あれは、30年近く前になる。
幼年期。
保育園。
琉真は手を振っていた。
父と母に向かって、絶えず。
舞台発表会だった。周りの皆は皆、合唱している。
琉真だけはただ、口をぽかんと開け父と母に向かって手を振っていた。
一体琉真にとって、父と母はどう映っていたのか。
寂しかったのか。愛おしかったのか。ロボットだったのか。
発表会後、苺のショートケーキを母と妹と食べた。
その時に、父、幸太郎の姿はなかった。
ある時、保育園の運動会。かけっこのスタートと同時に周りのランナーの姿が消えた。
琉真は足が速かった。
それから小学校卒業まで、負け知らずになる。
ランナーとしての素質はあったのか。
毎年、お正月になると、箱根の山を懸命に駆け上がる、大学生ランナーのテレビに釘付けだった。
肩にかける襷は琉真にとっては不可思議なものだった。
襷の重み、それはまだ琉真にとっては、小さな身体のウエイトの様なものだったに違いない。
幼年期。
保育園。
琉真は手を振っていた。
父と母に向かって、絶えず。
舞台発表会だった。周りの皆は皆、合唱している。
琉真だけはただ、口をぽかんと開け父と母に向かって手を振っていた。
一体琉真にとって、父と母はどう映っていたのか。
寂しかったのか。愛おしかったのか。ロボットだったのか。
発表会後、苺のショートケーキを母と妹と食べた。
その時に、父、幸太郎の姿はなかった。
ある時、保育園の運動会。かけっこのスタートと同時に周りのランナーの姿が消えた。
琉真は足が速かった。
それから小学校卒業まで、負け知らずになる。
ランナーとしての素質はあったのか。
毎年、お正月になると、箱根の山を懸命に駆け上がる、大学生ランナーのテレビに釘付けだった。
肩にかける襷は琉真にとっては不可思議なものだった。
襷の重み、それはまだ琉真にとっては、小さな身体のウエイトの様なものだったに違いない。
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