G.G.の徒然山遊録

岐阜各務原市周辺の低山の山行記録、折々の雑感、書評などの雑文を記し、山に関する情報を提供します。

野谷荘司山(1797m)から三方岩岳(1736m)周回

2014-10-19 | 山行

野谷荘司山(1797m)から三方岩岳(1736m)周回
~紅葉の鶴平新道を登り野谷荘司山から好展望の尾根を三方岩岳へ縦走し林間を料金所へ下山~

2014年10月12日(日)
参加者:G.G.他3人
アクセス:各務原 6:00→関 IC→(東海北陸道)→白川郷IC→7:45大窪登山口(
コースタイム:
 8:00→10:50鶴平新道分岐点11:05→11:20野谷荘司山、食事12:00→12:10
鶴平新道分岐点→13:25三方岩岳13:40→15:45白山スーパー林道料金所
行動時間:7:45(休憩、昼食を含む)、(注)大窪登山口まで歩けば、約8:00となる。
歩行距離:約11.5 km
コース:実際に歩いたGPSトラック(大窪登山口から時計回りに周回)を下に示す。赤線は登り、青線は下りを示す。緯線、経線は10秒間隔(約250 m)である。

まえがき:
台風19号の影響で今回の山行も危ぶまれたが、台風の速度が当初の予想よりも遅くなったお蔭で、12日(日)が登山日和になったのは大変にラッキーであった。なお、今回は新会員の稲嶋さんのデビューの機会でもあり、是非とも晴天になって欲しかったのでリーダーとしては天気予報にやきもきさせられた。

山行記事:
■大窪登山口の前には数台置ける駐車場があり先客は1台であった。歩き始めると直ぐ路傍の野菊(正確には色々な種類があるようである。)が咲き秋たけなわを告げていた。
 
■樹林を抜けると全山紅葉した小ピークの赤頭山(1602 m)が姿を現す。目指す野谷荘司山は赤頭山の後ろで視界には入ってこない。ナナカマド、ダケカンバ、シロモジなどの色鮮やか樹木はないので地味な紅葉であるが秋の風情は十分で目を楽しませてくれる。

 
■赤頭山が近づいてくると道は狭く、急斜面のガレ場が多くなるので緊張する。風雨時には、上級者向けの危険なコースに変貌しよう。

 
■赤頭山を過ぎると野谷荘司山が見える。丸くなった所が細長い山頂で、一列に10人位が座れよう。

 ■山頂は好展望である。正面には眼下の鳩ヶ谷ダムを挟んで猿ヶ馬場山、籾糠山、遥か後方には北ア連峰の峰々がハッキリと同定できた。画面中央やや右には御嶽山が9月28日以来、噴煙を上げ続けているのが視認できた。今日も、千人体制の救助隊が懸命の遭難者の捜索を行っていると思うとそのご苦労に頭が下がる。


右手には三方崩山、後方には白山連峰、左手にはここよりも高いが山名の分からない山並みが重畳としているのが望める。
■山頂では展望を楽しんだり、稲嶋さんからの暖かい紅茶、坪根さんからの沸かし立てのコーヒーを御馳走になったりしてタンネには珍しくまったりと過ごす。6、7人の先客がいたが、何れも車でスーパー林道を三方岩駐車場まで上がり、そこから尾根伝いにやってきたようである。記念撮影は落ちていた手書きの標識を手に持ったが、これもローカルな山に相応しいかもしれない。
 
■野谷荘司山を後に、三方岩岳に向かう。途中、馬狩荘司山方面を振り返ると凄まじいガレ場は圧倒的である。遠方に頭を出しているのが白山で左が御前ヶ峰、右が大汝ヶ峰であろう。

 
但し、尾根道はガレ場の上の稜線上であるが、崖ッぷちではないので危険でない。

■気持ちの良い尾根歩きが暫く続く。登路がハードであったので、その分快適に感ずる。登路にも垣間見られた大岩壁が次第に接近してくる。飛騨岩と呼ばれる岩峰で、西部劇に出てくるアリゾナの岩峰を彷彿とさせる。
 
三方岩岳には2つのピークがあり、ひとつが飛騨岩の岩峰で標高1736 mである。他のひとつが三方岩岳展望台で標高は約1680 mである。

■飛騨岩から三方岩岳展望台は直ぐである。山頂はスーパー林道の三方岩駐車場からの老若のハイカー、観光客で観光地並の賑やかさである。ここでも記念撮影する。
 
流石に、こちらの標識は素朴であるが、頼もしい作りである。
■北方の展望が野谷荘司山よりも開けている。山名は知らないがここよりも高い山(笈ヶ岳?、1821 m、2百名山)の存在が興味をそそる。

 
■展望台から少し戻った所で縦走路を右に分け下山開始である。分岐点では下山路の踏み跡が薄く分かりにくいが、縦走路の標識も立っているので見落とすことはあるまい。
■ひたすらに下山を続ける。道は一部段差の大きい所や滑りやすい箇所もあるが概ね快適である。但し、スーパー林道の展望台と交差したあたりから暫くの間、草ぼうぼうで、路肩が崩落して多少、歩き難い所があった。林道に降り立つと終点の料金所は直ぐである。 

所感:
野谷荘司山の知名度は余り高いとは思わないが、鶴平新道から登れば、登山の手応えがあり、展望も良いので一級品であろう。因みに登りで出会ったのは一人で、下山時には誰とも出会わなかった。
■鶴平新道は下山路に利用すると急勾配でスリップし易くガレ場も多いので、上級コースへ変貌しよう。
■野谷荘司山のピストンでも十分に楽しめるが、周回すると復路は往路とは対照的で危険個所もなく、大ガレや飛騨岩などを眺めながらゆったりとした気分で縦走してから下山でき一段と印象的であろう。
■野谷荘司山で出会った一人に何処から来たのか尋ねたら“金沢から50分位で三方岩駐車に着いた。”との事であった。私は、この山は岐阜のテリトリーと思っていたが、距離的には石川県などのテリトリーであるのは意外であった。(以上)


鳳凰三山~富士山を借景に紅葉に彩られた薬師岳(2780m)、観音岳(2840m)、地蔵岳(2764m)の稜線を行く~

2014-10-07 | 山行

鳳凰三山々行
~富士山を借景に紅葉に彩られた薬師岳(2780m)、観音岳(2840m)、地蔵岳(2764m)の稜線を行く~

2014年9月27日(土)~28日(日)快晴
参加者: G.G.他2名
アクセス: 各務原 4:15→東小牧 IC→(中央高速、諏訪で朝食)→韮崎IC→7:55青木鉱泉(
コースタイム:
第1日目: 8:15→8:55登山口→12:15御座石、食事12:40→14:00 薬師岳14:30→14:35薬師岳小屋
第2日目: 薬師岳小屋5:40→5:45薬師岳の岩峰でご来光を見る5:55→6:00薬師岳小屋、朝食
     薬師岳小屋6:30→7:10観音岳→8:45赤抜沢ノ頭→8:50賽の河原→オリベスクで遊ぶ
    →賽の河原9:20→9:50鳳凰小屋、食事10:10→10:45五色の滝→11:15白糸の滝→14:05
行動時間:第1日目:6:20 、第2日目: 7:35(ご来光参拝時間は除く)
歩行距離:第1日目:約8.3 km 、第2日目 :約11.1 km(ご来光参拝時間は除く)
コース:実際に歩いたGPSトラック(青木鉱泉から時計回りに鳳凰三山を周回)を下に示す。赤線は登り、青線              は下りを示す。緯線、経線は10秒間隔(約250 m)である。

はじめに:
私たちが登った9月27日に、御嶽山(3,067m)では、11時52分、突然、地獄谷が噴火し、山頂付近にいた60有余の登山者の尊い命が失われるという大参事になりました。同じ登山愛好者として他人事とは思えず、茲に謹んでご冥福をお祈り致します。
まえがき:
8月以降の前代未聞の天候不順で全山行計画が中止になり、前回の白山(7月28~29日)から2カ月振り山行である。待ちに待った山行であったが、その甲斐あって、想定外の紅葉と又とない好天に恵まれ素晴らしい山行となった。但し、2カ月振りの山行とあって、帰宅してから足の筋肉痛に悩まされた。青木鉱泉からは中道とドンドコ沢の2ルートあるが今回は中道を登り、ドンドコ沢を下山した。
山行記事(1日目):
■青木鉱泉から直ぐに沢を渡る。橋が流されたようで靴を少し濡らし、飛び石伝いに渡渉する。林道を40分程歩き、廃屋の所で登山道に入る。展望のない道をひたすら登る。途中、真っ赤な実を着けたゴゼンタチバナの群生に出会い秋たけなわを実感する。

 
■カラマツ林を通り抜けると、御座石という巨石に着く。馬鹿でかいという以外に何の特徴もない。今まで昼食に適した場所がなく食事にする。今度はダケカンバ林の中の悪路を登る。
■薬師岳が近くなると急に、富士山の巨体が現れ、ダケカンバの黄葉とナナカマドの紅葉が青空をバックに鮮やかな色彩を見せるようになる。 

 ■薬師岳に到着する。360度の大展望である。白砂の広場に薬師岳の標識が立っているが、本当の薬師岳は登山道の右側に聳える岩峰のようである。因み当山には三角点は設置されていない。


 ■北側には八ヶ岳、秩父山塊が横たわり、南西には北岳、間ノ岳、濃鳥岳の巨体が連なって聳えている。南東には富士山が聳えている。八ヶ岳の遥か後方には北アルプス全山、北東には栃木県の山並みも望めた。
■ここで、心行くまで風景を楽しみ、変わった格好の鉄製のケルンをバックに記念撮影をする。

 
■薬師岳から5分程で薬師岳小屋に着く。掘立小屋の風情である。割り当てられた寝床は2階で、天井が低く頭をぶつけないよう、半ば這って移動しなければならない。ザックの置き場や小物を置く棚もない。但し、トイレ(写真左側の別棟)はバイオ分解式の水洗で臭気もなく清潔で有難い。

 
■夕食は5:30からで、時間がたっぷりあり、ビールを買い求め、外気温度が15℃位のためジャケットを羽織り、ロビーがないので外でまったりとした時間を過ごす。
■食堂は狭く、3回に分けて食事する。我々は早く着いたので1回目の食事にありつける。おかずはオデンと味噌汁、サラダ、漬物、カップゼリーのデザート付で美味しく頂く。

 
■今夜は、定員60人に対して、客は62人だそうで、殆ど歩くスペースがなく、人を踏まないようトイレに行くのにひと苦労した。例によって、夜中トイレに起きたついでに夜空を観賞する。満天の星と銀河に暫し浮世を忘れる。 

山行記事(2日目):
ご来光を拝むために、5:40に小屋を出て薬師岳の岩峰に登る。5:50頃に雲海を赤く染めたご来光を拝む。富士山とはかけ離れた方向から陽が登ったので月並みなご来光であった。小屋に戻り朝食を摂ってから本日の縦走に出発する。
■薬師岳を通過し観音岳に向かう。観音岳は鳳凰三山の最高峰で展望の良さは抜群である。岩陰に、夏の残りの色褪せたセンジュガンピ?が一株ひっそりと咲いていた。因みに、二等三角点の標識はあったが、今は観測点として使用されていないそうである。
・富士山をバックに朝日に照らされた紅葉の山肌が美しい。写真は余り綺麗でなが実際は絶景である。

 
・深い谷を隔てて、北岳、間ノ岳、濃鳥岳が堂々たる巨体を展開している様は圧倒的である。

 
・地蔵岳の左側、アカヌケ沢ノ頭からの尾根続きに続く白砂の甲斐駒ケ岳の鋭鋒が姿を見せている。

 
・北方には八ヶ岳の山塊と左手奥には蓼科山、右手奥には浅間山も微かに頭を覗かせている。遥か後方には、豆粒のようで、写真では識別できないが北アルプス全山もはっきりと識別できた。

■観音岳を後にして、灌木帯の中の道を下る。降りてから気付いたが正規は左側の砂礫の道のようである。鳳凰小屋からのショートカット道が合流するフラットになった所に枯れ木の面白い恰好のオブジェが幾つかあった。

 
■アカヌケ沢ノ頭を下るとオベリスク基部の鞍部に賽ノ河原があり、子授け地蔵が並んでいた。普通、賽ノ河原と呼ばれる所は妖気が漂い、薄気味悪い雰囲気であるが、ここはお地蔵さんも新しく、とても明るい雰囲気である。

 
■愈々、鳳凰三山のシンボルのオベリスクである。高さ数十メートルの岩峰が空に突き上げている。紺碧の空をバックに、ナナカマドの深紅、ハイマツの緑、ダケカンバの黄を前景にしたオベリスクの山容は正に鳳凰三山のシンボルに恥じない迫力であった。因みに、ここにも三角点はない。

■メンバーの2人はオベリスクの途中まで登ったが、最後はロッククライミングが必要であり、流石に登頂にはチャレンジしなかった。小生は始めから登頂を諦め、ゆっくりと岩峰を観賞していた。
■オベリスクを後に、15分程、砂礫の急斜面を半ば滑りながら下る。登って来る時は可なり疲労もしているので、かなりのハードワークであろう。
■オベリスクから30分位で、紅葉真っ盛りの鳳凰小屋に着く。昨夜泊まった薬師岳小屋に比べ、規模は大きく、賑やかであった。水も豊富で流しっぱなしになっていて甘露であった。

 
メンバーの1人が、ラーメンがここの名物と言うので楽しみしていたが、小屋番に聞いたらラーメンはやっていないそうで、力が抜ける。昼には早いが、朝が早かったので、薬師岳小屋で用意して貰った弁当を食うことにする。弁当は握り飯と思っていたが驚いたことに、クロワッサン(2個)、ジュース、はちみつ、チーズ、ソーセージなどと洒落ていて中々の美味であった。山小屋の弁当も時代と共に変化しつつあると感じた次第である。
■鳳凰小屋を後にすれば、後は4時間程ひたすら下るだけである。下山道は、所々、段差が大きい所、露岩で歩き難い所などがあるが、特段の危険個所はない。
■中道同様に、展望は全くないが、途中、五色の滝、白糸の滝、鳳凰の滝、南精進の滝などがあり、単調さを補うメリハリになっている。我々は先を急ぐので、五色の滝と白糸の滝を見物し他は省略した。五色の滝は落差が50m位の大瀑布で一見に値しよう。

 ■鳳凰小屋から4時間余で青木鉱泉に無事、帰着し、入浴する。入浴料は1,000円で高いが、2日間の汚れを落し、さっぱり出来るのは嬉しい限りである。注文してから恐ろしく長時間待たされた食事を摂った後、須玉ICから高速に乗り、帰途に着いた。途中、恵那から先が渋滞しているので一旦、R19号線に降り、再び土岐ICで高速に乗り4時間程で無事に各務原に帰着した。 

所感:
中道、ドンドコ沢道ともに特段の危険個所はないが、標高差約1600mの急斜面で、登るにしても、降りるにしても可なりハードで初心者向けではない。
■三山の何れも、富士を背景にした好展望が楽しめる素晴らしいコースである。その中でも観音岳が一番の好展望であろう。一際、個性的なのは地蔵岳のオベリスクの岩峰で、鳳凰三山のシンボルと言えよう。
■この時期、高山の花達に出会えないが、その代わり、黄葉、紅葉が山々を彩り、何処でも絵になる。
■メインルートはから甲府駅からバスで夜叉神峠の登山口に行き、薬師岳→観音岳→地蔵岳と縦走し、ドンドコ沢を青木鉱泉に下山してバスで韮崎駅に行くコース、或いはその逆回りコースのようである。従って、中道コースはマイナーであり、お蔭で、比較的、静かな山行が味わえたようである。
■余談であるが、百名山にも拘わらず、何れにも三角点がないのは些か不思議に感じる。

(以上)