフォルテに出会い、その表現力の豊かさに感心を持ったモーツアルトが一気に6曲のソナタを書き上げたました。モーツアルトの初期のソナタ6曲は特定の人間のために書かれたソナタであることから、その人の名前をとって「デュニニッツ・ソナタ」と名付けられています。

 モーツアルトは小さい時に父親に連れられてヨーロッパの各地を転々としています。天才と称されたモーツアルトを引き連れての旅でしたが、実際のところは父親の就職活動そのものでしたが、沢山のエピソードを残しながらも結局は全て失敗に終わってしまいます。ただこの時にうけた音楽の教育がモーツアルトに大きな影響として残っているので、父親レオポルトは1教育者としては間違っていなかったともいます。(実際ヴァイオリンの教育書は世界中でヒットしている)ただこの後がまずかった。モーツアルトと上司(関係で言えば、コンピューター的な考えをしない官僚と暴発をしやすい部下という関係か)との仲が折り合わず、モーツアルトはザルツブルグを飛び出してしまいます。この2年前に作曲されたのがこのソナタです。

 モーツアルトといえば早熟の天才というイメージがあります。3歳でチェンバロを弾いて5歳にはすでに最初の曲としてアンダンテを作曲したと言われています。その前に実は作曲をしていたのですが、姉ナンネルが記念に切り取った(元々はナンネルのためにレオポルトが編纂した学習帳をモーツアルトにも使った。その中にモーツアルトが書き込んだものを切り取った)ため、存在がありながらも忘れ去られたという曲がありました。その楽譜が発見されたのは1954年ロンドン。メモから5歳3ヶ月という時期に作曲されたと書かれていることから、最初に作曲されたとされるアンダンテよりも前に書かれたものだということになっています。

 どの作曲家でもそうなのですが、やはりどうしても合わないとかの理由で没になってしまうという曲の構想というのが多くあります。中には構想を持ち曲の概要でも出来て後は楽譜上に起こすだけという状況で、自分が無くなってしまい未完成になってしまうということもありました。モーつアルのピアノソナタ(ソロ)もそのひとつで完成している曲は「18」あるのですが、断片しか残っていなかったり、噴出してしまったもの、さらにが偽作判定のものも合わせると「12」あったのではないのかというものがあります。(偽作以外にも他人の作品だったという判定もひとつあり)時代が遡るにつれやはり資料とかもありませんので、どうしてもこう言うのが多くなってしまいますが、もし完成したらどうなるのかという興味があります。その興味を具体がしたのが「レクイエム」だったりします。逆にどうして作品を止めてしまったのかという代表格としてシューベルトの「未完成」があげれられます。(2楽章まで。3楽章は冒頭部とピアノスケッチが残っている)

 次回はポッケリーニ。活躍した場所故に時代に埋もれた作曲家の一人。


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26曲目

2011年06月25日 | クラシック

 クーラウ ソナチネOp20-1 (アレンジヴァージョン・演奏者は確認できず)

  

 成立年代 確認できず

 時代区分 古典

 形式 ピアノソナチネ

 形態 ピアノソロ

 楽譜入手 ソナチネアルバム1

 ピアノ難易度 初級中・初級上

 アレンジ これ。IMSLPにはなし

 クーラウのソナチネハ長調です。クーラウという人物を知らなくともこの曲を聞いたという人は結構いるかも知れません。ソナチネアルバムの1番を飾るこの曲は至る所で研究をされ、また多数の人にひかれている曲です。ソナチネアルバム1巻と2巻合わせて10曲も収録をされていて、別な作品番号であるOp55のソナチネは2巻も買わないと揃わないようになっています。全音版には最初のソナチネアルバムには収録されていないメンデルスゾーンの曲が入っていたりと、楽譜を出版している会社にとっては独自色を出しているところもあります。

 ちょうど時期が古典派からロマン派に移行しようとしていた時期なので、やはり彼の作品にもロマン派的要素は含まれています。ベートーヴェンから多いな影響を受け自身もフルートの曲を多く作曲していたことから「フルートのベートーヴェン」と呼ばれていました。スゥエーデンなど北欧に弟子を持っていて、さらにデンマーク語でのオペラなども作曲をしています。ただ彼自身はドイツの生まれ(そのためベートーヴェンの影響を受けたとも言えるが)で、井戸に落ちて片目を失明、病弱だった上に当時のヨーロッパはナポレオンによる戦争のまっただ中でしたので、それを避けるためにデンマークに移住しましたが、これが大当たりをします。宮廷内音楽家として採用されると、そこで生まれ持っていていた作曲の際を発揮。ピアノソナチネだけではなくフルートの音楽的地位を上げた人として、有名になっています。 

 たびたび登場するソナチネアルバム・ソナタアルバムですが、元々は同じ時期に作られました。それぞれ学習用としての感じが強いのですが、ソナチネアルバムの場合は程度に合わせて出来るようにいくつかの小品が混じっています。モーツアルトのロンド、ベートヴェンのロンド、シューベルトのソナタからの楽章、バッハの平均律の1巻のハ長調のプレリュード(ひくだけだったら誰でもできるけど、濁りやすいのでこの中ではやや難しめ)やインベイションの1番、シューマンからも「楽しい農夫」など数曲などが収録されています。進行具合に応じてやるものとなっていますが、そのままレパートリーとしても十分使えるような曲だと思います。ソナチネばかりに目が行く(本によってはそれしか入っていないのもある)のですがこういうサイドメニューみたいな曲にも手を伸ばしていきたいものです。

 次回はモーツアルトの3回目。ひとり挟んでヴェートーベンの3回目。それからバロックの枠で紹介し忘れたスカルラッティの順になりそう。


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25曲目

2011年06月24日 | クラシック

 急に用事がもう一個入ったので、来週からのこっちの本格始動の予定を変更。

 27(月)・28(火)・29(水)→更新なし(月・火に用事、水は移行作業)

 30(木)→28曲目だけの更新

 7/1(金)・2(土)・3(日)→通常更新

 4(月)・5(火)→更新休み

 6(水)→通常更新

 7(木)か8(金)のどっちかが更新休みの予定

 これを書いている段階でぐたぐたになっていますが、これでほぼ確定だと思います。余程のニュースが入ってきたら、緊急的に更新をするかもしれませんが、ひとまずこんな感じでいく予定です。

 


 

 

 ベートーヴェン その2

 ピアノソナタ 「月光」 (ウィルヘルム・ケンプ)

 第1楽章 (通称「月光の曲」)

 

 第2楽章

 

 第3楽章

 

 成立年代 1801年

 時代区分 古典

 形式 ピアノソナタ

 形態 ピアノソロ

 ピアノ難易度 中級上・上級・上級中

 楽譜入手 昨日とおなじ

 アレンジ IMSLPにはないが、管弦楽に編曲されたものがあり。

 参考 ショパン・幻想即興曲 (カツァリス)

 

 3大ソナタの中でも一番有名な第1楽章を持ち全音ピースでは堂々の1番というナンバーをもつ「月光」です。ソナタの基準とすれば大きくハズレてしまうアダージョの第1楽章(それゆえに本来は4楽章だったのでは説もある)。その第1楽章を受けづきながらも、軽い調子で展開されるスケルツォ。ベートーヴェンらしい強烈な激しさを持つ第3楽章で構成されています。元は幻想曲風ソナタとなっていてOp27の2つのソナタとして発表されたもの(月光は2番目)ですが、今ではこっちのほうが主に演奏されることが多いです。(なので、幻想曲風といえば月光ではなく前のソナタが該当する)

 ベートーヴェンといえば、作曲家としての大成功とは対照的に、人間関係には恵まれていなかったという印象が強いと思います。生涯独身、恋に関しては身分違いのせいか一つも成就せず、兄弟の仲もいいとは言えないし、彼自身の性格の問題なのか教えを受けた人間に関しては、一定の期間が終わると離れていく。(例外中の例外としてサリエリがいるが)そういう事を繰り返している上に、自身が人間関係に無頓着な上に、難聴の一件も合わさって結果的に人付き合いは避けていく傾向になったようです。もっとも彼自身変わり者の性格だったようで、博学なわりにはホームレスそのもののような格好でそこらじゅうをうろついて検挙されかかると言う話もあったようです。この性格をさらにパワーアップさせたのが後に双方ベートーヴェンを崇拝しながら、対立をして論争の中心に周辺をも巻き込んでいくワーグナーとブラームスなのですが。

 そんなベートーヴェンでも出来なかったこと。それは今でいうエチュードの作曲でした。全音からは一応教則本の一種として本が出ているのですが、本格的な練習のための曲というのはさほど有りません。すべての楽曲をやれば時代の技巧は全て身につくとは思いますが、それだと膨大な時間が必要になってくるので、有効な手段ではありません。そのためには自分のモテる技巧を張り巡らしたエチュードが必要になってくるのですが、結局彼の生存中には形にはなりませんでした。しかしそれを知っていたのは弟子のツェルニー。彼は師匠を越える多作な作曲だった=金銭的に困ることがなかったゆえに、研究を重ねる時間が多くありました。そのためこれからピアノを始める人から、超上級者まであらゆる段階を想定した練習曲を多く作曲をして世に出すことができました。このツェルニーからリストが出てきて、さらにそのリストから数多くの弟子が出てきて、その弟子の先から現代のピアニストが多数出てきています。

 参考にショパンの幻想即興曲を入れたというのは、ひとつの説として第3楽章をモチーフ(ほんの2小節程度)にしたのではないかと言われています。他にもモシェレスの幻想曲を真似したのではない(楽譜を見たが確かににている)のかと言われてもいますが真相は不明です。そういう状況故に彼は死後になったらこの楽譜は廃棄してくれと言っていたそうですが、その友人はその言葉を無視して改定した上(1960年代に入って自筆譜も発見された)で発刊してしまいます。皮肉にもこの曲がショパンの中では有名な曲の一つになってしまい、演奏される機会が多い作品の一つになってしまったのですが。

 次回はクーラウ。ピアノの作品が続きます。


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24曲目

2011年06月23日 | クラシック

 ベートーヴェン その1

 ソナタ 悲愴

 第1楽章 (フレディ・ケンプ)

 

 第2楽章 (バレンボイム)

 

 第3楽章 (クラウディオ・アラウ)

 

 成立年代 1798年

 時代区分 古典

 形式 ピアノソナタ

 形態 ピアノソロ

 楽譜入手 ソナタアルバム2・ドレミピースギャラリー「月光ソナタ」・全音「3大ソナタ」・各社ベートヴェン「ソナタアルバム」・どっかから出ていたかわからないがある作品集にも収録されていた

 ピアノ難易度 中級中・中級上・上級

 アレンジ 第2楽章のみオルガン・チェロ+ピアノ、これ以外にも多数ポップスにアレンジがある。

 重苦しい序奏から激しくそしてドラマチックな主題に変わる第1楽章、3大ソナタの中でも一番美しいとされるメロディーラインを持つ第2楽章、そしてあっさりとしていながらも時折見せる苦悩が印象的な第3楽章という流れで展開するソナタ悲愴です。「月光」「熱情」とあわせてベートーヴェンのソナタ全32曲の中でも有名ですので3大ソナタと言う人もいます。ベートーヴェン自身この曲だけは最初からタイトルの中に「悲愴」という言葉を入れていたので、そのまま曲自体が「悲愴」と名付けられました。

 この曲は全体的に古典派の範疇から外れるような印象があることから、ロマン派の入り口にある曲だという人もいます。時期的に行ってもまだロマンを代表する作曲家は生まれていない時代ですので、この曲の意味というのが大きくなってきています。古典派の作品でありながら感情をこれまでにむき出しにしてしまうような曲というのは明らかにロマン派の作品と言っても通じます。問題は解釈の方法ですが、機械的にひく場合もあれば感情むき出しにして引く人もいるわけでそのあたりの感じ方をどうするのかが問題になってくると思います。

 ベートーヴェンといえば人生の半分以上が耳が聞こえなくなる(づらくなる)という音楽家としては致命的な病を背負っています。ただしこの病気に関してはいろいろな話があるのですが、人の声は聞こえないのだが、弟子がピアノのミスをすると「違う」といったとされるエピソードからすると一定の高音に関しては聞こえていたのではないのかという話があります。自殺を敢行したこともありました。それでも第9などの大作を完成させるなど、ある意味作曲家としての執念を感じることができます。

 次回はベートーヴェンのその2。「熱情」「悲愴」と来れば……


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成れの果て

2011年06月22日 | 世の中あれこれ

 久しぶりのこっちでの通常更新。一応今月と来月の頭の更新予定のお知らせも兼ねて。

 来週の月曜・火曜・再来週ですが、用事が入りまして更新する時間がないので、更新の方をお休みさせていただきます。

 レームダック(イギリスの新聞から・死に体という意味)というよりも、ソンビとか延命治療を受けている白い巨塔の財前とかそんな感じにしか見えない>ブーメランが生き残りに必死になっている。退陣はもはや避けられない状況で、それでもゴネにゴネまくって50日程度だった国会の延長を無理やり70日まで伸ばす。一節には広島・長崎の式典で「脱原発宣言」をしたいという野望を持っているそうだが、そういう言葉を公式の場で発するとどういう意味になるのかは鳩時計で証明済み。むしろこれを英断として残すというよりも、震災対応で「村山>>>>(乗り越えられない壁)>>>>ブーメラン」という評価のほうが先に固まっている現状をどうにかしたほうがいいんだけど。自然エネルギー自体が復旧とか復興は関係の無い問題なんだし。復旧にせよ、復興にせよ遅れれば遅れるほどハードルは上がっていくし、優先をどこに持っていくかが違うんだよなあブーメランもその周辺も。今は被災者の生活を取り戻すほうが先なのに。(もっとひどい言葉で言えば、ブーメラン一人のせいで市民運動家(プロ市民は除く)に迷惑が掛かっているということが分かっていない。その手のタイプの特徴といえばそれまでなのだが)

 ただ覚えて欲しいのはブーメランのような政治家を生み出した原因は選ぶ自分にたちにもあるということ。なんとなく選んだでほおっておくというのは一番いけないことで常に何をやっているのかと見ることが必要で、だめだと感じたら投票行動を変えるということが必要になってくる。ここ数回の選挙はマスゴミの報道に踊らされてたムーブメントにおどらされてそのまんま投票に行ってしまうという人が多いし、本質を見てないでそのまま継続的に投票する人も多い。その代表格がブーメランであり、またアホ発言が前面に出てきた都知事であり、今自然エネルギーとか再生可能エネルギーで踊らされている人たちだったりする。昔TBSでやっていた「独裁者を生み出す」最初の一歩として社会的な問題を上げていたのだが、今の状況はニアゾフを生んだトルクメニスタン(国民の極度の政治的無関心)に似ている。昔から政治に興味を示していなかったツケを今になって支払っているそんな感じがするのだが。


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23曲目

2011年06月22日 | クラシック

 クレメンティ その2

 グラドゥス・アド・パルナッズムから51番から55番 (ダニエレ・ラヴァル)

 

 成立年代 1826年頃に発刊

 時代区分 古典

 形式 練習曲

 形態 ピアノソロ

 ピアノ難易度 中級中・中級上・上級

 楽譜入手 多分不可能(扱っているはずの楽譜出版社のホムペにも表示されず、山野楽器にもない)・IMSLPのみ。ついでに言えばこの5曲はタウジヒ編集版には1曲も収録されていない

 アレンジ なし

 クレメンティがその生涯をかけて書き続けた練習曲グラドゥス・アド・パルナッズムです。全100曲に及ぶ練習曲にはカノン・フーガ・二つの主題を持つフーガ・前奏曲・そして組み合わされた組曲など、たくさんの練習的要素が含まれていて、ショパンも生徒に技術的な練習曲としてこれを使っていたぐらいです。単なる技術の曲ではなく、ひとつの曲として向き合うのには最適な練習曲で演奏会なんかのレパートリーに持って行ってもいいような曲が含まれています。しかし100曲故にロマン派の中後期のピアニストからは凡長と切り捨てられ、今ではタウジヒが技術的に有効としてまとめた29曲が一般的に出回っている状態です。最近になって再評価がされてきて、ようやく全部の曲を収録したCDが出されるなど、時代を評価される曲にはなってきています。

 この51番から55番というのは5曲ワンセットの組曲で、1曲目と2曲目、3曲目と4曲目がひとつになるような形になっています。4曲目は2つの主題を持つフーガで、普通のフーガに比べると多少難しくはなっています。最後の5曲目はプレストになっていて、まだ速さがどういうものかというのが分かっていない人には、この曲を練習すればそれがどういうものなのかというが分かってくるという感じになっています。(実際は音符の都合上3番が一番早く感じるが、3番目はそれ+交差の練習曲も兼ねている)数曲ワンセットの組曲というのは、この曲集の特徴で、一つの曲して曲想とかを考える必要が出てきます。

 練習曲というと大きく分けると技術的なものと音楽的なものに分かれます。技術的なものはそのまんまの意味で音楽性をかなり犠牲にして、ひたすら技術の向上だけを目的にする曲のことで、引き終えたときには相当の技術が付いている反面、無味乾燥な曲を繰り返すということしなくてはいけません。ハノン・ブラームスの51の練習曲などがここに含まれます。一方それに音楽性を少し持たせたのがツェルニーであり、この曲集だったりします。さらに音楽性を持たせるとその音楽単体でレパートリーになるわけで、演奏会用練習曲として成立します。ショパン・リスト・バッハの主要な曲もここに入ってきます。ただしツェルニー50だって演奏会の題名に上がったほどですので、やはりひく人がどこまで極めたのかというのを考えるとよほど無味乾燥ではない限り練習曲とて演奏会の中の一極になるとは思います。

 練習曲を極めすぎてしまった代表格がリストなわけで、超絶技巧練習曲はそのひとつひとつは練習曲の延長線上で、求められる技巧は突き詰めて考えれば基本的な部分を発展させたものなのですが、それを極めてしまうととんでもないレベルになってしまうという典型です。特に改定前の第2版(第1版は12の練習曲として全音から楽譜が出ている)は、まだピアノが固まっていない頃もあってその名のとおり超絶技巧にふさわしい曲であり、しかも今のピアノでは演奏不可能と言われている曲があります。今よく弾かれている第3版でさえ、上級課程に入った段階だとまだ入り口にも立っていないという段階だと思います。極めるととんでもないレベルになってしまう。しかしその曲をひけた達成感というのは想像以上のものを感じる。それが練習曲の使命の一つだと思います。

 次回はベートーヴェン(3回予定)のその1


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22曲目

2011年06月21日 | クラシック

 クレメンティ ソナチネOp36-3 (サンドロ・バルディ)

 

 成立年代 1797ごろに発刊

 時代区分 古典

 形式 ピアノソナチネ

 形態 ピアノソロ

 ピアノ難易度 初級上・中級

 楽譜入手 ソナチネアルバム1・クレメンティ「ソナチネアルバム」

 アレンジ 2台の編曲版有り(IMSLPにはない)

 クレメンティのピアノソナチネです。ピアノ教師が使うテキストによっては、この段階でしか触ることがない人ですが、この人も実はショパンを本格的に触るのであれば外せない人のひとりになると思います。(理由は次回に)この曲は6連続でひとまとめになるソナチネ集の3番目に当たるもので、6つの曲自体が番号が上がるにつれ難しくなっているように設定されています。

 ソナチネというのは規模小さなソナタという意味で、基本的にな組み方に関してはソナタと一緒です。なので、ソナタの前の子供の練習曲として考えればこれ以上無いもの(ただし研究に関してはごく一部を除いて進んでいないのが現状)になっています。ただしアルカンやラヴェルのようにソナチネという形式をとりながら、中身は本来であれば子どもがひけないようなレベルの物に仕上がっている作品もありますし、サティの「官僚的なソナチネ」(中身はクレメンティに対する皮肉)のように3つの楽章が一気につながったような曲もあります。なので、一概に教育用途も言えないケースもあるのですが、この6曲に関しては最初から教育を意識して書かれているので、バイエルを終わらせた次の練習曲としてブルグミュラー25と併用と考える人もいると思います。(自分の場合はブルグミュラー25が終わった後だった)

 クレメンティの場合は作曲家としての顔よりも、販売人としての顔のほうが強いイメージがあります。彼自身が演奏家として相当の腕(モーツアルトには酷評されていたが、後にベートヴェンはピアノソナタに関してはモーツアルトよりも上と絶賛されている)を持ちながらも、冷遇をそこらじゅうでされまくっていたことから、ピアノの販売の方に自ずと力が入っていました。そのためでしょうか、ジョン・フィールドやクラーマーのような実力のある弟子を抱えていたのですが、販売目的のために弟子使いがかなり荒かったと言う話です。そのせいか事情かとしては大成功を収めたのですが……

 次回はクレメンティの二回目。


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21曲目

2011年06月20日 | クラシック

 サリエリ マニフィカト

 

 成立年代 不明

 時代区分 古典

 形態 合唱曲(宗教曲)

 形式 男性混合合唱

 アレンジ 不明

 映画アマデウスでは完全に適役に回ってしまい、さらに敵役らしい最期まで勝手に付け加えられたことでそう言うな生涯を送られたと思い込まされているサリエリです。音楽的才能に関してはモーツアルトには引けをとったとされていますが、教育者としてはモーツアルトの息子を始め、ベートーヴェン・シューベルト・ツェルニー・リストと偉大なる作曲家を教えていたことを考えるとやはり外すわけにはいきません。

 マニフィカトというのは聖歌の一つで歌詞は決まっています。ので、そこからどう色付けしていくのかが見物ですが、バッハとバロック以前の作曲家のモンテヴェルディの菓子が有名になってしまったこと、長い間モーツアルト・ハイドン・ベートーヴェン以外の古典派の作曲家はその他大勢以下の扱いになっていたことから、評価されることがなかったという悲劇もあり、こういう堂々とした曲でさえもはっきりとした世に出るのは最近になってからです。

 彼が主に作曲の範囲としていたのはオペラや室内楽、さらには宗教音楽という分野でピアノ曲とかに縁遠い部類に入ってしまうのが彼をモーツアルトの脇役以下の存在し押し下げてしまう要因になっていました。最近になってようやく再評価の動きが出ていましたが、それまではモーツアルトの敵役としてのイメージのほうが強く、しかも長い時間を考えて作曲するサリエリとインスピレーションを大切にして早い時間で描き上げてしまうモーツアルトとの対立がそれに拍車をかけたことから、後にロッシーニ(この人もサリエリとは関わりがある)を中心としたイタリアオペラとドイツオペラの派閥が対立したときにドイツオペラの信者が、イタリアオペラの価値を落とすために彼の名前を出したということがありました。

 というのもサリエリはイタリア出身で、16歳にウィーンに移住してきた人です。その後は皇帝のもとで順調に出生を果たしていき高位の地位のまま一生を終える(これも攻撃材料にされる)のですが、その最中にモーツアルトの対立をします。モーツアルトは元々はドイツに近いザルツブルグの出身ですので、ドイツオペラの信者がこの対立を表にだしでしたあることないこと言い出した(この場合は無いこと無いことになる可能性も)ことがそのままイメージとして植えつけられた可能性があり、それが映画アマデウスの衝撃的なラストにつながります。もちろん映画の話は空想なのですが、その中の一つであるモーツアルトの毒殺に関してだけは若干の疑問も残っている(弟子モシュレスにわざわざ無実を言いにきて、かえって疑念を抱かせてしまった)だけに、多少の疑惑がいまでも残る形になってしまいます。(もっともモーツアルトの場合はそこらじゅうから恨みを買うようなことをしているのだが)

 ケチが付いた格好になっているサリエリですが、その地位故(兼職もしていた)に経済的には恵まれ、貧困にあえぐ恵まれない音楽家やその家族(遺族)にも援助をしたりもしています。また彼の残したのは作品だけではなく、ニューイヤーコンサートでつかわれるホールの設計なんかも担当をしています。彼の残した物はその弟子もふくめると偉大なものの一つだと思います。

 次回はクレメンティの1回目。(2回予定)


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