候補者4

2020-08-30 08:01:24 | 日記
「あのね…、聞きたいことがあるの…。」

意を決して聞いた。

「敬さんは、優しいし、一緒にいると、とても楽しいし、イケメンだし…。どうして今までひとりだったの?」


「楽しいと言ってもらえるとうれしい…けど、イケメンなんかじゃないよ」

頭をかきながら照れ笑いをする。

謙遜の仕方も完璧だ。

「今まで、お付き合いした人は何人かいたけど…。真面目なお付き合いしたい…と、思うから、一年以上交際が続いたら、僕の実家に連れて行くんだけど…。何故か、ダメになるんだ」


…そうか…、もしかしたら、彼の親が面倒臭い事を言うタイプなのかも…。

厳しい親に吟味され、合格点を貰えずに、
破談になったんだろう。…と推測した。

だけと、私は大丈夫!

美枝さんは思った。

そもそも、美枝さんの親も厳しい。

それが嫌で、早めに家を出たワケだが、親がいろいろ厳しいのにも、慣れている。

すべてに満点の敬さん。

実は、暴力的な人ではないか…、

実は、浮気性の人ではないか…?

…と不安になって過ごして来た美枝さんにとって、親が厳しい…くらいのマイナス点はホッとする。


しばらくして、彼は、「親に会って欲しい」と言ってきた。