『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

『このままだと29日日銀会合後、又円高、日本株急落が再発するのか?』

2016-07-26 10:19:23 | 日記

政府が来月発表予定の経済対策に関心の目が向いています。しかし、規模より肝心なのは「真水」がどれだけあるかということだ。
現在報道されているところでは、3兆円規模と言われているが、これでは、全く少ない。2013年1月、アベノミクス始動時に2本目の矢として出された経済対策は、「真水」13.1兆円だった。3年前に13兆円出しているのに、今回がもし、僅か3兆円となると題目のようなことが起こりうります。日銀が29日の支店長会議で動かないのでないか?との思惑で今日からまたぞろ円高にブレはじめました。筆者はズバリ今回黒田日銀総裁は『現状維持』動かないような気がします。政府の対策を見て協調するのではないでしょうか?

以下コピー

「ヘリマネってなに?」

 最近、良く質問される。質問するのは普通の、一般の方々だ。若い人もいれば、ご年配の方もいらっしゃる。「マイナス金利に戸惑ったばかりだというのに、今度はヘリコプターからお金を撒くという。一体どうなっているんだ」ということだ。

■ 「無から有が生じる話」にとまどう人々

 「定義はいろいろですけど、政府の借金ではなく、中央銀行ファイナンスによる財政支出のことです」

 「それじゃよくわからない」

 「日銀がお金を出して、政府が支出することです。日銀はいくらでもお金を出すことができますし、借金ではないので政府はお金を返す必要もないです」

 「え?」

 誰もが当惑する。「無から有は生じない」ことは、誰でも知っている。しかし、このヘリマネというのは、何もないところからお金が出てくるという話だ。

 「経済対策として、日銀がお金を出して、一人50万円支給されるとしたら、どうしますか?」

 「そんなお金、使えるわけがないじゃない!」

 何とかしてインフレ率を上げたいが、量的緩和政策を進めても、マイナス金利を採用しても、結果は思わしくない。それでもまだ金融政策に出来ることはある、ということで出てきたのがヘリマネだ。

 バーナンキ氏が主張している政策だから、大丈夫、日本も採用すべきと主張する人がいるが、これほど日本の一般市民を馬鹿にした政策もないだろう。何もないところからお金を出されても、社会が大混乱するだけだし、いい迷惑だ。海外の経済学者は日本の国民に何の責任もない。むしろ、日本を使って社会実験してみたいだろう。どういう結果が出てくるか、ワクワクだ。

■ ヘリマネとは、円の価値を霧散させること

 フリーランチはない。手品を使っても、債務は消えて無くならない。それは、誰もが知っている。知った上で、そのような政策を採用するというならば、それは日本経済のリセットボタンが押されたということだ。長年かけて築き上げた「円」に対する信用は霧散する。

 要するに、ヘリコプターマネーとは円の価値を霧散させることで、日本の債務も消してしまうことだ。何時か、そのような時が来るのかもしれないが、今この段階でそのような政策を取る必然性があるのだろうか。何も「死に急ぐ」必要はないだろう。

 結局、市場は「ヘリマネ」をどの程度織り込んでいるのであろうか? 3つの考え方がある。

 (1)まず、狭義の「ヘリマネ」、厳密な意味でのヘリマネは、現在議論が二種類ある。一つは、無利子永久債を日銀が直接引受し財政支出するという方法、もう一つはアデア・ターナー氏が主張する方法で、日銀購入の国債を無利子永久債に切り替えていくというものだ。前者の場合は、財政法5条で禁止されており、法の改正が必要だ。後者の場合、国債を無利子永久債という無価値なものとのすり替えは、その瞬間に日本国債がデフォルトしたとみなされるリスクもあるし、少なくともジャンク債へと格下げされることになり、やはり次の日銀政策決定会合で採用されるとはとても思われない。

 (2)次に、広義の「ヘリマネ」だが、政府が大規模な支出を伴う経済対策を策定し、赤字国債を大量に発行するが、それを日銀が市場で受け止めるというやり方だ。現在、マーケットが期待しているのは、この線ではないだろうか。この場合、経済対策の「真水」が重要。大規模歳出を日銀が支える「擬似ヘリマネ」という絵を市場は見たいのだ。しかし、安倍政権は消費増税先伸ばしの際に、2020年までの財政再建化目標を維持したが、どう見ても矛盾しており、この辺りをどう説明するかだろう。

(3)もっと広義の、漠然とした意味合いでの、「ヘリマネ」。つまり、今回の日銀金融政策がどう変わるとか、経済対策がどうなるといったこと関係なく、市場での購入とはいえ日銀がほぼ全額、政府の債務を購入しているわけで、既に実質的な「ヘリマネ」状態にあるということだ。

 (3)の場合は、厄介だ。既に市場から「ヘリマネ」認定されているということであれば、このマーケットを止めるのは難しいということだからだ。

■ 発表後のメインシナリオは「円高、株価急落」だが・・

 今週は、遂に日銀政策決定会合の結果が29日(金)に発表される。市場の予想は(1)マイナス金利の深掘り、-0.3%程度へ、(2)量的緩和政策の拡大、現状の年80兆円を100兆円へ、(3)ETFの増額、現状の3兆円程度から5兆~7兆円ぐらいへの拡充と言うところだろうか。そして、政府の経済対策もその翌週、8月2日に発表される。それと合わせての判断となる。

 現在、事業規模が20兆円だとか30兆円だとか、どんどん膨らんでいる。しかし、事業規模がいくら膨らんでも意味は無い。財政投融資等で融資すると言っても、事業を引き受ける先がないと、絵に描いた餅だ。肝心なのは「真水」がどれだけあるかということだ。

 現在報道されているところでは、3兆円規模と言われているが、これでは、全く少ない。2013年1月、アベノミクス始動時に2本目の矢として出された経済対策は、「真水」13.1兆円だった。3年前に13兆円出しているのに、今回は僅か3兆円となると、市場はしらけてしまう。

 想定されているシナリオから言うと、今回の日銀政策決定会合、政府の経済対策を合わせても市場の期待からは程遠く、ドル円も、株価も急落することが予想される。おそらく、それがメインのシナリオとなってくるだろう。

 厄介なのは、予想通り大したことのない対策でも円高にならない場合だ。それは上記の(3)のケースと言えるが、もう既に実質的ヘリマネと市場に認定されたということになる。その場合、我々は既に長期円安トレンドのスタート地点に立っていることになり、難しいマーケットが予想される。

志摩 力男

 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 都知事選の投票で最も重視す... | トップ | 石原慎太郎どっちの応援?『... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事