久しぶりの更新
リスト マゼッパ
第1版 (12の練習曲から第4版)
第2版 (48の練習曲から)(レスリー・ハワード)
交響詩 (不明)
その1
その2
その3
第3版 (現在のマゼッパ)(ミストラル・クルティシエフ)
成立年代 第1版 1826年・第2版 1837年・交響詩 1851年→1854年改訂・第3版 1851年
時代区分 初期ロマン
形式 ピアノ→練習曲 オーケストラ→交響詩
形態 ピアノソロ 交響詩・オーケストラ
楽譜入手 全音から最近楽譜が出た リスト集
難易度 1版 中級中・中級上・上級/2版 超級/3版 上級上・超級
アレンジ これ。
最近CMソングとして流れたリストの大作の一つ「マゼッパ」です。紹介しているとおりマゼッパというのは原型をふくめると5つありましてそのうち4つの紹介になります。超絶技巧練習曲の中の一曲ですので、レパートリーにしているピアニストが多くいる反面、触りたくもないと思っているピアニストも多いほどの難曲です。原型の求めている技巧というのは和音の演奏法ですが指使いはこの頃からかなり独創的なものでした。リストの和音スタッカートの曲というのはたいてい同じ指を動かすのですが(同じような指使いを強要される曲にパガニーニ超の主題と変奏がある)、まさにその和音のデパートという曲になっています。ただこの曲は最初が練習曲という話なだけで、後から出て来たら練習曲ではなくバラードと言われてもおかしくはないと思います。(もっとも第1版は師匠・ツェルニーの影響をかなり受けているので曲自体はかなり違いますが)
マゼッパというのはヴィクトル・ユーゴー(*)の詩「マゼッパ」に出てきます。モデルはウクライナの英雄とされたイヴァン・マゼーパ。シーン全体は許されない恋をしたがために、馬にくくりつけられてほおり出されたシーンが中心になっているみたいです。リストはこの詩を読んで感銘を受けて、曲想をこの練習曲想に持ち込んでいます。かなり気に入っていたらしく実は第2版と第3版の間に、改訂版で独立したような曲もあります。なので、ラ・カンパネラと同じく同型の曲が5つあると言うことになります。ただピアノ構造上大きな改革があった時期なので、今では2版のマゼッパを弾くというピアニストはなかなかあらわれず(曲想的にいっても、第3版の方が盛り上がるので仕方ないのだが)、いまでは完全に第3版だけが多く聞かれることになります。難易度は上にも書いた通り2版の方が上ですが、洗練されたという意味では第3版の方が上なのかもしれません。
リストは卓越した技術を持ったピアニスト(歴史上一番のピアニストという人も)でしたので、彼のもとにはたくさんの弟子がやって来ました。ハンス・フォン・ビューローを初めダウジヒ、ブゾーニなど後の大物音楽家などが多く集まって来ました。彼自身で稽古をつけたという考えからなのでしょうか、数はかなり多いのですが取る弟子というのは自分が育てたいという人ばかりでした。中にはリストはベートーヴェン(→ツェルニー→リスト)に他つながることから、そのあたりでの泊をつけたという人もいますが、大抵のケースの場合はリストを慕ってというケースのほうが多いと思います。実際娘の浮気で、自分から離れていってしまったビューロー以外はそのほとんどがワーグナー派でしたし、弟子の中でリストのことを悪い意味の評価をしたという弟子は皆無ですし。
実のところを言うとこの超絶技巧練習曲というのは12曲しかありません。実はこの曲集もショパンのプレリュードのように、バッハの平均律に見られるような全ての調性による曲というのを当初は目指していて、それに重ねるのであればあと12曲最低でも並ぶものでした。当初、2版は48の練習曲という題名で出されていて、その後の曲として造られる可能性もあったのですが、結局造られることがありませんでした。これに目をつけたのがロシアのリャブノフというピアニスト兼作曲家。超絶技巧練習曲に入っていない調で補完するように12の練習曲を作曲。リャブノフ版の超絶技巧練習曲として日の目をみることになりました。(代表作は紹介予定)
出来てから150年以上が経過してなおもピアノの難易度の最高峰の位置に存在し、しかも他のピアニストに影響を与え続けるリストの底力というのを感じます。
次回はワーグナーの2回目。
(*)フランスを代表する詩人兼小説家兼政治家ではありません。(時代が違う)同じフランス人の別人の作品です。