G.G.の徒然山遊録

岐阜各務原市周辺の低山の山行記録、折々の雑感、書評などの雑文を記し、山に関する情報を提供します。

「おとなの教養」を読んで

2014-12-29 | 書評

最近、池上 彰氏著の「おとなの教養」を大変、興味深く読んだので、読後感と内容の要約を紹介します。

読後感:

  新書版のベストセラーのコーナーに「おとなの教養」が並んでいたが、タイトルからして、“今更、教養なんて”と余り興味を惹かなかったが、著者が説明上手の池上 彰さんであるので思わず手に取ってみた。内容は予想に反して、「目から鱗」の記述が各所に散りばめられており、視野を広げるのに頗る有益であった。話題が広範囲に渡っているので、教養に自信のない方は勿論、あると自負している方にも一読を勧めたい一冊と思う。
  なお、著者は『「自分自身を知る」ことこそが現代の教養だろうと私は思います。』と言っています。でも「自分自身を知る」と言うとなんだか哲学的で分かり難いので、私なりに翻訳し、現在の「自分の立ち位置を知る」と言い換えて読んで見ると文脈に合うような気がした。
  以下に、各章の「目から鱗」の箇所を幾つか紹介します。
このうち、序章の内容が特に、「目から鱗」でした。欧米では、ギリシャ・ローマ時代から、その時々の「現代の教養」がリベラルアーツとして発展して来た歴史と、最近の日本の大学でのリベラルアーツの取り組みが詳細に語られていて興味深い。 

内容の要約:

序 章:
教養の起源はギリシャ・ローマ時代に遡り、現代でも、「リベラルアーツ」として、その基本理念を欧米の
名門大学は引き継いでいるそうである。遅ればせながら日本の大学でもリベラルアーツの考え方の
導入を行いつつある。
■リベラルアーツの起源は「文法」「修辞学」「論理学」「算術」「幾何学」「天文学」「音楽」の7科で、ヨーロッパの大学では20世紀まで教えらていたそうである。
■工科大学で有名なアメリカのMIITに音楽科があるのは大変に興味深い。
■欧米で発展してきたリベラルアーツの7科に因んで著者は、現代のリベラルアーツとして以下に述べる「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」の7項目を選定し、解説している。

第一章 宗教:
■神(ゴッド):ユダヤ教、キリスト教(ゴッド)、イスラム教(アッラー)は同一の神を戴いている。
各宗教の信者数(比率)
キリスト教徒(33%)、イスラム教徒(23%)、ヒンズー教徒((14%)、仏教徒(7%)であるが、一番遅く生まれた(7世紀)イスラム教徒が一番多くなるかもしれない。
宗教紛争の本質:教義などの違いによる争いでなく、土地や資源を巡る争いである。

第二章 宇宙の誕生:
何とも壮大で、神秘的で、私如き凡人には不可解な宇宙科学へ案内してくれる。
ハッブルの大発見:1929年にハッブル(米)は巨大な望遠鏡で銀河を観測し、宇宙は膨張し続けていて、その
膨張速度は距離に比例している事を発見し、「宇宙膨張説」を提唱した。
■インフレーション138億年前にビッグバンに先立ち“無”から超高温・超高密度の火の玉ができた。
 これが宇宙の始まりと言われる。
■ビッグ バン:インフレーション直後に超高温・超高密度の火の玉が大爆発(ビック・バン)により粒子が撒き散らされた。
■ヒッグス粒子:ビッグバンで飛び散った粒子がヒッグス粒子により減速されて質量を持つようになり引力で
 集まって大きくなり、やがて星が生まれた。
 因みに、この粒子の存在を予言したヒッグス(米)とアングレール(仏)の両氏は2013年にノーベル物理学賞を受賞している。

第三章 人類の旅路:
 ■生命の誕生:43億年前に海中で誕生
 ■人類の誕生:ミトコンドリアのDNA調査で、アフリカ大陸で誕生し世界に分散して行ったことが分かった。
 ■白人の誕生:アフリカ生まれの人類は強い紫外線から身を守るために肌が黒い(黒人)が、突然変異で
  肌が白い人(白人)が誕生し、彼らは紫外線の弱い北方へ移動して行った。
 ■ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの違い:ネアンデタール人とホモ・サピエンスとは
  別人種であるが、両者が数十万年前の同時期に生存したことがある。その後、ネアンデタール人が
  絶滅したのは、彼らの文化程度が我々ホモ・サピエンスのそれよりも低く、旨く環境に適用できなかった
  ためらしい。

第四章 人間と病気:
■環境と病気:花粉症は吸血ダニが環境の清潔化に伴い減少したが、ダニに対する免疫システムは
人間の体内に残っていて、スギ花粉が入ってくるとダニと間違え活性化し、その結果、発症すると言われている。
■病気と共に進化してきた:突然変異で猛威を振るうようになったウィルスに耐えた者のみが生き残ってきた。
■病気は歴史を変える
・スペイン風邪が第一次大戦で両軍の兵士にスペイン風邪(発生はスペインでなくアメリカと言われる)が
 蔓延し、戦争継続が出来なくなった。
・アメリカインディアンの激減はヨーロッパ移民が持ち込んだウィルスによると病死が原因と言われる。
中世に流行ったペストで多くの農民が死に、その結果、農民の地位が向上し、農奴解放へと
 つながっていった

第五章 経済学:
■経済理論が世の中を動かしている
 ある経済理論も一時的には旨く機能するが、やがて行き詰まり、それを補填した新たな学説が誕生してゆく。
 即ち、アダムスミスの「自由放任主義経済」から始まって→マルクスの「社会主義経済」(失敗)→
 「ケインズ経済学」(莫大な赤字財政)→フリードマンの「新自由主義経済」(格差拡大)→最近では
 「行動経済学」が注目を集めている。


第六章 歴史:
 ■歴史は権力者により書き換えられる:事例として、北朝鮮、韓国、中国の歴史は為政者の都合の
  良いように脚色されているようである。
 ■歴史との付き合い方:歴史とは勝者、権力者などの記録であり、言わば「氷山の一角」であり、知られざる
  歴史も沢山あるのを知るべきである。
 ■愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」:初代ドイツ帝国宰相のビスマルクの言葉とされているが、
  言わんとするところは、「自分の狭い経験だけで物事を判断しないで、広く他人の例に学ぶのが良い。」と
  言うことである。

第七章 日本と日本人:
■日本人の定義:明治に戸籍法が制定されるまで法的には決まっていなかった。
 標準語などの普及により日本人として共通意識が育まれた。
日本、日本人の認識:国家からの押しつけ、教育、或いは外国との接触などによる相違の自覚などより
 認識するようになる。

 

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木曽川 河畔林での野鳥観察

2014-12-22 | 日記

昨日、各務原市の勤労青少年運動場東の河畔林で行われた市主催の野鳥観察に行ってきました。
 2時間余り静かな河畔の遊歩道を歩きながら、インストラクターから色々な野鳥を教えて頂き、暫し、年末の慌ただしさを忘れ、楽しい時間を過ごさせて頂きました。
 何時ものことながら、小鳥達は素早く動き回っているので、必死に目で追いかけるのが精一杯で、はっきりと写真に撮るのは至難の技です。
  そんな分けで、目ぼしい写真は撮れませんでしたが3点紹介しておきます。

■セグロセキレイ、ハクセキレイは人を恐れず、ある程度近づいても逃げず観察しやすい鳥です。セグロセキレイは良く見かける鳥ですが、日本固有種だそうで、そう聞くと、もっと敬意を払わなければいけません。

 
■餌を探すのでなく、ただ木曽川の急流を登ったり下ったりして、まるで無邪気にサーフィンを楽しんでいるように見えたキンクロハジロ(カモ科、初めて聞いた名前です)です。かなりの急流を苦も無く登っていたので、推進力は相当あるようです。

■じっと動かず休息しているカワウとオアサギの群れです。何を考えているんでしょうか。種類が違っても共存共栄している様子は気持ちが和みます。

 



 

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マララさんのノーベル賞受賞スピーチを読んで

2014-12-14 | 日記

12月10日のノーベル賞受賞式に於ける、記念スピーチでの落着いた、信念に裏打ちされた堂々とした表情や態度とスピーチの内容(英文で読むと格調高い、名スピーチであることが分かります)に感動を覚えました。彼女は17才の少女であるが、とても子供には見えません。既に偉大な指導者の風格さえ漂わせているようです。
彼女は訴えています。私たち子供には次の事がわかりませんと。

・何故、大国は戦争をするのに強力だが、平和をもたらすには非力なのか。
・何故、銃を与えるは簡単だが、書物を与えるが難しいのか。
・何故、戦車を作るのは簡単だが、学校を作るのが難しいのか。

政治家、世界のリーダー達は勿論、私たち皆が子供教育の普及へ貢献する必要があると力強く訴えています。

  彼女の受賞については「欧米の宣伝に利用されている」など色々な批判もあるようですが、戦争、貧困、社会的な因習などにより、先進国では当たり前の小中学校教育のない国々が、紛争地域や発展途上国などに多数あることも事実です。今は、彼女の訴えを素直に、真摯に受け止め、応援すべきと思います。

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50、60は花なら蕾、70、80が花盛り

2014-12-07 | 日記

昨日、市の図書館を訪れ、新着図書の棚を眺めていたら「50、60は花なら蕾 70、80が花盛り」というタイトルが目に飛び込んできた。著者は107才で現役声楽家の嘉納愛子さんと言う方であった。107で現役の方だからこそ言える文句で、誰にでも当てはまる分けでないが、平均寿命が約87才に達した女性に送るエールと思えば、納得である。
   一方、男性に対しては「40、50ははなたれ小僧、60、70働き盛り」と先人が言っています。平均寿命が約81才に達し、周囲にも後期高齢者で現役の方もおられるようになったので、この文句は半ば実現化されつつあると言えるが、誰でもがそうなるようにとのエールと理解すれば、身近な目標とするには良い文句だと思います。
   11月には、俳優の高倉健さんが83才で、菅原文太さんが81才で、一世を風靡した昭和の大スターが相次いで彼岸に行き、私を含め後期高齢者の方々は「明日は我が身」かもと、ややブルーな気分になったと推察しますが、このエールを素直に受け入れて元気を出したいものです。

 

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