本朝徒然噺

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花街の仕事始め

2007年01月11日 | 花街随談
1月7日は、京都の花街の仕事始めです(一部の花街を除く)。
この日、舞妓さんや芸妓さんたちは、黒紋付で正装し、お茶屋さんなどへ挨拶に回ります。

前日の6日にせっかく大阪へ寄ったので、京都にも足をのばして、黒紋付姿の舞妓さんを見てきました。

当日は朝から雪模様。

雪の京都

時折ふぶくような荒天でしたが、着物で出かけました!
というか、今回の帰省&旅行では、洋服は寝間着兼部屋着のスウェットウエアしか持って行かなかったので……。
帰省の折、家でお客さんの応対をする時やちょっと出かける時に着るために染大島を持って行ったのですが、この日は天気が悪かったのでそれを着ました。

染大島

亡くなった叔母が若いころ着ていたものを譲り受けたのですが、もうじき着られなくなりそうな色柄……。
でも、40代から60代くらいまでは寝かせておき、うんとおばあさんになったら裾回しを替えて着てもよさそうな感じがします。そのころまで生きてるかどうかわかりませんが、とりあえずとっておこう……(笑)。
帯は、松竹梅の柄の塩瀬帯です。

汚れを気にせず気楽に着られるとはいえ、吹雪ですからもちろん雨コートは着ました(笑)。
座敷に上がる予定があったので、足袋が濡れないように足袋カバーをつけて雨草履も履きました。
ショール、手袋もつけて完全武装です(笑)。

雨支度

街を歩いていると、激しい雪の中でも雨コートを着ていない観光客の方が多く見られ、ちょっとびっくりしました。
着物が濡れたり汚れたりするのは、ご自分が困らないならいいと思うのですが、濡れた着物や足袋でお店に入って座ったりするとご迷惑がかかりますから、こんな日はやはりきちんとした雨支度をととのえるのが礼儀じゃないかなあ……と思います。
初めて着物を誂えたら、2枚目の着物を買う前にまず雨支度をととのえておくと安心ですし、そうすると着物で出かける機会も増えてより楽しめるのではないかと思います。


花街の仕事始めの日には、各花街で「始業式」という行事が行われます。
黒紋付で正装した芸妓さんや舞妓さんが一堂に会し、新年の式典が催されるのです。
始業式そのものにはもちろん関係者でなくては参加できませんが、始業式に向かう芸舞妓さんや始業式が終わって挨拶回りをする芸舞妓さんを目当てに、アマチュアカメラマンの方がたくさん集まっていました。
なかには、着物姿の私を見つけてカメラを向ける人も……。言っときますが、私は違いますから!!(笑)垢抜けないシロウトなので、撮ってもムダです、勝手に撮らないでください!(笑)
いやほんと、笑いごとじゃなく、最近のアマチュアカメラマンには、もう少し節度をもって撮影してほしいと思うこともしばしばです。


始業式はお昼ごろからとのことだったので、お昼を食べに行く前に歌舞練場のあたりを歩いていると始業式に向かう芸舞妓さんが見られるかなあ……と思ったのですが、さすがの雪でタクシー移動する人たちが多かったのか、それらしき姿は見当たりませんでした。

そうこうしているうちに、予約していたお昼の時間になったので、お店へ。
この日は、お正月特別メニューのランチ+舞妓さんによるお点前と京舞を楽しめる特別プランが設定されていたのです。

お正月特別メニューのランチには、京風のお雑煮もついていました。

京風雑煮

ランチコースを食べ終わるころ、始業式も終わったらしく、黒紋付の芸妓さんたちが行き交う様子が窓から見られました。
このころには雪もあがって晴れていたので、雨コートなしで歩く芸妓さんの姿も見ることができました。ラッキーです。

黒紋付を着た芸妓

ランチを食べた後座敷に移動して待っていると、始業式を終えた、あでやかな黒紋付姿の舞妓さんが登場。

お正月や八朔(8月1日)など特別な時に、芸舞妓さんたちは黒紋付で正装します。
黒紋付の時には、金糸の帯を、帯締めを使わずに結びます。
金糸で織られた帯を「だらり」に結んだ舞妓さんの後ろ姿は、本当に豪華です。

正装の舞妓

黒紋付の時には、髪型も普段と変わります。普段「おふく」という髪型を結っている舞妓さんは「奴島田」という髪型を結います。この日着てくださった舞妓さんも奴島田を結っていました。
襟足の白塗りの仕方も、普段とは異なります。普段は二本足に塗るのですが、正装時には三本足になります。

舞妓さんのお点前が終わると、しばし歓談や写真撮影。その後、「鏡もち」という舞を披露してくださいました。

おいしいランチを食べて、舞妓さんのかわいらしいお点前と優雅な舞を楽しめて、外の寒さを忘れることができた一日でした。



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6 コメント

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素敵なお着物 (hanahana)
2007-01-14 23:56:48
よい色柄ですねぇ。私ならいくつになっても着続けてしまいそうです。
芸妓さんの帯はなんと豪華な事。こんなプランもあるのですね。隣の大阪に生まれ育ちながら、全然知りませんでした。お雑煮が何よりも魅力菜感じる、不謹慎な食いしん坊です。

明日、やっと松竹座昼の部に行って参ります。夫婦善哉。これまた知らなかった。足をのばしてきますね。ありがとうございました。
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ありがとうございます! (藤娘)
2007-01-17 20:52:07
hanahanaさま、コメントありがとうございます!(お返事遅くなり大変申し訳ございません……)

叔母の形見の着物、お褒めの言葉をいただいて本当に嬉しいです ありがとうございます
もうちょっとがんばって着てみようかな……

舞妓さんの「だらりの帯」は丸帯で、しかも普通の丸帯よりも長いんだそうです。
それだけでも重そうなのですが、金糸で織られた正装用の帯だとさらに重くなるらしいです。
着物も冬場は裾に綿が入ったものを2枚重ねで着るので、衣装の総重量はかなりのものになるそうです。
舞妓さんも大変ですね……

hanahanaさまの昼の部レポ、楽しみに拝見させていただきますー!
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わああ、豪華! (神奈川絵美)
2007-01-17 21:53:31
だらりの帯、迫力ありますねー。抜いた衣紋と帯山の間がほんの少ししか空いてなくて、造形美を感じます。

藤娘さまの染大島、赤といってもシックな感じなので、年齢を問わないと思いますよー。私、赤(朱)の着物は持っていないんですが、こういった品のある漆色っぽいものなら、欲しいなあと思いますー

それにしても、雨支度は結構たいへんですよね。
私も、足袋は何より気になります。
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貴重な内容 (agma)
2007-01-18 21:17:44
本で読んだりテレビで見たりする以外に
こんな風に京都の芸舞妓さんの様子を知ることが
出来るのは、私にとって貴重なことです。
本当に有難うございます!!

だらりの帯、美しいですね~

舞妓さんの襟足の白塗りも二本と三本があるのは
お化粧方法の違い?くらいに思ってました。
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>神奈川絵美さま (藤娘)
2007-01-19 21:13:06
コメントありがとうございます!

舞妓さんの衣装、ほんとに豪華ですよねー
正面から見てももちろんかわいらしいのですが、だらりの帯の後ろ姿もとてもかわいらしいですよね

染大島、まだいけそうですか! ありがとうございます!
せっかくの叔母の形見なので、どんどん着たいと思います

雨支度とか防寒着とか、着物を着始めるといろいろ揃えないといけなくて、ほんとに大変ですよね
でも、天候に左右されず着物で出かけられるようになることを考えると、結果的にはお得なのかもしれませんね
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>agmaさま (藤娘)
2007-01-19 21:23:59
コメントありがとうございます!
喜んでいただけて、本当に嬉しいです

舞妓さんのだらりの帯の下に入っている紋は、舞妓さんが所属している置屋さんの紋なのですが、これは昔、幼い舞妓さんがたくさんいたころ、舞妓さんが迷子になった時に周りの大人が置屋に送り届けてあげられるようにと紋を入れたのが始まりだそうですよ
長い歴史を持つだけあって奥が深いですよね
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