「開けるな!ってさ。」
「バチがあたるの?」
「わからん。」
「…で、その『かねみつ』って旅館のオーナーが何か知ってるってことか…」
「いや、『かねみつ』って旅館の前からあったかも…って。」
「その前も、旅館?」
「民家だったらしいよ」
夕美が口を開いた。
「夕美、知ってるの?」
「おじいちゃんに聞いた」
「あ、そうか、夕美んちのおじいちゃんが何か知ってるのかも知れないな!…何か聞いてくれよ。」
「なんか…おじいちゃんも、その件については、話したくないような感じなんだよね」
「箱の件?」
「ううん、『かねみつ』の前の民家の話し…」
「…それじゃ、箱は、その民家の住人が知ってるってとか…ますますミステリーだなぁ…」
幹太は益々興奮気味に話した。