暗闇の中に光る点が現れました。
光る点はだんだんと大きくなり、ひび割れのようになりました。
その、光のひび割れを押し開けるように、外からシャルフィが入ってきました。
シャルフィが闇の中へ入ると同時に、ひび割れも閉じてしまい、再び真っ暗になってしまいました。
「シャルフィ、来てくれたの?」
シャルフィはなかなか戻って来ないリサちゃんを心配して、ここまでやってきたのでした。
さすがのユニコーンも、こんな異空間まで来るのが大変だったらしく、体中が傷だらけになっていました。
リサちゃんはシャルフィを抱きしめました。
「シャルフィ、どうしたの?」
シャルフィはずっと、ユーギィの花を手にしたリサちゃんの左手を、鼻でつついていました。
「花がどうかした? こんなの持ってても元の世界に戻れなきゃ、道重さんにも渡せないのよ」
リサちゃんが何を言っても、シャルフィは左手をつつくのをやめません。
「なにかあなたに伝えたいのね。ユニコーンも言葉をしゃべれればよかったのにね」
ケロミンがつぶやきました。
「花をどうにかしろってことなのかしら?」
その言葉に、シャルフィがいななきました。
「そうだっ、て言いたいのね。でも、こんな状況でどうすればいいのシャルフィ」
「あ!」
ケロミンが大声で叫びました。
「びっくりした? どうしたの」
「ユーギィの花について図鑑に書いてあったことを思い出しなさいよ」
「1000年に一度、一年間だけ開花し、その花に願いを込めると魔法に頼らずとも誰でも一度だけ望みが叶うと言われている。
なお、実や茎、根などは異常に臭い」
「ね!」
「ね! じゃないって。教えてよ、どういうこと?」
「魔法に頼らずとも誰でも一度だけ望みが叶う、ということは?」
「だから道重さんにプレゼントしようと思ったの。目覚めてすぐじゃ、魔法もちゃんと使えるかどうかわからないでしょ。
それで、花に本当に欲しいものをお願いしてもらえれば、それが一番のプレゼントになるでしょ」
「そういうことだったのね。泣けるわ」
「うん」
「じゃなくて!」
「もう、なんなのよ。いいかげん説明して!」
「魔法に頼らずとも誰でも一度だけ望みが叶うってことは、魔法の使えないこんな場所でも使えるっていうことよ」
「うーん、つまり?」
「まだわかんないの? あなたが今、ここで言う言葉はひとつだけよ」
「えーっと? なに?」
「全部ヒキガエルに教えてもらう気? 人間としてのプライドはないわけ?」
「ないない。いいから早く」
「あなたが花にお願いするのよ、元の世界に戻してくれって」
「ああ! なるほど」
「理解した?」
「した。けど、そんなことしたら道重さんへのプレゼントはどうなるのよ!
私が花に願い事しちゃったら、一度しか使えないのに!」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。元の世界に戻って会えなければ、プレゼントだってどうせ一生渡せないじゃないの!」
「それもそうね」
リサちゃんはユーギィの花に向かって祈りました。
そして願い事を口にしました。
「私たちを、元の世界に戻してください」
するとユーギィの花が輝き出し、リサちゃんたちの身体ごと、光で包み込んだのでした。
(つづく)
光る点はだんだんと大きくなり、ひび割れのようになりました。
その、光のひび割れを押し開けるように、外からシャルフィが入ってきました。
シャルフィが闇の中へ入ると同時に、ひび割れも閉じてしまい、再び真っ暗になってしまいました。
「シャルフィ、来てくれたの?」
シャルフィはなかなか戻って来ないリサちゃんを心配して、ここまでやってきたのでした。
さすがのユニコーンも、こんな異空間まで来るのが大変だったらしく、体中が傷だらけになっていました。
リサちゃんはシャルフィを抱きしめました。
「シャルフィ、どうしたの?」
シャルフィはずっと、ユーギィの花を手にしたリサちゃんの左手を、鼻でつついていました。
「花がどうかした? こんなの持ってても元の世界に戻れなきゃ、道重さんにも渡せないのよ」
リサちゃんが何を言っても、シャルフィは左手をつつくのをやめません。
「なにかあなたに伝えたいのね。ユニコーンも言葉をしゃべれればよかったのにね」
ケロミンがつぶやきました。
「花をどうにかしろってことなのかしら?」
その言葉に、シャルフィがいななきました。
「そうだっ、て言いたいのね。でも、こんな状況でどうすればいいのシャルフィ」
「あ!」
ケロミンが大声で叫びました。
「びっくりした? どうしたの」
「ユーギィの花について図鑑に書いてあったことを思い出しなさいよ」
「1000年に一度、一年間だけ開花し、その花に願いを込めると魔法に頼らずとも誰でも一度だけ望みが叶うと言われている。
なお、実や茎、根などは異常に臭い」
「ね!」
「ね! じゃないって。教えてよ、どういうこと?」
「魔法に頼らずとも誰でも一度だけ望みが叶う、ということは?」
「だから道重さんにプレゼントしようと思ったの。目覚めてすぐじゃ、魔法もちゃんと使えるかどうかわからないでしょ。
それで、花に本当に欲しいものをお願いしてもらえれば、それが一番のプレゼントになるでしょ」
「そういうことだったのね。泣けるわ」
「うん」
「じゃなくて!」
「もう、なんなのよ。いいかげん説明して!」
「魔法に頼らずとも誰でも一度だけ望みが叶うってことは、魔法の使えないこんな場所でも使えるっていうことよ」
「うーん、つまり?」
「まだわかんないの? あなたが今、ここで言う言葉はひとつだけよ」
「えーっと? なに?」
「全部ヒキガエルに教えてもらう気? 人間としてのプライドはないわけ?」
「ないない。いいから早く」
「あなたが花にお願いするのよ、元の世界に戻してくれって」
「ああ! なるほど」
「理解した?」
「した。けど、そんなことしたら道重さんへのプレゼントはどうなるのよ!
私が花に願い事しちゃったら、一度しか使えないのに!」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。元の世界に戻って会えなければ、プレゼントだってどうせ一生渡せないじゃないの!」
「それもそうね」
リサちゃんはユーギィの花に向かって祈りました。
そして願い事を口にしました。
「私たちを、元の世界に戻してください」
するとユーギィの花が輝き出し、リサちゃんたちの身体ごと、光で包み込んだのでした。
(つづく)