本朝徒然噺

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東をどりへ(6/1)

2008年06月01日 | 花街随談
6月1日(日)、新橋演舞場へ「東をどり」を観に行きました。

「東をどり」は、新橋の芸者さんたちによる踊りの公演。毎年この時期の数日間で開催されますが、以前は1日2公演だったのが、昨年から1日3公演に増えました。
その代わり、一昨年まで必ず真ん中に一本入っていた舞踊劇がなくなったので、ちょっと残念ですが……。

でもそのぶんいろいろと新しいご趣向が取り入れられ、開演前や休憩時間にも楽しめるようになっていました。

従来からあったお茶席(芸者さんのお点前を拝見できます)に加え、東をどりグッズ販売コーナー、ドンペリコーナー、東をどりの歴史展示コーナーなどが、新橋演舞場の2階ロビーで展開されていました。
また1階では、新橋の料亭が作るオードブルや甘味などが販売されていました。

場内に入って、まずはお茶席へ行ってみました。
普段は軽食処「かべす」になっているところが、お茶席に早変わり。
お点前をされるところは畳敷きですが、客席は床几が設えられていますので、正座が苦手という方やご年配の方でも楽しめるのではないかと思います。
ただ、後ろのほうに座るとお点前が全然見えない……
お菓子は、菖蒲の柄をあしらった虎屋の薯蕷饅頭。
持ち帰ることもできるように、1個ずつ、特製の箱に入っているのです。
中身はお茶席でしっかりいただいたので、箱の写真のみで失礼いたします

東をどりの茶菓子と団扇

一緒に写っているのは、グッズ販売コーナーで買った、東をどりのオリジナル団扇。白地に赤の文字で「志ん橋」(裏には「東をどり」の文字)が書かれています。
グッズ販売コーナーでは、芸者さんたちの千社札なども売られていました。
売り場付近には芸者のお姐さんもいらして、華やいだ雰囲気でした

開演までもう少し時間があったので、ドンペリコーナーへ行ってみました。
なんと、ドンペリをグラスで販売してくれるという画期的な試み(笑)。
吉兆(東京吉兆ですよ、もちろん)製のオードブルが一品ついています。この日のオードブルは、地鶏の煮こごりでした。とてもおいしゅうございました~。

ドンペリ

ちょうどこのドンペリコーナーのあたりの壁に、新橋の歴史展示コーナーが設けられていたのですが、前にテーブルが並んでいて(もともと演舞場に据え付けられている、スタンディングの丸テーブルです)、人も大勢いらっしゃるので、全部見るのはちょっと無理……。自分がいた丸テーブルの前にあるパネルだけ見ました
川端康成が東をどりの演目の作詞をした際の原稿も展示されていたのですが、残念ながら見られず

そうこうしているうちに開演時間が近付いたので、下界におりました。
1階席の正面扉の上には毎年、東をどりの提灯が飾られ、雰囲気を盛り上げています。

東をどりの提灯

一幕目は、長唄舞踊「梅の栄」、清元舞踊「お祭り」の二本立て。
京都の花街だと、花街ごとに踊りの流儀が決まっているのですが、新橋の芸者さんたちは花柳流、尾上流、西川流のいずれかをなさっておられるので、東をどりでは流儀ごとの踊りを楽しめます。
「梅の栄」は西川流のみなさん、「お祭り」は尾上流のみなさんでした。

地方(じかた)ももちろん芸者さんたちがなさいます。
「梅の栄」は、長唄の会だとお囃子なしで演奏されることが多いのですが、踊りの会なのでお囃子も入って、しっとりしたなかに華やかな雰囲気が漂いました
「お祭り」は歌舞伎でたびたびかかる踊りですが、歌舞伎舞踊の時のように若い衆が大勢出てきて立ち回りをするわけにはいかないので(笑)、鳶頭、芸者、鳶小頭の三人だけが登場する踊りに構成されていました。
「待ってました!」の声をかける「大向こう」もちゃんといたので、よかったよかった。この曲は、これがないとどうにもなりませんからねえ……(歌舞伎好きのみなさまはご承知のとおりですが、鳶頭に「待ってました!」の声がかかり、それを受けて「待っていたとはありがてえ」と答えるのがおなじみのパターンなのです)。

「お祭り」の後、30分の幕間があったので、1階の“料亭の味”コーナーへ。
「金田中」のつくったわらび餅があったので、いただきました。

金田中のわらび餅

プルプルのわらび餅が笹の葉にくるまれていて、見た目も涼やか。
口の中に入れると、本わらび粉の風味とほのかな笹の香りが口の中に広がって、幸せな気分になりました~

幕間をはさんで二幕目は、「花競大江戸八景」。
梅に始まり、桜、藤、あやめ、秋の七草、菊、牡丹と、四季折々の花をテーマに、さまざまな踊りが「吹き寄せ」で披露されるご趣向。
「牡丹」は獅子物になっていて、毛振りまで披露してくださいました

その後は、東をどりならではの「フィナーレ」。出の衣装(芸者さんがお正月などに着る、裾模様の黒紋付の正装)の芸者さんたちがずらりと並んで踊る姿は本当に華やかです。
これを観るのが、東をどりの楽しみの一つでもあります
舞台や花道から手ぬぐいもまかれるんですが、後ろのほうの席だったので残念ながらキャッチできず

短い時間でしたが、芸者さんたちのきれいな踊りと花柳界ならではの華やかな雰囲気を楽しめて、満足でした~


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