俳優の緒形拳さんが亡くなった。
ここ何年か闘病中で,病をおして演技を続けたという。
代表作は,映画「楢山節考」だそうだが,邦画に縁のない私としては未見で,この時点で俳優緒形拳を語る資格は無いのかもしれないが,やはり大河ドラマでの圧倒的な演技が忘れられず,敢えて書かせていただく。
さすがに「太閤記」(65)の主役は記憶が無いが,幼少時に見た翌年の「源義経」の弁慶役は,重厚でごつい印象を受けた。
しかし,「大河の緒方」を圧倒的に印象づけたのは,何と言っても「風と雲と虹と」(76)の藤原純友役だった。
東の英雄,平将門役の加藤剛が予想通り清廉潔白な優等生的だったのに対し,緒方の純友は元貴族としての品格や海賊の頭領としての野性味や威厳,そして海の男のロマンを感じさせる圧倒的な存在感を示していた。
TV画面一杯に波しぶきが広がり,「純友のテーマ」が流れ,瀬戸内海や豊後水道,或いは純友の海賊船団の本拠地だった日振島の風景が映し出されると,胸がときめいたものだった・・・。
「信長」(92)では,息子が主役を務め,現時点で唯一の親子二代にわたる大河主役と言う快挙を成し遂げたが,如何に子が小者であるかを露呈することとなったが,父の圧倒的存在感をさらに際立たせる結果になったとも思う。。
ただ,緒形直人の名誉のために言っておくが,今年3月まで放映されたNHKの「鞍馬天狗」での近藤勇役は,放送開始当初は??だつたものの,回を追う毎に重厚な存在感が醸し出され,父に近づいてきたことを感じたものだった。
そして昨年の「風林火山」。
越後長尾(上杉)家に仕える宇佐美貞満役が,私の見た最後の姿だった。
知力も胆力抜群。
老獪でいて,景虎(謙信)には忠実な軍師役を,今回も圧倒的な存在感で演じ,作品を締まったものにしてくれたことは記憶に新しい・・・。
こうした個性で鳴らした俳優が消えていくのは残念な限りである。
最後まで病を隠して演技を続けた,壮絶なプロ根性にただただ合掌・・・・・。
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